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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第5章 無情のレギオン

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143.マクスウェルのフェルナンダ

 家にコセとユイだけを残し、私達は四源の洞窟に向かっていた。


 途中でタマとシレイア、モモカは別行動。


「ここだね」


 村の外れ、暗がりに洞窟への入口があるようだ。


 入口の周りを、皺が走るように四色の光が明滅しているため、かろうじてそこになにかがあると理解出来る。


「“閃光魔法”、フラッシュ」


 ジュリーが光球を作り出し、先頭へ。


 すぐに道が二つに別れる。


「私は左に行く」

「じゃあ、私達は右で」


 ジュリーとメルシュのやり取りのち、右の光りの皺がある方にメルシュ、トゥスカ、ノーザン、ナオ、ザッカル、サトミ、リンピョン、メグミ、ユリカがついていく。


 彼女達は右側に出て来るというモンスター、ミミック狩りが今日の目的だ。


「ルイーサ、パーティーを組もう」

「ああ」


 ジュリーに促され、私とアヤナ、アオイ、ジュリー、サキの五人でパーティーを組む。


 そして私達は、光源が無ければ何も見えないほど真っ暗闇な通路へと踏み出す。


 ジュリーの魔法と、最後尾のサキが持つ松明を頼りに進む。


「不気味ね」

 

 アヤナが、耐えられないとばかりに口を開く。


「階段だよ、気を付けて」


 道幅は少しずつ狭くなり、圧迫感が強くなってくる。


 階段を降りた先には、この場に似つかわしくない豪奢な扉。


「ここも違う」


 一昨日の件で、私達はジュリーが、このゲームのオリジナルを作った夫婦の娘であることを知った。


 アヤナはなにか言いたそうだったが、さすがに空気を読んで自重してくれたようだ。


 実際、私達がこの世界に送り込まれたことに対し、ジュリーに責任はないからな。


 ジュリーが触れると、扉が開いていく。


 部屋に全員が踏み入れると扉が閉まり、暗闇に火が灯された!


 明るくなった部屋の床は、綺麗な石畳。


 ただし、壁や天井からは岩が突き出ている。


「来るよ!」


 ジュリーの警戒の声ののち、奥の祭壇のような物の前に光が立ち昇り――黒メタリックカラーの騎士が現れた!!


 黒光りした曲刀と、赤、黄色、青、緑のタワーシールドを持つ巨軀の騎士。


挿絵(By みてみん)


「エレメンタルガーディアン。アイツには魔法が効かない。だから、アヤナは回復に専念!」


 指示を出していくジュリー。


「サキ!!」

「はい、マスター!! ――来て、サタちゃん!!」


 赤い魔方陣が地面に広がり、そこから黒いドラゴンが現れる!


 これが隠れNPC、テイマー独自の能力!


「サンダラススプランター!!」

「“鞭打ち強化”!」


 ジュリーが魔法を放つと、盾を構えて受けきるエレメンタルガーディアン。


 その隙を突き、サキによって強化されたサタちゃんが突っ込んで、エレメンタルガーディアンに体当たり!


 祭壇に向かってダイブさせてしまう。


 魔法は効かずとも、牽制には使えるのか。


「“大鬼の手”」


 アオイが昨日手に入れたスキルを使用。


 ”メイルブレーカー”を持たせ――エレメンタルガーディアンの右腕を突き刺して押さえ付ける!


 鎧の防御能力を無視する凶悪な効果があると、この前メルシュに教えて貰った武器。


「押せ押せ押せ押せサーターちゃん! 行け行け行け行けサーターちゃん!!」


 運動会で聞いたことがあるような”応援がテイマーのサキから聞こえてくると、サタちゃんの圧力が増す。


『グォォォォッ!!』


 エレメンタルガーディアンに再び突っ込むサタちゃんだが、盾で叩き伏せられ、そのまま蹴り飛ばされてしまう!


「“魔力砲”!」

「“白骨火葬”!」


 ジュリーによる攻撃を、盾で受ける黒騎士!


 だが、そのバカげた威力により腕はもげ、一瞬遅れて私の白い熱煙が到達! 奴の黒鎧を徐々に溶かしていく!


『ギ……ガ……』


「コイツ、まだ動くぞ!!」


「――”轟雷龍”!!」


 ジュリーの左腕の甲手から金色の雷龍が放たれ、エレメンタリガーディアンの左腕に盾ごと食らい付いた!!


「奴は光属性の耐性だけは低い! ルイーサ!!」


「任せろ!! ”闘気剣”!!」


 ”ヴリルの聖剣”に青いオーラを纏わせ、更に――文字を三文字刻む!!


「行くぞ!!」


 その瞬間、盾に食らい付いていたはずの雷龍が吹き飛び、接近する私に向かって叩き付け――


『――グォォォォッ!!』


 サタちゃんの咆哮の直後、背後から放たれた光の玉により、迫る盾の軌道が外れた!


 ナイス、サタちゃん!



「”光輝剣術”――シャイニングブレイド!!」



 黒騎士の巨軀の胸を、大きく切り裂いた!!


『ギガ……ガ………』


 やがて、沈黙した騎士から青白い光が立ち昇り始める。


「チャンス! ――“魔物契約”!!」

「へ?」


 サキが鞭を振るうと黒騎士の首に巻き付き、消滅の際の青い光が黄金の光に変わった!!?


 光が収まると、そこには傷一つ無い黒騎士が。


「成功です、マスター!」

「本当に……エレメンタルガーディアンをテイムしちゃった」


 どうやら、サキの能力でエレメンタルガーディアンを手に入れるつもりだったらしい。


「聞いていないぞ、ジュリー」

「ゴメン。チャンスが無ければテイムしないつもりだったから。テイムしようとして皆を危険に晒すのは避けたかったんだ」


 光に変わり始めても、襲ってくるモンスターは何度かいた。


 その辺の危険を考慮し、私達に気を遣わせないようにしたわけか。


 どっちの方が良かったとは、なかなか言えない所だな。


「貴方の名前は、エレちゃんにしよう!」


 サタンドレイクのサタちゃんと同じく、最初の二文字で名前を付けようとするサキ。


「ええー、もうちょっと格好いい名前を付けましょうよ!」


 アヤナの抗議。


「ええ、エレちゃんって可愛いじゃないですか!」


 サキ、本気なのか?


「カズトにしましょう! どうよ?」

「姉ちゃん……却下」

「私も、それならエレちゃんの方が良い」

「私も、人名はちょっと」


 アヤナの意見を否定する、アオイとジュリーと私。


「じゃあ、もっと良い意見出しなさいよ!」


「ハナちゃんで」

「アオイ! それじゃあエレちゃんとなにも違わないじゃない! ていうか、ハナってどっから出て来た!?」

「シンプルに黒騎士で良いだろう?」

「そんな堅いのはダメよ!」


 アオイと私の意見を、バッサリ不採用にするアヤナ。


「ジュリー、なにかあるか?」

「黒光り……というのは?」


「「「「却下で」」」」


 全員の気持ちが一つになった。


『我はアーサーなり!! 勝手に変な名前を付けるでないわ!!』


「「「「「へ?」」」」」


 黒騎士が……喋った?


『テイマーよ。仕方ないから仕えてやるが、我に変な名前を付けようとしたら許さぬからな!! 解ったか、小娘共!!』


 そう言いきり、青い魔方陣の中に消えていくエレメンタルガーディアン。


「「「「「……アイツ、喋るんだ」」」」」



            ★



 黒騎士が消えると祭壇が修復され、そこに四つの台座がある事に気付く。


「あの台座、玉を置くのにちょうど良さそうですね!」


 サキの、半ば投げやりな振り。


「……ルイーサ」

「ああ」


 祭壇に近付くと勝手にチョイスプレートが出て来て、四つの宝珠が飛び出す!


 宝珠……自分で置かなくても良いのか。


 なら、さっきの振り要らなくね?


「今度はなんだ?」


 宝珠が台座に置かれると祭壇が揺れだし……真ん中に少女の像が生えてきた!?



○以下から一つを選択出来ます。


★マクスウェルをパーティーに加える。

★精霊使いのサブ職業を手に入れる

★精霊魔法・四源強化のスキルカードを手に入れる。



「これが、隠れNPCとの契約……」


 予定通り、マクスウェルをパーティーに加えるを選択。



○隠れNPCを入手したため、ジュリーとサキをパーティーから強制排除しました。



 少女の像へと、四つの宝珠から赤と黄色、青と緑の光が吸い込まれていく!


「すご!」


 珍しいアオイの驚き声。


「……フン! 小娘、お前が私のマスターか」


挿絵(By みてみん)


 背の低いトゲトゲとした長い金髪の少女が、鋭い翠の瞳で私を睨む。


 祭壇から飛び降り、金糸で刺繍された黒マントを靡かせ、指の空いた手袋を直しながら近付いて来た。


「貴様には特別に、この私に名を贈る栄誉を与えよう」

「不遜な物言いだな、お前」



○名前を入力してください。



「……じゃあ、フェルナンダで」

「ほう、ドイツ語で危険を恐れぬ者か。良いじゃないか! 気に入ってやったぞ!」


 気に入ってやったぞ?


「まあ……よろしく」

「フン!」


 手を差し出すと、意外にもすんなり握手してくれるフェルナンダ。


 こうして、隠れNPCの魔法使い、マクスウェルが私達の仲間となった。


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