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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第6章 人類の起源

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210.突発クエスト・地上へと這い出る者共を討伐せよ

『テステス、アー、アー……これより、突発クエストを開始する』


 若干の愉悦混じりの、男の声が響く。


『突発クエストは、地上へと這い出る者共を討伐せよだ。リーダーに率いられたパラディンリザードマンの軍勢、四百体を相手にしてもらう』


「パラディンリザードマン!? 五十ステージより後に出て来るモンスターだぞ!」


 ジュリーが焦っている? それだけ厄介なモンスターということか。


『リーダーが倒されればクエストはクリア。だが、それまでにパラディンリザードマンを全滅させれば、”オールランクアップジュエル”を40個プレゼントさせて貰う』


「”オールランクアップジュエル”……どの装備アイテムでもランクアップさせられる希少アイテム。随分大盤振る舞いだね……」


 メルシュの顔が険しくなる。


 報酬が良いって事は……厄介な仕掛けがありそうだな。


『君達が村の中心地に辿り着いたとき、クエストは開始される。ちなみに、魔法の家に戻るのも建物の中に入るのも、クエストを終えるまで不可能だ』


 猶予を与えているようで、全然与えていない。


 クエストに挑まなければろくに休むことも出来ないし、せいぜい出来るのは、装備を見直すか心の準備をしておくくらいか。


『以上、クエストの説明を終了する』


 情報はあれだけか。


「各々のパーティーリーダーは、準備が出来たら教えてくれ」

「コセ……」


 モモカが手を引いてきた?


「どうした?」

「……オシッコ」


 脚をモジモジさせている。


「ボス戦の前に行かなかったのか?」

「行ったけど……」


 小さいうちは、身体に溜められる量が少ないもんな。


「……やっぱりペドファイル」

「お前、ちょっと黙ってろ」

「ご、ごめんなさぁい……コセさん、恐いでぇす」


 クリスめ……俺を嫌っていないのは分かってるけど、謂われのない発言をしないで欲しい!


「モモカ、これを使って」


 トゥスカが、外からは見えない”簡易トイレ”を用意してくれる。


 魔法の家を手にしてからはあまりお世話にならなくなった、”低級アイテムの交換チケット”で手に入れたトイレ。


 そう言えば、低級のチケットは貯まる一方だな……あり過ぎて困るという事もないけれど。


「他人に尿意を訴えるなんて、モモカは、まだまだエレガントなレディーには程遠いわね」

「幼い子にオシッコを我慢させようとするなよ。下手したら死にかねないくらい身体に悪いんだから」


 ローゼの発言にツッコんでくれるマリア。


 俺が言ったらまたペドファイルとか言われそうだったから、マリアには感謝だな。


 ……尿意や便意で誰かにからかわれたりすると、恥ずかしさで無理に身体に我慢させて、便秘体質になったり、最悪尿の我慢のしすぎで膀胱が破裂したり、便を詰まらせて死ぬことだってある。


 便通が悪くなれば鬱を誘発し、免疫能力の低下による感染症リスクも増加。


 他人にストレスやトラウマを与えるという行為は、世間的な認識よりもずっと重い。



             ★



 モモカが用を足し終える頃には、全員の準備が完了。


 村の、荒れた土地の中央へと向かう。


「パラディンリザードマンは”思念障壁”というスキルを持っていて、一度だけ武術、魔法による攻撃を完全に防ぐから注意して」


 メルシュから説明を受けながら移動していると、機械的な女性の声が響いた。


『突発クエストを開始します』


 集まったのは俺達だけ……やっぱり、この貧村に他のプレーヤーはいないんだな。


 つまり、今回も俺達のレギオンが狙い撃ちにされたわけだ。


 もしかしたら、スゥーシャの姉に挨拶出来るかもと思っていたんだけれど。


「来たようです」


 ノーザンの声が合図であったかのように、村の周りの穴から青黒い肌のリザードマンタイプのモンスターが這い出てくる。


 第一ステージなどで遭遇したリザードマンより一回り大きく、金の装飾の入った銀の鎧を身に着けていた。


 手にしている武器もバラバラで、同じモンスターだからといって、同じ戦い方が通用するほど甘くはなさそうだ。


「予定通り乱戦は避け、この場所を防衛拠点と考えて対処! パーティーメンバーごとにまとまって行動しろ!」


 這い出てきたパラディンリザードマンから駆け出し、攻撃を仕掛けてくる。


「接近される前に一撃いれて、無効能力を消費させて! ”思念障壁”のインターバルは十分だよ! ”万雷魔法”、サンダラスレイン!!」


「”氷獄魔法”、コキュートス!!」

「”颶風魔法”、ストームダウンバースト!!」

「”混沌魔法”、カオススター!!」

「”煉獄魔法”、インフェルノ!!」

「”光線魔法”、アトミックシャワー!!」

「”氷炎魔法”、アイスフレイムバレット!!」


 ジュリーの魔法を皮切りに、リンピョン、サトミ、メルシュ、ユリカ、アヤナ、ナオの魔法が放たれ、障壁をわざと展開させる。


 たまたま二つの魔法を浴びた個体もいたようだけれど、倒せたモンスターは一体も居ない。


「”飛王剣”!!」


 先頭のパラディンリザードマンにぶつけるも、ブラウンの大斧で防がれてしまう!


 思っていた以上に手強そうだ!


「”逢魔転剣術”、オミナスブーメラン!!」


 トゥスカが”荒野の黄昏の目覚め”を投げるも、リザードマン二体に受け止められる。


「――ハイパワーローリング!!」


 橙のV字ブーメランを高速回転させ、威力を増強させた!?


「メルシュが言っていた、”回転術”と”転剣術”を組み合わせた強化方法って奴か」


 逢魔の暴威と組み合わせたのもあり、二体のパラディンリザードマンの武器を弾き飛ばしながら両断し、光に還す。


「予想よりも強いぞ、コイツら!」


 黒い剣槍である”巨悪を穿て”と”レーザーソード”を同時に振るって、パラディンリザードマンを確実に葬っていくザッカル。


「”禍鎌切”!!」


 ザッカルを狙って攻撃モーションに入ったリザードマンの首を、カナが的確に狙って切り落とす。


「サンキュー、カナ!」

「どう致しまして!」


 意外と息が合ってるな、この二人。


「思考ルーチンが想定よりも優秀だ! 初撃は確実に防がれると思え!」


 ”精霊魔法”でウンディーネを呼び出し、黒い短剣を手に戦っているフェルナンダが、注意を呼びかけてきた。


 俺もザッカル同様、”サムシンググレートソード”と”グレイトドラゴンキャリバー”の二刀流で迎撃していく!


 持久戦になりそうな以上、文字の力に頼りすぎるわけにもいかないけれど……追い詰められる前に、俺だけ力を使って数を減らすというのも手か。


「マスター! リーダーらしき奴が出て来たよ!」


 メルシュの言葉に周囲を窺うと、機械的なヘルメットを付けた、赤黒い体表の……リザードマン?


挿絵(By みてみん)


 リザードマンにしては他の個体よりも筋骨隆々で、硬そうな鱗に覆われており、姿勢というか……基本的な骨格そのものが違うような。


 ――ヘルメットのリザードマンが跳躍し、円陣の中央に飛び込まれ――――全員の身体が、勝手に投げ飛ばされた!!?


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