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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第6章 人類の起源

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217.激闘の跡

「……マスター」


 まさか、このタイミングで限定的にアセンションするなんて。


「ご主人様!!」


 私が腕の治療を終えると、トゥスカが、気絶したマスターに急いで駆け寄る。


 その後をモモカが追い掛け、NPC以外の女達も駆け寄っていく。


 いや、カナだけは、私達隠れNPC同様に辺りを警戒していた。


「メルシュ……お前のマスターは、やっぱり大した奴だったようだな」


 フェルナンダが声を掛けてきた。


「ええ……そうね」


 まさか、十二文字の時点でアセンションし、高次元生命体の一般的な能力の一部を使いこなすなんて。


 だけど、アセンションを使用できたという事は……この物質世界で生きる力を、更に失いやすい性質の人間になったと言うこと。


「今まで以上に、女をあてがうようにした方が良いかもね」


 この低周波の世界に、彼の魂を繋ぎ止めておくために。


 それが、高次の意思を持つ者にとって耐え難い苦痛であったとしても。


「それにしても、敵を全滅させたのになかなか終わらないな」

「おかげで、マスターに駆け寄ることも出来ない!」


 まだなにか仕掛けてくるつもりなの!?


『…………と、突発クエストは……これにて終わりだ…………あり得ない……』


 声から、暫く茫然自失としていた雰囲気が伝わってきた。


「よし」


 チョイスプレートを確認し、”オールランクアップジュエル”を40個手に入れたのを確認。


 ……とはいえ、アルファ・ドラコニアンまで投入して来たとなると、まるで油断できない。


 マスターの覚醒に、宇宙最強の戦闘種族を打ち倒したという事実……今まで以上に、デルタ側から理不尽な妨害を受ける可能性はある。


 隠れNPC実装の際、私達トライアングルシステムをゲ-ムに組み込んだことで、ある程度理不尽なクエストは発動できないよう制限が掛かっているはずだけれど、それもどこまで通用するか。


「まだ十四ステージ……これからどうなっていく事やら」



●●●



「…………ぅ」


 ここ……どこ……だ?


 景色がグニャグニャして……身体が動かなくて……重い。


《君の献身に、私達は感謝する》

《どうか、このまま多くの者を導いて欲しい》

《貴方が私達の元に帰ってくる時を、心待ちにしているよ》


 一瞬、藍色の情景が頭をよぎり、誰かの……複数人の声が聞こえた気がする……けれど……すぐになんて言っていたのか……分からなくなっていく……。


「……誰……なんだ」


 ――声を発すると、一気に意識が鮮明になってくる!!


「…………寝室の……天井?」


 ようやく、頭のクラクラが治まって来た。


 ていうか、喉がカラカラだ。


「あれ……なにが……どうなったんだっけ?」


 十四ステージの”荒野の貧村”に来て……クエストが起きて……意識が希薄な状態で…………なにかと戦っていた気が……。


「ご主人様、起きたのですね……良かった」

「……トゥスカ?」


 身体の右側から、トゥスカのぬくもりが伝わってくる。


「ていうか……裸?」


 なんかデジャブが。


「ぅん……スー、スー」


 ……左側からも、人肌のぬくもりが!


「…………メルシュまで」


 左腕に、メルシュの裸体が密着していた。


「……我ながら爛れてる」

「ご主人様が、良い雄なせいです♡」


 変なところ掴まないでください、トゥスカさん!


 これ、発情してるな。


「昨日のご主人様、格好良かったですよ♡」

「昨日……ん? 昨日?」



●●●



「あら、おはよう。コセさん♪」

「お、おはようございます」


 サトミさんが、いつもの割烹着姿で朝食を用意してくれていた。


挿絵(By みてみん)


「取り敢えず、目を覚まして安心したわ」


 リンピョンの安堵した様子に、本当に心配してくれていたんだなと実感する。


 ボス戦に挑んだのは早朝……本当に、ほぼ丸一日眠っていたんだな。


「ありがとう、リンピョン」

「べ、別に、私は看病とかしてないし、礼なんて要らないわよ」


 ……こんな反応する子だったっけ?


「お腹空いたでしょう、コセさん! 朝ご飯、たっくさん作るからね♪」

「ハハ……ありがとうございます」


 そんなにお腹減ってないんだよな……一日なにも食べていなかった割には。


「コセ……良かった、目を醒ましたのか」


 食堂の方に行くと、ルイーサが声を掛けてきてくれた。


「おはよう。心配掛けたようで悪かったな」

「ハハ! お前が無茶してくれなかったら、ここに居る何人かは死んでたかもしれない。だから……ありがとうな」


 ルイーサが微笑む……可愛い。


「身体は、もう大丈夫なの?」


 アヤナが尋ねてきた。


「まだちょっと怠いけれど、特には問題ないよ」


 ただ……昨日までと、感覚が大きく変わっている気がする。


 ルイーサ達の存在を……なんというか…………とても虚ろに感じるんだ。


 もしかしたら……普段のユイに近い感覚なのかもしれない。


「本当に大丈夫?」


 珍しく、アオイにまで声を掛けられる。


「意識もまだボーッとしてるかも……寝起きだからかな?」


 自分でも違うと思いながら、心配を掛けないように取り繕う。


「あ、ご主人様が起きた!」


 モモカが食堂に入って来るなり、駆け寄ってきてくれる。


「おはよう、モモカ」


 抱え上げ、お姫様抱っこしてあげた。


「おはよう、ご主人様!」

「ハハ、モモカは朝から元気……ご主人様?」


 なんで、モモカは俺をご主人様呼びしているんだ?


 思わずルイーサ達の顔を見る。


「いや、知らないぞ」

「昨日から、いつの間にかそう呼ぶようになってたわよね?」

「トゥスカの影響じゃない? 他にご主人様なんて呼び方する人居ないし」


 アオイの指摘はもっともだった。


「だとすると……何で今更?」


「昨日ね、ご主人様って言ってたトゥスカがすんごい綺麗で格好良かったの! 私、トゥスカみたいな綺麗で格好いいお嫁さんになりたい!」


 ……この発言は、大きくなった時にモモカのトラウマになりそうだな。


「悪いな、モモカ。俺をご主人様と呼んで良いのは、トゥスカだけなんだ」

「ええー!!」


「だったら、来世でそう呼べば良いじゃないか」


 突拍子もない事を言い出したのは……ルイーサ?


「ライセ? ライセってなに?」

「モモカってば、七歳のくせに来世も知らないの? まだまだ乙女には程遠いわね」

「知っている七歳の方が少ないと思うぞ、ローゼ」


 よく分からないイキリを発動するローゼと、突っ込むマリア。


「二人とも、おはよう」

「「おはよう」」


 こうしてると、なんだか人形とは思えないな。


「ご主人様、今日もご飯食べさせて!」


 ご主人様と呼びながら、立場が逆の提案をしてくるモモカ。


「ご主人様をやめたらな」

「ブー! 仕方ない」


 簡単に折れたよ。


 全員が食堂に集まり、改めて心配してくれたみんなに挨拶したのち、俺は朝食をいただいた。


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