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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第6章 人類の起源

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196.模造竜の寝所

『見ていてくだされ、モモカ姫!!』


 “エレメンタルガーディアン”こと黒ピカが、動き出した黒石の竜に斬り掛かる。


 私とサキ、モモカ、ノーザン、ナオの五人で“模造竜の寝所”へとやって来ていた。


 コッチは安全エリアから降った先にあり、鬱そうとする草木によってかなり暗く、不気味。


 “模造竜”も、どこか太っちょな肉付きのデザインで、醜悪なイメージを抱かせる。


『我が輩の剣が!!』

「“模造竜”は、物理に強く魔法に弱いモンスターだって説明したのに」


「黒ピカ……バカ」


 サキの言葉を聞き、モモカの冷たい一言が、自称モモカの騎士に突き刺さる。


『ノオオオオオオオオオオ!! モモカ姫ぇぇぇぇぇぇ!!』


「アイツ、全然エレガントじゃないわ」

「暑苦しい、ウザい」


 バトルパペットのローゼとマリアから、辛辣な追い撃ち。


『貴様ら駄竜のせいで、姫にバカだと思われてしまったではないか!』


 巨躯の黒騎士が、四色の盾を翳す。


『“魔法盾術”――エレメンタルバスター!!』


 四色の光が混ざり合い、一筋の光芒となって“模造竜”三体を倒し、余波で他数体にもダメージを与えた。


 黒ピカのLvアップによって解禁された、“エレメンタルガーディアン”の新たなスキル。


「ジュリー、“竜剣のスキルカード”が手に入ったみたい」


 ナオが教えてくれる。


「悪くはないね」

「“模造竜”からは、ドラゴンに関するアイテムがランダムドロップするんでしたっけ?」


 ノーザンが尋ねてきた。


「アイテムのドロップ率はそれなりに高いけれど、私達に有用なレアアイテムのドロップ率はかなり低い」

「でも、私達はレプティリアン崩れとの戦いでドラゴン系統の装備やアイテムは充実している」

「だから、ジュリーとユリカのパーティーだけ“模造竜の寝所”を選んだんだっけ?」


 ナオの言うとおり、コセ、ルイーサ、ユイの三つのパーティーは模造天使の方へ。


 スキルカードをドロップさせやすい“技能取得”を持つユイには、“模造天使の楽園”の方に行って貰いたかったしね。


『お、お嬢様がた! そろそろ、か、加勢して頂けるとありがたいのですが!!』


 ヘイトを溜めまくったのか、“模造竜”のブレスが全て黒ピカに注がれていた。


「「「「「頑張れ」」」」」


『なぜ、そこで心が一つになるのだ!!』


 そりゃ、お前が皆に嫌われてるからだよ。


 まあ、危なくなったら助けるけれど。


 テイムモンスターは、倒されたらそのまま消えちゃうしね。



●●●



「“颶風魔法”、ストームダウンバースト!!」


 サトミの魔法で、“模造竜”が地に落ちていく。


「“深淵盾術”、アビスブレイク!!」


 “メタルクラッシュバックル”で叩きつけるように藍色水の衝撃を炸裂させ、隙だらけだった一体を破壊!


 この変わった形状の盾には、金属や特に鉱石系のモンスターへのダメージを増強する補助効果があるらしい。


 古生代モンスターに対してだとさほど恩恵を感じられなかったが、物理防御が高いらしい”模造竜”を砕けたのがその証拠だろう。


 現に、私と同じ戦士であるリンピョンは、かなり手こずっているようだし。


「せっかく、新しい武器を存分に振るえると思ってたのに!」


 鳥の大群を次々と斬り屠った“氷蛇の刀剣”でも、“模造竜”の身体を切り裂く事は出来ていない。


「こうなったら!! “氷獄魔法”――コキュートス!!」


 “模造竜”四体が凍り付く!


 氷と火特化のナオと同等か、それ以上の威力があったのではないだろうか?


「そろそろ、私達も参加してよろしいですか?」

「“模造竜”が魔法に弱いって言うから、わざわざ私とヨシノがコッチのパーティーに入ったんだしね」


 ドライアドのヨシノと、ユリカが申し出てくれる。


「ええ、お願い。この子達、思っていた以上に硬いわ」


 サトミが頼むと、二人が前へ。


「“植物魔法”、バインバインド!」

「“煉獄魔法”、インフェルノバレット!!」


 二人のコンビネーションにより、“模造竜”が、凍った個体と共に次々と溶けていく。


「さすがだな。すぐに片付きそうだ」

「あれ、奥の方でなにか動いてないかしら?」


 サトミが指摘した方を見ると――地面が盛り上がって、そこから金属の“模造竜”が飛び出した!?


「あれは、“模造銀竜”!」


 ヨシノが、敵の正体を教えてくれる。


「て、ジュリーちゃんが警告してた奴じゃない!」

「魔法が一切効かない、超低確率出現のレアモンスターだったな。おまけに、物理防御も“模造竜”以上だったか」


 魔法使い有利なルートのパーティーに、戦士をバランス良く入れていた理由。


「行けるか、リンピョン!」

「問題ありません、メグミさん!」


 サトミもヨシノも、ジュリーのようなバランスの取れたタイプではない純粋な魔法使い。


 ユリカも、そこまで接近戦が得意なわけじゃないし。


 実質、アレと戦えるのは私とリンピョンだけだ。


「先に仕掛ける! “竜技”――ドラゴンブレス!!」


 竜の頭の付いた盾、“ドラゴンの顎”から放つ事で、竜属性攻撃を強化出来る!


「同じ竜だからか、効き目はイマイチか!」

「“跳躍”!」


 リンピョンが跳び上がり、ドラゴンブレスで動きが止まっている背後を取った!


「“氷獄剣術”――コキュートススラッシュ!!」


『ギャオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!』


 反応から、中々のダメージを与えられたと推測できる!


「――“竜光砲”!!」


 リンピョンが離れた瞬間、”ドラゴンの顎”より私の最大威力を見舞う!


「やった!」


 大きく吹き飛ばされる“模造銀竜”を見て、気を緩ませるリンピョン。


『――ギャォォォォォッ!!』


 ドラゴンブレスと思われる息吹が迫る!


「“颶風魔法”、ストームボルテクス!!」


 サトミが、風水の渦で竜の息吹を防いでくれた!


「行って、メグミちゃん!」

「すまん、サトミ!」


 それなりに長い付き合いだが、サトミの行動力には今でも驚かされる!


 私を奴隷から救うため、アヤと三人纏めてコセに買わせようとしたときは、内心本気で驚いていた。


 そう言えば……私はあの時、コセに酷いことを言っていたな。


 自分が思っていた以上に、奴隷という立場に怯えていたのかもしれない。


「“暗黒転剣術”、ダークネスブーメラン!!」

「拒絶の腕!」


 リンピョンの円鋸が竜の胸辺りに傷を与えてくれたため――すかさずその場所に、指輪から呼びだした緑の巨腕を押し当てた。



「“拒絶”!!」



 ビシリ!! という音と共に、身体に小さくない亀裂を生じさせ、その中心地に――“ドラゴンの顎”を捻じ込んだ!


「“竜光砲”!!」


 総TPの半分を消費し、竜の光を食らわせて追い撃ちを掛けた!


『ギガガ、ガガガウオアオウウオアアアア!!』


 大きな亀裂や破壊跡は生じさせた物の、まだ原型を残したままの“模造銀竜”。


「だが、これで終わりだ! ”瞬足”――“拒絶領域”!!」


 亀裂の中心地に身体を捻じ込み、円柱状の衝撃を内部から炸裂させるッ!!


「……ハアハア、ハアハア」

「さすが、サトミ様の親友ですね!」


 今度こそ、“模造銀竜”は消滅した。



●●●



「……スゲー」


 チンという音を立てて、刀剣を鞘に収めるユイ。


「どうだい、ザッカル。これが、うちのマスターの実力だよ」


 シレイアが、まるで自分のことのように喜んでいるのが分かる。


「あの数の天使を、たった一人で片付けちまうとはよ」


 それに、文字を六文字刻んだだけで、他にはなんのスキルも使わなかったぞ。


「お疲れ、マスター」


「うん、シレイアさん……早く帰って、リアルハーレムの人の夜の営みが見たい」


 無表情でなに言ってんだ、コイツ?


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