表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第7章 本質を観る力

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

238/956

228.無自覚な二面性のパイレーツ

 扉を潜って進んだ先に広がっていたのは……洞窟の中の船着き場?


 巨大な帆船が二隻も止まっている。


 てことは、どこかから海に出られるのかな?


「いきなり、人数が減っちゃいましたね」


 俺の今回のパーティーメンバーは、トゥスカとメルシュ、ナオとクマムの五人。


 カナの加入で人数が二十五人になったため、五人一組のパーティー、計五組に別れて攻略を開始する事になった。


 ……まさか、モモカがクリスにくっ付いていってしまうとは……サトミさんのパーティーで大丈夫かな?


 安全面もそうだけれど、教育面で特に心配だ。


「じゃ、早く行こうか」


 船を無視して、滑らかな石の道を右に進もうとするメルシュ。


「あの船、本当に見に行かなくて良いの?」


 ナオが尋ねる。


「あっちは隠れNPCのパイレーツの獲得イベント以外、なにも無いからね」

「そうなんだ」


 一分も歩かないうちに、木製の正方形の床が。


 近い方の船の側面と、洞窟の奥に進む道との別れ道でT字路になっているようだ。


「あれ? なんか、扉の前に居た人達に似た集団が近付いてきますよ?」


 三方向から、男達が迫ってくる。


「お前ら、許可証を持ってねーな。つまり、村の奴等に食いもんを恵んでやらなかったってわけだ。薄情な奴等だぜ!」

「人情の欠片もねークソ野郎が!」

「身包み剥いで海に捨ててやら!」


 口汚く罵られてるんですけど……。


「メルシュ……もしかして、食材を売ってたら」

「一定数の食糧を売っていれば、襲われずにここを通れたよ」


 やっぱりか。


「コイツら、確立は低いけれどランダムに武術スキルのカードをくれるし、“パイレーツのスキルカード”も貰えるから」

「もしかして、だからサトミさんに買わせたのか?」


 モモカが居るパーティーだけ、人間そっくりな敵と戦わせないように。


「本人の前で言うのは、出来るだけ避けた方が良いかなって」


 かなり気を遣ってくれていたらしい。


「来ますよ!」


 サーベルやカットラスを手にした海賊達と、武器を交える。


「“荒野の風”!」


 トゥスカが“荒野の黄昏の目覚め”から風をぶつけ、船側から来た海賊達を足止めする。


「お願い、ナオ!」


「――“超竜撃”!!」


 訓練中に変化したという甲手で“ドラゴンナックルバスター”を掴み、突き出した腕から竜属性の光を放って一網打尽にしてくれるナオ!


「“天使剣術”――エンジェルブレイド! “伸縮”!!」


 光の威力を宿した剣を伸ばし、列になっている海賊達を串刺しにして始末してくれるクマム。


「混沌の剣」


 メルシュが黒白の巨剣を出現させ、クマムを援護。


「“神代の光剣”――ハイパワープリック!」


 “偉大なる英雄の光剣”から七メートルを超える刃を生成し――一突きで、洞窟側から来た海賊を全滅させた。


「なんか……弱いな」

「三方向に同時に対処出来れば、大した敵じゃないよ」

「つまり、人数が少なかったり、三方向に上手く対処出来なきゃ危険って事か」


 みんなは、上手く切り抜けられたのかな?



●●●



「その貝殻……ありがとうな、ここの奴等に食糧を恵んでくれて」


 さっき、お肉と金塊を交換したおじさんから貰った”首掛けの青い貝殻”を見て、船乗りらしき人が声を掛けてきた。


「ありがてぇな! 本当にありがとよ!」

「俺達の稼ぎだけじゃ、全員を食わせてやれなくてな……」


 扉の前に居たのと同じ格好をした人達が、私達に駆け寄ってくる。


「うまいもんは食わせてやれないが、ほんの気持ちだ。受け取ってくれ!」



○”海賊のペンダント”を手に入れました。

○“蒼穹魔法のスキルカード”を手に入れました。

○“颶風魔法のスキルカード”を手に入れました。

○“天雷魔法のスキルカード”を手に入れました。

○“硝子魔法のスキルカード”を手に入れました。

○“暁光魔法のスキルカード”を手に入れました。



「俺達海賊は全員戦士だから、魔法は使えねー」

「だから、遠慮無く受け取ってくれ!」


 “颶風魔法”は、私にとっては最高ね!


「ありがとう、海賊さんたち♪」


 魔法のカードを五枚も貰えたのは、私のパーティーが五人だったからかしら?


「早く行こうよ、サトミ」


 モモカちゃんは人が苦手なのか、少し怯えているように見える。


「そうね」


 洞窟の方に向かって歩くと、登ったり下ったりを何度か繰り返し……私達は洞窟の中の花畑にたどり……着く。


「あれ? 花畑があるなんて聞いてましたっけ?」

「私は聞いていないな」


 リンピョンちゃんとメグミちゃんの二人まで聞き逃してるなんて……ありえない。


 私もメルシュちゃんから聞いた覚えが無いし、また観測者側がなにか仕掛けて来たのかしら?


「わあ、お花だ~!」

「ちょっと、モモカ!」

「おい、待て!」


 モモカちゃんが、花畑に勢いよく駆け込んでしまう!


「なにかいまぁす!!」


 クリスちゃんが叫ぶと、花畑の一角から花びらが舞い上がり――花をカラフルに纏った巨大蛇のようなモンスターが、私達を余裕で呑み込めそうな程大きな顔を突き出した!?


「メグミちゃん!」


 両腕の盾から撃ち込んで貰えれば!


「ダメだ、近すぎてモモカに当たる!」


 ローゼちゃんとマリアちゃんが持ち堪えているうちに、前に出るしかないか!


「待ってください! 気配が複数あります!」


 リンピョンちゃんが教えてくれた瞬間――モモカちゃんを囲むように同じサイズの花蛇が次々と出現した!!?


「“可変”」


 クリスちゃんが“砲火剣・イグニス”の柄部分を逆手に持つと、刀身部分が下側になるようにL字に変化し、刀身部分に付いていた持ち手が動いて掴めるように!



「“火炎大砲”――ファイア!!」



 両手で構えた赤黒の剣の先端部分から、炎の弾丸をドン!! ドン!! ドン!! と撃ち込み、全て頭を撃ち抜いて、一発で光に変えてしまうクリスちゃん!!


「……フー、全部片付いたみたいでぇす」

「さすがクリスちゃん」


 訓練でもフリスビーみたいなのに々と命中させていたけれど、あの状況でも百発百中だなんて凄いわね!


 私だったらテンパっちゃいそう。


「モモカ……私が言いたいことは分かるか?」


 メグミちゃんが駆け寄って安全を確認したのち、モモカちゃんに声を掛けた。


「勝手なことしてごめんなさい……」

「分かってるなら、わざわざ私から言う必要は無いな」


 モモカちゃんの言葉を聞くと、すぐに屈んで頭を撫でてあげるメグミちゃん。


「なんか……羨ましいな」

「サトミ様?」


 私が幼い頃、私がなにかミスをするたびに母が豹変し、(つんざ)くような声で怒鳴られ、口汚く罵られた。


 その異常とも取れる態度は、癌により余命宣告を受けていたから故だったと……私は後から知ったのだけれど……。


 私の記憶の中の母は、優しさを取り繕った(いびつ)で情緒不安定な女でしかない。


 ……そんなんだから、感情的になると私も変な行動を取ってしまうのかもしれないわね。


 あの……弱い女の娘だから。


「サトミさぁん、リンピョンさぁん……これ見てくださぁい」


 クリスちゃんが、恐る恐るチョイスプレートを見せてくる?



○“甘い花弁の刹那”を手に入れました。



「「……あ」」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ