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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第6章 人類の起源

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191.醜態

 川沿いのルートを進んでいると、鋭い歯を持った肉食と思われる魚が次々と跳び出してくる!


「“万雷魔法”、サンダラスレイン!」


 轟く雷の槍を降り注がせ、全滅させてしまうジュリーさん。


「この辺の魚は、暫くは感電して出て来れない。今のうちに先に進むよ」


 皆を先導し先に進む姿は、まるで女王のよう。


 ジュリーさん……格好いい!


 タマちゃんが、コセ様とジュリーさんだけに様付けする理由が分かってきたかもしれません。


「……思っていたよりも、出て来るのが早かったな」


 ジュリーさんが立ち止まり、出発直後よりもかなり幅が広くなった川の……中央を見据えている?


 段々と――川の波紋が広がって行く!


「全員、戦闘態勢! ワッカカムイが来る!」


 事前に説明されていた、このルートに出没する難敵!


 バシャ! バシャ! という音を立てて、巨躯の水の女性が数体飛び出して来た!


「ソイツらは魔法に弱いけれど、ドロップするアイテムを手に入れるには魔法以外で攻撃する必要がある!」


 最低でも、人魚である私の分は手に入れたいと言っていましたね。


 ワッカカムイは雷属性に弱いそうですけれど、私は水属性の能力ばかり。


『キシャアアアッ!!』

「“渦の障壁”!」


 鋭い指で引っ掻いて来たため、空中に作り出した渦で止める!


「“雷属性付与”――“伸縮”!」


 レイピアの切っ先を伸ばし、ワッカカムイの眉間を貫いてくださるクマムさん!


「“万雷鎚術”、サンダラスクラッシュ!」


 怯んだ隙を突いて、黄金のハンマーでトドメを刺してくれるタマちゃん!


 今の連携、凄く良い感じでした!


「ジュリー……なんか、聞いていたよりも数が多くない?」

「奇遇ね。私も同じ事を思っていた」


 ユリカさん達のやり取りに気付いて辺りを見渡すと……いつの間にか十体以上に囲まれている!?


 それに、川の中央の波紋が未だに揺らいだまま!


「危ないと感じたら、迷わず魔法で応戦して!」


 姉様はきっと、このずっと先に進んでいる。


 私も――もっと頑張らなきゃ!



●●●



「トンネルの半ば辺りまで来た。そろそろだよ」


 メルシュが松明を掲げながら、俺達に危機を知らせてくれる。


「なにか音がするな」

「静かに、ルイーサ。コイツらは音に反応する」


 辺りからカサカサという音が聞こえてくる。


 メルシュが掲げる松明の光は頼りなく、この真っ暗な巨大トンネルのほんの一部しか照らし出せていない。


「円陣を組んで維持して。真上は私が対処するから」


「真上?」


 アヤナが、メルシュの言葉に上を向いてしまう。



「――キャアアアアアアアアアアア!!!?」



 アヤナの悲鳴が響いた瞬間、周りが殺気立つのが分かった!


「“煉獄魔法”、インフェルノ!!」


 咄嗟に紫の炎を放つと、なにかに当たって……ビチビチと激しくのたうち回って居たのは…………人間サイズくらいの、巨大な複数体のG。


「き、ききききききき聞いてないぞ、メルシュッ!!」


 激しく動揺しながら、応戦するルイーサ。


「キモい! キモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいッ!! “光線魔法”、アトミックレイッ!!」


 パニックを起こすアヤナ!


 俺はお前が一番怖いよ!


「落ち着いて対処しろ! “精霊魔法”、ウンディーネ! ――ってオイ! アヤナの攻撃で、私のウンディーネが!!」


「ご、ごめぇぇぇん!!」


 背後でパニクられると、本当にこっちまで怖くなってくるんだよ!


「メルシュ。事前にゴキブリだと説明して欲しかったです。さすがにこの数、へ、平気な私でも動揺してしまいましたよ! ――“魔力砲”!!」


 トゥスカも驚いたんだな。


「ゴメンゴメン。ゴキブリって教えたら、誰も通りたがらないと思って」

「お願いだから、ゴキブリゴキブリって言わないでッ! せめてGって言って!!」


 アヤナの切羽詰まった声に、益々不安を掻き立てられる!


「手を動かせ、アヤナ! “嵐の穿風”!!」


 ルイーサが、”ストームブリンガー”の力で翠の烈風の切っ先から見舞ったようだ。


「“混沌魔法”、カオススター!!」


 メルシュが光と闇の光弾を操り、次々とGに命中させていく。


「ソイツら、絶命すると卵を産み落とすからね。卵には魔法が効かないから、戦士職の人が対処するように」


「もうイヤァァァァァァァあああああああ!!!!」


 それから暫く、アヤナの悲鳴が止むことはなかった。



◇◇◇



『……かなりの数を仕掛けさせたけれど、上手い具合に対処されちゃってるじゃん』


 第十二ステージを上手く活用すれば、楽して成果を出せると思ってたのによー。


『中途半端が一番良くないって言うし、僕はこの辺で手を引いておこうか』


 文字を使える人間はそうそう殺せないだろうし、下手に追い詰めると更に力を引き出しかねない。


『文字を使えない奴なら、一人か二人は始末出来ると思ってたのになー』


 パーティーごとのステージだと、こういうポップ調整ってなかなか出来ないから、チャンスだと思ったのに!


『大人しく、バウンティーハンターシステムの実装に力を入れるか』



●●●



「うーん……ダメだったか。あれだけ倒せば、(グレート)コッカローチが出て来るはずだったんだけれど」


 Gの大襲撃を乗り越え、トンネルを抜けた先で陽射しを浴びる俺達。


 ソイツが次の隠れNPC、シノビを手に入れるための条件の一つだったんだろうな。


「Gコッカローチ……そ、そんなのまで出て来られてたら……おえ!」


 アヤナの精神的ダメージが半端ない。



○ゴキブリ駆除へのご協力、ありがとうございました! 謝礼として、一匹につき500Gをお受け取りください。



「安ッ!!」


 思わず叫んでしまう!



275500(二十七万五千五百)Gを受け取りました。



 ていうか、俺だけで551匹も殺してたのか。どんだけ大量に居たんだよ!


「ほら、いっぱいお金が手に入ったよ、お姉ちゃん。好きだろ? これが好きなんだろう!」


 金袋を頬にぶつけられるアヤナ……アオイ、自分の姉に対してどんな元気付け方?


「…………たったの4317000(四百三十一万七千)G……フッ!」


 その笑いはどういう意味の笑いですか、アヤナさん?


 ていうか、何気に俺より倒してるし!


「ルイーサは大丈夫か?」


 ずっと叫んでいたアヤナよりも、ルイーサの方が顔色が悪い。



「しょ、正直……吐きッ――――オロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロッ!!」

 


 ………………マジかよ。


 お腹から下に、ドイツ美女の…………オロロロロロロロロロロロロロロロッ!!


挿絵(By みてみん)


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