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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第4章 ケンシ

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120.スタンピードラット掃討戦

「コセ達が突入するために、とにかく数を減らせ!」


 ジュリーの檄が飛ぶ。


 突入組に力を温存させるため、私達足止め組が中心になって襲ってきたネズミに対処しなければならない。


 単純計算で、二十五兆を越える巨大ネズミ。


 ……気持ち悪ッ!! 特に尻尾が!


「ナオは、あまり攻撃に参加しないように!」

「分かってる!」


 他の皆と違い、私には明確に与えられた役目がある。


「”万雷魔法”、サンダラススプランター!!」

「”煉獄魔法”、インフェルノバレット!!」

「”暴風魔法”、サイクロン!!」

「”光線魔法”、アトミックシャワー!!」

「”衝撃魔法”、インパクトウェーブ!!」

「”氷塊魔法”、アイシクルバレット!!」


 ジュリー、ユリカ、サトミ、アヤナ、メルシュ、私が屋根の上から放った魔法が、押し寄せるネズミ達を薙ぎ払う!


「「「チチチチュ!! チチチチュ!!」」」


 勢いは止まることなく、すぐに後続が流れ込んできた。


「ナオ!」


 コセが、私に飛び掛かって来たネズミをいつもの大剣で弾いてくれる!


「ありがとう!」


 本当なら今夜、私とコセは一つになる予定だった。


 ……ぅう、残念。



 ――ネズミ共、絶対に許さない。



「”竜技”、ドラゴンブレス!!」


 モモカの放った閃光が、ネズミを数百匹まとめて消滅させる。


 全部で何十兆匹とか、全然イメージが湧かない!


「キキ!」

「邪魔!」


 左手に装備した“ドラゴンナックルバスター”で、また飛び掛かって来たネズミの眉間を殴り、絶命させる。


 ……ちょっと、火着いてきた!


 私以外の魔法使いは次々と魔法を放ち、数を減らし続けている。


 ネズミ共は、私達を狙う物も居れば、その辺の石に齧り付いたり、より高い場所の巨大岩へと向かって駆けていっている奴もいた。


 あそこに、ザッカル以外のプレイヤーが居るのか。


「メルシュ、あとどれくらいだ?」

「ネズミの流出が止まるまで、五分ってところかな」


 あと五分もすれば、戦士の面子はほとんど居なくなる。


「メルシュ、ネズミの接近してくるスピードが思ったよりも速い。魔法使いの護衛に突入組を何人か残そう」

「……なら、タマとメグミ、アオイの三人かな」


 それだと、突入組はコセ、トゥスカ、メルシュ、ルイーサ、ノーザン、ユイ、シレイア、ザッカルの八人だけに!


「そんなに減らして大丈夫なの!?」

「突入組はそんなに数が居ても意味ないし、魔法に集中するためにも、一人に一人は護衛が居た方が良さそうだしね」


 臨機応変に対応している私の彼氏、格好いい!


 私も早く、トゥスカ達みたいに結婚したい!


 第九ステージの街まで、結婚はお預けなのよね。


「タマ! メグミ! アオイ! 三人は残って、足止め組のサポートに回ってくれ!!」


 それを聞いた三人は、それぞれタマはユリカ、メグミは私、アオイは姉のアヤナの護衛に回った。


 ジュリーの元にはモモカとサキ、それにサタちゃん。

 サトミの所にはリンピョンが援護に入っている。


 コセの仲間って、気が利く子が多い。


 下手したら、私が一番気が利かないかも!


「時間だよ! お願い、ナオ!!」


 

「“二重魔法”――”氷炎魔法”、アイスフレイムバーン!!」



 ”氷炎魔法”により眼前を、ネズミごと町の端まで一気に凍らせた!


「行って!!」

「私の後に付いてきて! フライ!」


 飛び上がり、氷の道の上を飛行しながら、新たに現れたネズミに魔法を放って減らしていくメルシュ。


 メルシュの役目は、“英知の引き出し”で得られる情報を使った道案内。


 魔法特化のあの子は洞窟に入ったら出来ることがほとんど無い予定のため、その誰よりも強力な魔法で、私達の負担を減らしてくれる事になっていた。


 メルシュの後をつけるように、私の彼氏と六人の女が氷の道を駆けていく。


「ちゃんと帰って来てよ、皆」


 私より、良い子ばっかりなんだからさ。



●●●



「大蛇の石柱」


 “大蛇の石柱の指輪”により、蛇を模った石柱を迷路の穴を塞ぐように召喚する。


「結構便利だな、この指輪。回数制限も無いし」

「私も、こんな使い方があるとは思わなかったよ」


 魔神・鞭蛇を倒した報酬で選んだアイテム。


 迷路状の道に四方八方から攻められるのを防ぐため、通り道にあった、俺達が通るには小さすぎる穴に柱を挿して進んでいた。


 ナオ達のおかげで、暫くは背後を気にせず進める。


「来ました、ご主人様」


 人が三人くらいは並んで歩けそうな、比較的広い道を選んで進んできた俺達の前から――ネズミが押し寄せてくる。


「ここなら、私の魔法でも問題無いかな――アトミックレイ」


 一直線に続く石の通路に、青白い閃光が駆け抜け、爆発を起こす。


「無茶すんなぁ、お前」

「後はよろしく、ザッカル」

「へへ、頼もしい奴等だぜ。アイツらとは大違いだ」


 メルシュとザッカルの、軽快なやり取り。


「タイムリミットは、二倍に増殖する子の刻である零時。残り、およそ六時間。急ごう」


 メルシュを先頭に、進み続ける。


「もう辿り着いたか」

「だね」


 朝、俺とメルシュが辿り着いた縦長の空洞。


「今朝程じゃないけれど……居るな」


 気持ち悪いくらいにウヨウヨと。


「道はこの下だよ。先に進むには、コイツらを全部駆除しないと」


「なら俺が」


 今朝と同じ要領で。


「待って、私がLv30で手に入れたスキルを使うよ」


 そう言い、”飛行魔法”を使ったメルシュが空洞の中へ。


「――“激情の法則”」


 戦士がLv30で“激情の一撃”を手に入れるのに対し、魔法使いは“激情の法則”というスキルを得る。


 使用条件は、戦士であればTP一割以下、魔法使いであればMPが一割以下となること。


 一日一度しか使えない、追い詰められた時のための切り札。


 迷路に入るまでに、雪崩れ込んでくるネズミを相手にしなければならないナオ達のため、メルシュは魔法を乱発したからな。


 それでも、全体から見てどれだけのネズミを減らせたのか。


 メルシュが輝き、その手に様々な色の光が収束していき――ネズミ群に向かって放たれた。


「マスター、あとよろしく!」


 急いで横穴に入り、俺の後ろに隠れるメルシュ!?


 なに、この変なデジャブ!?


「全員、伏せろ!!」


 咄嗟に大地の盾を翳すと、次の瞬間、爆発による衝撃波が襲ってきた!!


「メルシュ……怒って良いか?」

「マスターがそれ言う?」


 怒っているわけじゃない。

 むしろ、俺はメルシュとの軽口を楽しんでいる。


 下手すると、トゥスカよりもメルシュと話している事の方が多いかもしれない。


 ベッドの上を除いて。


「時間がねーんだ、イチャイチャしてないでさっさと降りるぞ」


「「すみません」」


 ザッカルに促され、俺達は縦穴を降りていく。


 ……イチャイチャしてるつもりは無かったよ?


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