表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第4章 ケンシ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

117/956

113.最強の隠れNPC?

「サイクロン!!」


 第六ステージの昨日の続きから、俺は三人で攻略に挑んでいた。


「こうしてお姫様抱っこしてもらうの、久しぶりですね♡」

「そうだな」

「そこ、イチャイチャしないでよ!」


 俺達が今居るのは、常に少量の水が流れ続ける坂、その間にある狭い道。


 水に足を取られて坂を転がっていったら助からない。


 そのため、“壁歩き”で足の裏を吸着させられる俺が、トゥスカを抱っこして進んでいたのだ。


 メルシュは”飛行魔法”で飛べるため、先程から何度も襲ってくるゲイルイーグルを迎撃してくれている。


 わりと危険な地形だけれど、他の皆は大丈夫かな?



●●●



「あ、もう林が見えてきましたね」


 私は”飛行魔法”で、タマとノーザンは“蒼穹を駆けろ”の能力で飛んで来たため、効率的にモンスターを倒しながら川坂エリアを抜けられた。


「降りるわよ」


 歩いて行かないと、タイラントは出現しないらしい。


 さすが隠し要素ってところか。


 道らしく踏みならされた道の上に降り、そこから一度左に入って、わざと戻る。


「今、あっちからなにか聞こえたような?」

「行ってみましょう」


 というノーザンの嘘で、今度は反対側の道へ。


 タイラントが出現するのは、進行方向から見て右側だと聞いていた。


 今のは、偶然を装ってタイラントに接触するための芝居。


 正直、面倒くさい。


「なにも……居ませんね」

「……大きな気配も無い」


 結構進んで来たのに、感知能力の高いタマですらタイラントを発見出来ない。


「もう少し探してみましょうか」


 コセと結ばれて今日は機嫌が良いんだから……まさか、本当に居ないなんて事は無いわよね?



●●●



「サタちゃん!」


 サキの鞭がサタちゃんに当たると、サタちゃんが林から襲い掛かって来たシールドモンキーに体当たりして突き飛ばす。


「頑張れ、サタちゃん!」

「クエー!!」


 モモカの応援に、勇ましい声を上げようとする幼い黒竜。


 サタちゃんには、私達とは別にLvがあり、第六ステージに入った当初はLv1だった。


 経験値を多くくれるギガントのおかげで今ではLv24まで上がったけれど、私達と違い職業があるわけでもなければ、Lvアップによる特典も無い。


 正確には、私達とは違う設定がある。


 おそらく、敵として現れるモンスターと同じ能力値の上がり方。


 それと、最初はスキルなんて無かったのに、Lvアップによって少しずつ身に着けていた。


 今攻撃に使えるのは、“火炎弾”、“竜気弾”、“魔光弾”、の三つだけ。


 常時発動のスキルが別に、“竜皮”と“再生”、“索敵”。


 装備1と装備2というのがあるけれど、これは指輪とその他装備の一部、お守りのいずれかを持たせられるらしい。


 私の知るオリジナル版には無かった要素。


「サキの実力も見たいから、サタちゃんを援護して」


「え!! ……うぅ……分かりましたよ」


 サキが鞭を持ち替える。


 サタちゃんを攻撃したのは“怪物強化の鞭”で、最初から持っているテイマー専用のSランク装備。


 攻撃能力は皆無で、特殊効果の“魔物強化”により、味方のモンスターを一時的に強化することにしか使えない。


「“深淵鞭術”、アビスウィップ!」


 シールドモンキーの甲羅のよう青い盾を避けて、頭を切り裂くサキの鞭。


 ”深淵鞭術”は、”深淵魔法”と鞭術系のスキルカードを10000G使って作り出した”深淵鞭使い”のサブ職業によって使用可能となった物。


 Lv24になった時に使用できるようになる、サブ職業作成機能を利用したのだ。


「さすがの殺傷力ですね、この鞭」


 今サキが攻撃に使った鞭は“竜皮の削り鞭”、Aランク。


 コセ達が、竜となったレプティリアンを倒してドロップしたアイテムを鍛冶屋に持ち込んで作らせて貰った物だ。


 レプティリアン達を倒した事で、彼等が持っていたアイテムやお金、スキルまで大量に手に入っているため、皆の指輪やその他装備が少し充実した。


 メイン武器に関してはランクが低かったり、誰も使っていないタイプの武器だったため、あまり変わっていない。


 サキの予備武器である“ダマスカスナイフ”Bランクは、彼等の持ち物だけれど。


「ちょ! なんで私ばっかり~ー!! ”滑走”!」


 シールドモンキーと投石モンキーの狙いが集中しだしたため、“滑走のブーツ”の“滑走”を使用し、地面を滑って逃げるサキ。


 あの靴もレプティリアンが持っていたアイテムで、戦闘力の低いサキに優先して持たせた。


 サキはモンスターと契約出来るため、他の隠れNPCよりも弱く設定されているという。


 実際、彼女のテイマー固有スキルは“魔物契約”と“応援”。自分を強化するものではないうえ、戦士なのに鎧も装備出来ない。


 だから、少しでも回避して貰えるよう機動力を上げたのだ。


「サタちゃん、助けて~」


 でもサキには、私達プレーヤーがLvアップでパーティーメンバーの最大数を増やす代わりに、契約出来るモンスターの数が増えるという仕様がある。


 Lv29になったサキが契約出来るモンスターの数は、現在三体。


 サキこそが、契約モンスター次第では最強の隠れNPCにもなれる存在なのである。


「マスター! モモカちゃん、助けて~ー!!」


 て、私に情報をくれたオルフェが言ってた。


 ……本当か?



●●●



 昼過ぎ、ボス部屋に繋がるポータルが置かれた安全エリアから、俺達は館に帰ってきていた。


 ただ、まだルイーサ達だけが戻って来ていない。


 第三ステージ、英知の街でメルシュからアドバイスを貰っているパーティーは、魔法使いに”飛行魔法”を覚えさせている。


 けれど、ルイーサ達“乙女騎士団”の唯一の魔法使いであるアヤナは、”飛行魔法”を覚えていないためか攻略が遅れているようだ。


 実際、あの足場で飛行型モンスターと戦うのは危険だからな。


 メルシュがタマに“蒼穹を駆けろ”を強く薦めたのは、魔法使いじゃない者達に飛行手段を与えようとしていたからなのかもしれない。


「タイラントが居なかった?」


 リビングにて、ユリカの発言に驚くジュリー。


「ごめん。念入りに探したつもりなんだけれど、見付けられなくて」

「右の林に入って暫くすれば向こうから近寄って来るはずだから、見付けられなかったとは考えにくい……既に誰かが手に入れた後だったのかも」


「確か、今回の隠れNPCはタイタンだっけ?」


 近場で聞いていた俺は、二人の話に割って入った。


「そう。タイラントに酷似した見た目で、パワーとタフネスの戦士って聞いてたから、魔法使いのユリカと組ませるべきだと思ったんだけれど……」


 強力と言われる隠れNPC……未契約は後どれだけ残っているのか。


 その隠れNPCは、基本的にマスターに逆らえないと言う。


 契約したマスターが敵として現れた場合、十中八九戦わねばならない。


「仲間に出来なかったタイタンとギルマンの攻略法、話し合っておいた方が良いかもしれないな」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ