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プロローグ 三人の冒険者

偉大なる英雄コセ

挿絵(By みてみん)

 巨大な洞窟の中に、戦闘音が木霊する。


「サイクロン!」


 白髪と見紛う薄緑の髪の少女が“暴風魔法”を発動し、屈強な巨体と黄色の皮膚を持つ巨人、“ギガント”の動きを竜巻で止める。


「ハイパワーブーメラン!!」


 “大転剣術”により、凶悪な威力を込められたブーメランが、サイクロンが収まった直後にギガントの左腕を両断した!


 戻ってきた巨大なV字ブーメランを手にしたのは、長い黒髪の犬獣人、トゥスカ。


 モデルのように長い手脚を持つ、自慢の奥さん。


 俺にとって、唯一無二の最高のパートナー。


「ご主人様!」

「マスター!」


 トゥスカ達二人のパーティーメンバーが作ってくれた隙を付き、八メートル近くあるギガントに肉薄する。


『ガアアアアアアアアアアッッッ!!』


 ギガントの、右腕による薙ぎ払いが迫って来た。


「――“拒絶領域”」


 俺を包むように現れた円柱状の領域により、黄色い皮膚の巨人の腕が弾かれる。


「“瞬足”」


 ガラ空きになったギガントの正面に、一足で瞬時に距離を詰める!


 同時に手にした大剣、”強者のグレートソード”の刀身に三つの神代文字を刻む。


 扱う方法が定かではない、チートじみた力を発揮する謎の青白い文字を。


『ガアアアアアアアアアアアアアッッッ!!』


 ギガントの雄叫びに震える空気の波に逆らい、肉薄!



「ハイパワーブレイド!!」



 ”大剣術”を発動し、振りかぶりからのグレートソードの一撃を見舞い――肉厚な巨体のギガントを一刀両断。


 真っ二つになった黄色の巨人が、血を撒き散らしながら地面に倒れるよりも速く……その巨体は光になって消えた。


「ハアハア……よし」


 たった三文字だけだけれど、自分の意思で安定して引き出せるようになってきている。


 ……この力、本来のゲームには存在しなかったそうだから使うのは気が引けるし、精神の消耗が激しいため頼りすぎるわけにもいかないけれど……()()()()()()()()()()()()()()、そうも言っていられない。


 わけが分からないまま、突然RPGゲームのようなルールの世界に放り込まれてからおよそ一ヶ月。


「やりましたね、ご主人様!」

「私達なら、ギガント相手でも楽勝だね、マスター!」


 ここまで俺を支えてくれた二人が、笑顔を向けてくれていた。


 ……早く、このゲームを終わらせないとな。


「二人ともお疲れ。予定通り、今日は次の安全エリアで休んだ方が良さそうだな」


 この異世界で繰り広げられる醜悪なゲーム、ダンジョン・ザ・チョイスを終わらせるため、俺達は戦い続けていた。

 

 このゲームを仕組んだ、強大な存在に抗いながら。


サンプルAIイラスト


犬獣人のトゥスカ

挿絵(By みてみん)

大賢者

挿絵(By みてみん)


十五章辺りから、使用するAIイラストのアプリを変更しています。上が旧、下が新。


主人公

挿絵(By みてみん)

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