表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第4章 ケンシ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

132/956

128.魔精霊と宝珠

「第七ステージは短いけれど、油断しないようにね」


 突発クエストをクリアしてから二日後の早朝、俺達は第七ステージのダンジョン前でメルシュから最後の説明を受けている。


 昨日一日は、ここでしか手に入らないアイテム、レシピを買ったり、頑張って討伐していた組は休息に当てていた。


「よし、行くぞ」


 俺はトゥスカ、メルシュ、ザッカル、モモカと一緒に洞窟の中に入り、四つの別れ道のうちの一番右、黄色い宝石が壁に無数に埋め込まれている道に進む。


「早速来ました」


 トゥスカとザッカルが武器を構えると、黄色いオーラを纏ったゴーレムや、黄色く発光する土のスライムみたいなのが近付いてくる。


「“暴風魔法”、サイクロンカノン!」


 メルシュの魔法によって生み出された風の砲弾が、ゴーレム達を呑み込んで押し流していく。


「モモカも頑張る!」

「このステージは戦士に不利だから、ボス前までモモカ達は休んでいて良いよ」


 メルシュの強気な発言。


「ええー」

「ああ、頼んだ」


 俺達が選んだのはアースロード。


 土や石を模した、土耐性が高いモンスターが出る道。


 そのため、強力な魔法使いであるメルシュが居る俺のパーティーには戦士が集中させられていた。



●●●



「”煉獄魔法”、インフェルノ!!」


 紫の炎により、緑光を発するゴーレムや小さな竜巻のモンスターを蹴散らす。


「風系モンスターは炎が弱点か。炎特化のユリカの独壇場ね」


 ナオが褒めてくれる。


「ですね」


 メルシュに言われ、私をパーティーリーダーにナオとタマ、ノーザンの四人で、緑光を発する石が生えた洞窟、ストームロードを進んでいた。


「あ、別れ道です」


 タマが声を上げた時、チョイスプレートが出現。



○右:風の宝珠への道

 左:風の宝物庫



「左に行くと、敵が多い分色んなアイテムが手に入るんでしたよね?」

「メルシュは、強力な風属性の武器が手に入る場合があると言ってたな」


 タマとノーザンが、打ち合わせ通りの会話を始める。


「面倒くさいし、右に行きましょうよ」

「そうね。ネズミ退治で飽きたし」


 ナオの心底嫌そうな演技に私の拙い演技が引っ張られ、それっぽくなってくれた。


「じゃ、右に行きましょう」


 ナオの先導により、私達は右へ。


 そうしないと、新しい隠れNPCを入手出来ないから。


 このステージは他のパーティーと一緒に進めないタイプだから、パーティーを途中で二つに分けることは出来ない。そのため、どちらかしか選べないのだ。



●●●



「「“万雷魔法”、サンダラススプランター!!」」


 サトミさんと共に、ウォーターロードのウォーターゴーレムとウォーターエレメントを雷属性の魔法で消し飛ばす。


「大きい杖も悪くないわね。ザッカルちゃんに感謝だわ♪」


 サトミさんが手にしているのは、ナオと同じ“栄光の杖”。


 ザッカルが、第五ステージで偶然手に入れていたAランクの大杖だ。


 杖には魔法の威力を上げる効果があるため、近接戦闘をしないサトミさんが使うことになった。


「ジュリー、あれ」


 兎獣人のリンピョンが指し示すその先には、青い玉が祀られた祭壇が。


「あれが”水の宝珠”? 綺麗ね~♡ ジュリーちゃんも、そう思わない?」

「そうですね……とっても綺麗です」


 サトミさんの言葉に、心から同意する。


 それにしても、この宝珠四つ全てをそれぞれの道で集めないと、第八ステージの隠れNPCが手に入らないとは。


 本来ここに配置されている宝珠は、全て“高値の宝珠”というアイテムで、1500000(百五十万)Gで買い取って貰えるだけのアイテムだったのに。


 まあ、この宝珠も同じ額で売れるらしいが。


 これだけ隠れNPCの入手条件が厳しければ、第八ステージの隠れNPCが取られている可能性は低そう。


 四種の宝珠を一人の人間が所有していなければ、隠れNPCに会うことすら出来ないのだから。


 石階段の町には宝珠が1500000(百五十万)Gで売れるって教えるNPCも居るから、気付かずに売り払いそうだし。


「じゃあ、取ります。気を付けてください」


 私がサトミさんとメグミさん、リンピョンとサキ、サタちゃんに合図して“水の宝珠”をチョイスプレートにしまうと……激しい揺れが起こった。


 地響きと共に宙に青い水が出現し、脚のない人型に姿を変えていく!


『ウォーーーターーーーーーッ!!』


 ”水の魔精霊”。


 強くは無いが、雷属性の攻撃以外ほとんど効かない厄介なモンスター。


 雷属性による攻撃手段が無ければ、ゲームオーバーほぼ確定の敵だ。


 ここ以外の道にも、それぞれ土、風、火の魔精霊が配置されている。


「“万雷魔法”、サンダラススプランター!」


 サトミさんが放った魔法を、避けてしまう精霊!


「“避雷針”!」


 “避雷針の魔光剣”にサトミさんの魔法を吸わせ――跳躍!!


『ウォーーターーーーーッ!!』


 ――雷を纏った剣で、水の魔精霊を両断した。


「助かったわ、ジュリーちゃん!」

「いえ」


 対処法さえ分かっていれば、大した敵じゃ無い。


「さて」


 チョイスプレートを確認し、ウォーターエレメントのドロップアイテム、“水の精霊石”の入手数を確認。


 数は24。もう少し手に入れておきたい。


 このペースなら、ボス部屋前に目標の30に届くとは思うけれど。


 ”水の魔精霊”が倒された事で、辺りが安全地帯に変化。


「悪いな、サトミ、ジュリー。疲れてないか?」


 心配して声を掛けてくれるメグミさん。

 雷属性の魔法に弱い敵ばかりだから、ここまでの数時間、私とサトミさんの二人でほとんどの敵に対処していた。


「少し休みましょうか、ジュリーちゃん」

「そうですね」


 一番しんどいであろうユイ達は、大丈夫かな?



●●●



 ファイヤーエレメントというモンスターから、巨大な火の玉が近付いてくる!


「“水属性付与”」


 水を刀剣に纏わせたユイが、瞬く間に火の玉や炎を纏ったゴーレムを斬り伏せていく!


「「“氾濫魔法”、リバーバイパー!!」」


 アオイとアヤナの二人が水属性の魔法を行使。水の大蛇によってあっという間にモンスター達が光に変わっていった。


「あづい~!」


 辺りが赤い石だらけのファイヤーロードは、気温が半端ない。


「軽く三十度は越えてそうだ」


 炎のモンスターのせいで、気温が高い中を何時間も進んでいた。


 重い鎧を装備している私が、一番キツいかもしれない。


 小まめな水分補給を繰り返し、ようやく宝珠付近までやって来る。


「ルイーサ、どうする? 宝珠を取ってさっさと精霊を倒しちまえば、ここに安全地帯が出来るけど」


 そう尋ねてきたのはシレイア。


「ここで休んでも暑さで体力を持っていかれる。さっさと魔精霊を倒して、一旦屋敷に避難しよう」

「オッケー」

「うん、同意」


 アヤナとアオイは、辛そうだが返事をしてくれた。


 ユイは涼しそうだな。顔に出てないだけだろうけれど。


「シレイアは、まったく問題無さそうですね」

「隠れNPCだからね。基本的に、疲れという概念が無いのさ。暑いことは暑いけれど」


 シレイア、私には人間となんら変わらないように見えるのだが。


 疲れ知らずというのなら、むしろ頼りになる。


「よし、”火の宝珠”を取るぞ!」


 宝珠を回収すると、火の魔精霊が姿を現した。


もしかしたら、どんな隠れNPCが手に入るか予想できた人も居るかも!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ