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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第6章 人類の起源

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190.三つのルート

「どうですか、ご主人様?」


 今日出来上がったばかりの服を、トゥスカが着て俺に見せてくれる。


挿絵(By みてみん)


 黒い獣毛があしらわれた、真っ黒な服……前の服よりも大人びていて――妖艶だ!


「似合っている……似合いすぎているくらいだ」


 男共の邪な感情を、以前よりも引き寄せてしまいかねない程に!


「前に英知の街で手に入れていたヴァナルガンドの素材と、“ブラックオリハルコンの生織物”に、この町で購入出来る素材を合わせて作れる“災禍狼の戦装束”、Aランクだよ」


 以前の服と、基本的な作りは同じようだ。


「ルイーサ……その服、どことなくエッチね」


挿絵(By みてみん)


「そうだろうか? 私は気に入ったが」


 太股が映えるデザインの、剣をモチーフにした服か……うん、アヤナの言うとおり、エッチだと思う。


「“聖剣の白衣”、Aランク。聖剣と名の付く武器を特に強化してくれる補助効果がある。聖剣だけでなく、剣と名の付く物、分類される物なら全てに多少の補正が加わるようだ」

「さすが、メルシュが見繕ってくれた物だな」


 フェルナンダの解説に、ご満悦の様子のルイーサ。


 昨日、一昨日とどこか落ち込んでいるように見えたけれど、少しは元気になったようだ。


 でも……なんで落ち込んでたんだろう?


「アオイもだけれど、アンタも服に興味が無いわよね」


 ルイーサに呆れている様子のアヤナ。


「コセは、買い物が長い女と短い女、どっちの方が良い?」


 急に話を振ってくるアオイ!


「それは……短い方が良いし、そもそも買い物が長いというか……なかなか選ぶことが出来ない人間は、頭が悪いって……話が…………」



「コセ……今なにか言ったかしら?」



「……いえ、なにも」


 ――アヤナに殺されるかと思った!!


「ノーザンのその服……ちょっと透けてる?」

「いえ、青味を帯びた白なので、そう見えるだけかと」

「“薄氷の胴着”、Bランク。氷耐性と氷属性の攻撃を強化してくれるよ。凄く軽くて動きやすい分、直接攻撃に対しては前のEランクと大して頑丈さは変わらないから、気を付けな」


 シレイアが、ノーザンとナオの前で解説している。


「確かに、以前よりも動きやすいです。肌に引っ掛かる感じがほとんど無くて、肌触りも良いですね」


 ノーザンは気に入ったようだ。


「下着がうっすら見えている気がするんだけれど、気のせいかしら?」

「うん、実際透けてるよ、ノーザン」


「へ!?」


 困ったように俺を見てくるノーザン。


「ど、どうしましょう……コセ様……」

「普段はその上に鎧を着るんだし、大丈夫だと思うぞ?」

「そ、そっか」


 数日前に関係を持ってから、みんなに対して隙を晒しやすくなったかもしれないな、ノーザンは。


 それにしても……最近、本当に俺だけ新装備が無いんだけれど。


 武器の形状が変わったのを除けば、最後に手に入れたの“紫雲猿の靴”だからね。


 

            ★



 機織りの町に着いてから三日後の早朝、俺達は第十二ステージのダンジョン入り口に来ていた。


「ルートは三つに分かれてて、左から順に山ルート、川ルート、トンネルルートになってるよ」


 山に向かって上り坂になっている道と、小さな川が続く道と、暫く歩いた先にある煉瓦造りの古そうなトンネルが見える。


「別パーティーと接触する恐れがあるから、みんな気を付けてね」


「「「はい!」」」


 俺とトゥスカ、メルシュ、ルイーサ、アヤナ、アオイ、フェルナンダはトンネルへ。


 ジュリー、サキ、ユリカ、ヨシノ、タマ、モモカ、スゥーシャ、クマムは川沿いの横道を。


 サトミさん、メグミさん、リンピョン、クリス、ザッカル、ナオ、ノーザン、ユイ、シレイアが山へと向かう。


「サトミさん達のルート、人数は多いけれど大丈夫かな?」


 隠れNPCもアマゾネスのシレイアしか居ないから、心配だ。


 クリスはシステム上隠れNPCだけれど、精神的に隠れNPCと認識しない方が良いだろう。


「向こうはルール上飛べないし地形的な危険はあるけれど、出て来るモンスターで言えば一番楽だから。それよりも、私達が一番危険なルートを通るんだから、気を引き締めよう!」

「ああ」


 山は一番時間が掛かるけれど安全で、トンネルは一番短くて危険で、河は平均らしい。


 一応話は聞いているけれど、いったいなにが起こるのか。



●●●



「ゼー、ゼー、キッツいわね~」

「大丈夫ですか、サトミ様?」


 リンピョンちゃんが心配してくれる。


「だ、大丈夫よ」


 や、山ルート……お、思ってたよりキツいわ。


「クリスちゃんは平気?」

「わたぁし、日本の遺跡、たくさんいきまぁした! 凸凹多くて最初は大変だったけどぉ、もうなれまぁした」


 け、結構逞しいのね。


「そ、空さえ飛べれば」

「空を飛べないステージ、結構多いらしいな」

「歩くのは健康に良いですよ、サトミ様♪」


 メグミちゃんにリンピョンちゃん……他のみんなも、涼しい顔しちゃって。


 ユイちゃんやザッカルちゃんは先に行って様子を見てくれてるし、ナオちゃんですら平気そう!


「それにしても、ここまでまったくモンスターが出て来ないな」

「間引いてくれた人間が居たのかもね」


 メグミちゃんの言葉に、シレイアちゃんが返す。


「だとすると、近くにプレーヤーが?」

「複数のパーティーが同時に進めるタイプのステージは、モンスターのポップ率が曖昧だからね~。そうとも限らないだろうさ」


 シレイアちゃん、今回は得物が槍というか……投げ槍? なのね。


「みんな! グールバードズが来るよ!」

「スゲー数だ! 気をつけろ!」


 ユイちゃんとザッカルちゃんが戻ってきて、警告してくれる!


 嘴が鋼鉄で出来ているという、肉を引き裂くための鋭い歯を持った、烏くらいの大きさの鳥が空を覆いだした!?


「ねぇ……山ルートが一番安全なのよね?」

「この数は洒落になってないねー。仕掛けてきたタイミングも、戦いづらい急な坂を登ってる最中とは……観測者に狙われたかもしれないね」

 

 シレイアちゃんが冷静に分析。


「やるしかないようね! “二重魔法”――”颶風魔法”、ストームダウンブラスト!!」


 “紺碧の空は憂いて”を黒く覆われた鳥群の空に向けて、二つの大暴風弾を放つ!


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