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100.テイマーのサキ

『なんで勝手に、頭が竜に? ……だが、力が漲るぞ!』


 Lvが3も上がればな!


「ジュリー達は行ってくれ! ここは引き受ける!」

「お願い!」


 この場に残ったのは八人。


「コセ達も行け! さっきの情報を、サトミ達にも知らせた方が良い!」


 ルイーサの提案は、ありがたいものだった。


「気を付けろよ!」


『逃がすかよ、ノルディック!』

「ノルディック、ノルディックと、バカの一つ覚えみたいに!」


 ルイーサの剣と、竜化したレプティリアンの男のメイスが激突した。



●●●



 ”競馬村”を囲むレースのコース外側に、一件の家がある。


 一応警戒しながら、家の裏にある牧場へ。


 オリジナルでは、コースより外には出られない仕様だったのに。


「ジュリー様、あそこに女の方が!」


 タマが指差す方向に、ターバンのような物を頭に巻いた黒髪短髪の女の子が佇んでいた。


挿絵(By みてみん)


 白い外套に身を包んだ遊牧民のような格好をしており、黒光りする鞭を手にしている。


 ……結構エッチな格好だな。太股が強調されているような気が。


『クアー!!』


 幼竜が駆け出し、女の子の元へ。


「あら、貴方は!」


 幼竜がじゃれつくと、少女が嬉しそうに抱き止める。


「貴女方が、この子を連れて来てくださったのですか?」

「ええ……まあ」


 どうしよう、茶番感が拭えない。


「ありがとうございます! この子、いつの間にか居なくなってて、ずっと心配していたんです!」


 私がディケイドウルフを連れて来ても、同じセリフを言ったんだろうなー。


「なにかお礼をさせてください! 是非!」



○以下から一つを選択出来ます。


★テイマーをパーティーに加える。

★調教師のサブ職業を手に入れる

★調教の心得のスキルカードを手に入れる。



 私は、★テイマーをパーティーに加える。を選択した。



○幼竜がパーティーから外れました。


○隠れNPCを入手したため、ユイとシレイアをパーティーから強制排除しました。



「冒険のお役に立てるかどうか分かりませんが、よろしくお願いします!」


 無邪気な笑顔。


「よろしく。へと……」

「私の名前は好きなように呼んでください、マスター」


 ニッコリ、優しく微笑む隠れNPC。


 こうして見ると……本当に人間のよう。



○名前を入力してください。



 キーボードが表示される。


 そう言えば……名前、考えてなかったな。


「じゃあ……サキで」


 昔、仲の良かったお姉さんの名前を付けてしまった。


「ジュリー!」

「ジュリー様!」


 ユリカとタマの切羽詰まった声!


『見付けたぞ、ノルディック!』


 翼を生やしたドラゴンが――飛んできた!?


 さっき会ったレプティリアンよりも身体が遥かに大きく、よりドラゴンっぽい!


「な、なんなんですか、アレ!? マスター、怖いです!!」


 隠れNPCが一瞬で泣き虫になって、私の背後に隠れやがった!?


『よくも我等の同胞を! 六人まとめて殺してやる!!』


「……うそ」


 ドラゴンの口から、巨大な砲撃が放たれる!


「――”魔力障壁”!!」


 MPの十分の一を消費して展開する、半透明の黒い壁を展開!


 ぐううぅぅ……キツい……このままじゃ!


「――ハイパワーアロー!!」

「”煉獄魔法”――インフェルノカノン!!」


 シレイアとユリカのお陰で、ドラゴンの攻撃が止む!


 結界を解くと、ドラゴンの脚に穴が開いているのが見えた。


 翼の一部も焼け焦げている。


 途轍もなく巨大なドラゴンだけれど、与えられた傷が倒せない敵ではないと教えてくれているよう。


『ちぃ! ノルディック風情が!!』

「タマとアタシ、それにサキも違うんだけれどね」


 ドラゴンが高度を上げる!


『覚えていろ! あの赤い玉をもっと食らって、圧倒的な力で捻じ伏せてやる!』


 ドラゴンが去って行く。


「フー……ねぇ、サキ」

 

 ちょっとくらい文句を言いたい。


「ちょっと、サタちゃん。そんな物、食べちゃダメだよ!」


 サタンドレイクの尻尾を引っ張り、赤い玉を食べないよう邪魔しているサキ。


 でも、抵抗虚しく食べられる。


「あれ? 幼竜の身体……大きくなってない?」



●●●



「お、おい、本当に大丈夫なのか?」

『ああ! 最高の気分だ! この力で、なにもかもぶっ壊してやる!』


 ワイルドな見た目の蜥蜴男が、両刃の斧を振り回す!


『おら、くたばれ! ハイパワーアックス!』

「シールドバッシュ!」


 蜥蜴男の攻撃を、”パラディンストーンの剣盾”で弾く!


「アヤナ!」


「くたばりなさい! ”光線魔法”、アトミックレイ!」

『死んでたまるか!』


 仲間の男を、盾にした!?


「なにしやが――――」


 アヤナが放った青白い光線にその身を滅ぼされる、盾にされたレプティリアン。


『足りねぇ! こんなんじゃ全然足りねぇ!!』

「パワーフリング!」

『ぐぁぁぁああああああああああッッ!!!?』


 逃げだそうとした蜥蜴男の左眼に、アオイが放った杭が突き刺さった!


『いだい! いだい! ――いだいぃぃぃッ!!』


「今、楽にしてやる」


 コイツはクズだが、苦しめるのは本意じゃない。


『あったぁぁぁぁッッ!!』


 ――赤い玉が新たに出現し、蜥蜴男が飛び付いた!


『来た来た来た来た来た来た来た来た来た来た来た来た来た来たーーーー!!』


 男の身体が前傾姿勢となり、一回りデカくなる!!


「あの玉……傷まで再生するのか!」


『もしかして、吸収した分だけ強くなれんのか? こうしちゃ居られねー!!』


 赤い玉が持続的にポップするのなら、レプティリアンだけが無限に強くなれると言うこと!


「逃がしてたまるか!」

「アイスフレイムバレット!!」


 ナオの放った魔法が、上手く足止めになる!


「今度こそ! アトミックシャワー!」


 アヤナの魔法が、幾重ものレーザーとなって蜥蜴男に降り注いだ!


『ぐああああああああッッ!! 嫌だぁぁぁあああああああああああ!!!』


 身体の大半が蒸発したにも関わらず、まだ生きているとは!


 ――しかも、蜥蜴男が這いずる先には赤い玉!


「させるか! ”瞬足”跳躍”!」


 スキルの連続使用により、前方に勢いよく飛び上がりながら距離を詰め――剣を逆手に持つ!



「ハイパワープリック!!」



 蜥蜴男が赤い玉に触れるよりも早く、その頭蓋を白石の剣で貫き砕いた!



◇◇◇



『良いじゃん、良いじゃん! ゲームバランス、ばっちしだね!』


 ”竜化の宝珠”二つでも、連携取ったパーティーには勝てないみたいだけれど。


『”竜化の宝珠”によるパワーアップは、一応無制限』


 時間が経てば経つほど、ノルディック側が不利になる。


『さて、他はどうなってるか…………うわー、さすが出来損ない共』


 私が仕掛けた突発クエストが、こんな結果を招くとは。


『ほんっとう! バカな奴等ー』


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