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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第7章 本質を観る力

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235.魔神・大盾亀

「魔神・大盾亀は、とにかく硬いよ。弱点属性は雷で、有効武器は無し。動きはかなり遅いけれど、追い詰められると攻撃を無効にする能力を使って来るからね」


 青緑の妖精の横で、メルシュが全員にいつもの説明をしている。


 今日は、早々に蜂蜜のお供えをさせて貰った。


 本当、君達の唯一の仕事を奪って申し訳ない。


 まあ、それを言ったら、NPCのほぼ全てがメルシュに仕事を奪われているわけだけれど。


「行きましょう、ご主人様」

「ああ」


 トゥスカに呼ばれ、昨日と同じ面子でボス部屋に入る。


 真っ暗な部屋の奥、青緑の光のラインが走り……六メートルはある二足歩行の巨大な石亀が動き出す。


「“二重魔法”、“混沌魔法”――カオスレイ!!」


 二つの黒白の光が、動き出したばかりの魔神・大盾亀に直撃する!


「ステージギミックが来るよ!」


 天井の穴から、青緑の二メートルくらいの甲羅が次々と落ちてきて――回転しながらランダムに動き回る!


 段々と、飛べないと不利になるボス戦が多くなってきたな。


「“竜巻噴射”!!」


 足裏から緑の竜巻を発生させ、一人突撃していくクマム!?


「大盾亀は本当に硬いんだけれど……大丈夫かな?」


「私も行くわ! “飛行魔法”、フライ!」


 ナオまで、いきなり前に出てしまう。


「まあ、良いか。夜鷹、頼む!」


 指輪から鷹を呼びだし、背を掴ませると同時に俺がトゥスカの手を掴んで飛び立って貰った。


「“尖衝武装”、“天使の翼”!」


 “一輪の華花への誓い”に赤い円錐状の光を纏わせ、背に天使の翼生やし、半壊している大盾亀に肉迫するクマム。


『ガメェェェェェッ!!』


 左腕に生えた甲羅の大盾でクマムを払い飛ばそうとする魔神だけれど、翼と竜巻を上手く使い分けて躱し、回り込んだ。


「“天使剣術”――エンジェルストライク!!」


 高速で落下突撃し、大盾亀の頭を穿――とうとするも貫けなかった!?


 ”尖衝武装”は鉱物系と相性が良いはずなのに……例の無敵になる能力か。


「“逢魔転剣術”――オミナスブーメラン!! ――ハイパワーローリング!!」


 “荒野の黄昏の目覚め”に、二つの武術スキルを同時に適用するトゥスカ。


 胸元を大きく抉り壊し、魔神・大盾亀をよろけさせる。


「「“二重魔法”――“万雷魔法”、サンダラススプランター!!」」


 ナオとメルシュによる四つの雷が炸裂し、魔神の動きが鈍る。


「ナオ! “黒精霊”!!」


 ナオに見えるように、黒銀の剣である“シュバルツ・フェー”を持つ腕を伸ばす!


「“氷炎の競演”――アイスフレイムカノン!!」


 “黒精霊”の効果で、味方パーティーの魔法を剣に取り込ませる事が出来る!


 ナオの強化された“氷炎魔法”を黒銀の剣に纏わせ、夜鷹を消すと同時にトゥスカを抱き寄せ――“シュバルツ・フェー”を振り下ろす!!



「――ハイパワーブレイク!!」



 四人が蓄積させたダメージの上から――氷炎の暴虐剣で切り砕いた。


 “爆走”の効果で、着地の衝撃を和らげてくれるトゥスカ。


「神代文字無しでも、問題なく倒せましたね」


 魔神・大盾亀の姿が、光に変わっていく。


「ありがとう、トゥスカ」


 前よりも、トゥスカの心を近くに感じる気がする。



●●●



「相変わらず仲が良いわね、二人とも」


 私じゃ醸し出せない空気感を醸し出すトゥスカに、少なからず嫉妬を覚える。


 この嫉妬に任せて振る舞えば、コセの心は私から離れていく。


 だから無理して我慢してるってわけじゃないんだけれど……私はあんな風に、コセと対等な夫婦にはなれないんだろうな。


 ま、私が甘えたがりだからしょうがないか……。


 母親の生まれた国で生活してたら、日常的に男に殴られてたかもしれないし。


 なにせ、女は三日殴らなければ狐になるなんて言葉が存在する国だからね。


 ……もしかしたら私の遺伝子は、母から致命的な欠陥を受け継いでいるかもしれない。


 環境によって火病などの症状は抑えらえるって論文は読んだけれど……あのヒステリックな母を思い出すと、時折、強い不安に襲われる。


 父さんの遺伝子が私を守ってくれるって信じたいけれど……最近は、自分が子供を産んだときに、その欠陥遺伝子が受け継がれてしまうのではないかと不安になってしまう。


 魂と遺伝子の関係を聞いた今となっては、尚のこと、私の遺伝子が悪い魂を引き寄せてしまうのではないかと……。


「……あまり、お役に立てませんでしたね」


 クマムちゃんが降り立つと、自虐気味に微笑む。


 その笑みはどこか、父さんの疲れたような笑顔と被った。


 きっと……優しい人間だから浮かべられる笑顔なんだろうな。


「クマムが引き付けてくれたおかげで、早く仕留められたよ。ナオも、合わせてくれてありがとうな」

「コセさん……」

「夫婦なんだから、あれくらい当然でしょ♪」


 なんて強がってしまったけれど……コセにちょっと褒められただけで、込み上げていた不安が消え失せた。


 我ながらチョロいわね。



○おめでとうございます。魔神・大盾亀の討伐に成功しました。


○ボス撃破特典。以下から一つをお選びください。


★大盾亀の甲羅盾 ★大盾術のスキルカード

★大盾亀の甲羅の指輪 ★偶発無敵のスキルカード



「みんな、“偶発無敵のスキルカード”は絶対に選ばないでね」


 メルシュが、昨日から念入りに釘を刺して来る。


「いつ発動するか分からなくても、いざという時の命綱にはなりそうですけれどね」


 トゥスカの言うとおり! 私は、正直このスキルカードを選びたい!


「一度発動するだけでMPを四分の一も失うんだよ? 発動するタイミングがランダムじゃ、ろくにMP管理が出来ずに戦術が破綻しかねないよ」


 まあ、冷静に考えればその通りなんだろうけれどさ。


「ナオは魔法使いなんだから、尚更MP管理は大切だろう?」


 コセに諭されると……なんか従いたくなっちゃうのよね。


 惚れた弱みって奴かしら?



○これより、第十五ステージの”世界の港”に転移します。



 全員が報酬の選択を終えると、視界が白く染まっていく。


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