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09 VSデカドス:ゲティンドーラ③


「む、むぅ」


 圧搾光砲弾の廃薬莢をメインマニピュレーターで取り出しながら、バルドは呻いた。


「魔術障壁を抜けても、威力がでないのか」


 ゲティンドーラはその時その場にあった砲弾を産み出す女神だ。

 もの凄い数の光を束ねた砲弾ですら、従える。


「ふ、はは」


 バルドは自分にも分からないまま、喜びの声を漏らした。


「よいな。これは良い」


 狩りでも退治 でもない。

 討伐でも駆逐でもない。

 ただ初めて相まみえる敵と、相手を知らぬまま雌雄を決する。


 未知だった。

 間違いなく、これは作業ではない。


 ああ、次は何をどうしようか。


 いや、まてよ。


「はは、だが、これを受け続ければ、どうかな」


 爆槍弾を生成する。

 左腕で、胸の穴に装填した。

 なにやら魔力で出来た板を周囲に作り出しているのが、分かる。

 が、薄く脆いと、ゲティンドーラはバルドに教えていた。

 ならば、直接ぶち当てれば良いだけだ。


 撃つ。


 スコープ越しに写る黒い神機は避けた。

 避けただけではこの砲弾は逃れ得ないはず。

 バルドには良くは見えないが、障壁で爆発だけ防いだのか。


「おお、既に最適解を。はは、はははは!」


 バルドは自分でも知らぬうちに笑い声を上げた。


「何をするつもりだ? いや」


 口の中で含み笑いをし、バルドは口角をつり上げた。


「くくく、関係無いか」


 次の砲弾を作るようバルドはゲティンドーラに命ずる。


「撃ち落とす。そして、撃ち取る。勝つのは私だ」


 脚の弾薬庫から次弾を取り出しながら、バルドは言った。


「たしか、カズマと言ったか。私に勝ちたいと思わせた事、後悔するんだな!」


 スコープを覗く。

 視界の隅にはレーダー画像。

 そして大きく映し出されているのは黒い敵機だ。

 初撃で右腕をもいだが、それだけであった。

 直ぐに爆槍弾には対処してみせたのだ。

 次の圧搾光にはバルド自身の知識経験不足もあったが、被害を抑えられた。


 状況対応能力が高い。

 ああ、そういえばフィルスタの若者も、初弾を避けようとしていたか。

 爆槍弾でなかったら避けていただろう。


「く、ふは」


 バリア1つあれば対処できていたのだろうな。


「次」


 装填し、撃つ。

 ただの質量弾だ。

 容易く避けられる。


「次」


 装填し、撃つ。

 近接信管の砲弾。

 避けてから障壁で防がれた。


 スコープに写る黒い敵機は宙を跳ねて空から接近しようとしているようだ。

 魔力障壁を足場に、ジグザク三次元機動で狙いを付けにくくしている。

 狙撃に対処するなら妥当な判断だ、とバルドは唸る。


「ならば、散弾か」


 胸部チャンバー内に入った砲弾の組成を変えるよう操作した。

 ゲティンドーラの弾薬庫は万能ナノ物質が満ちている。

 その時その場に応じて組成や構造を操作することで様々な砲弾を作り出すのだ。


 狙いを付けて、撃つ。


 砲弾が貫く前に黒い敵は移動した。

 弾は爆裂し、子弾がバラ撒かれる。

 多数の子弾が敵機の障壁に当たり爆発、障壁が消えた。

 敵機はバランスを崩した程度で、ダメージはないようだ。

 作り出した足場の上で体勢を整え、再び宙を跳ね出した。


「く、直ぐに次弾を撃てないのがもどかしいな」


 一発ずつ装填せねばならないゲティンドーラは、連射が出来ない。


「いや、そういう弾を作れば良い。ふは、これならどうだ?」


 バルドは弾薬庫から異様に長い砲弾を取り出した。


「散弾と徹甲弾を順に撃つ。可能か?」


 腕を使い、胸の装甲を開き、薬室に装填する。

 長さが災いして少し時間が掛かった。

 その間も黒い敵機からバルドは目を離さない。


 黒い敵の動きはアトランダムに見える。

 落ちたり二度上に行ったり左や右に振ったり。

 だが、完全なランダムはあり得ない。

 なぜなら、相手は接近しようとしている。

 これは間違いない。

 ならばこちらに来る回数は多いし、下がる回数は少なくなるはずだ。

 避けるときはジャンプで直ぐに対応するから上方向に逃げる。

 角度に違いはあるが間違いなく、脚を使ってジャンプで避ける。

 数度試した。

 スラスターや緊急回避のシステムは、ない。


 バルドはスコープ越しに狙う。

 引き金を引き、避ける方向を確認して次の対処が間に合わないうちに、再度撃つ。

 出来るはずだ。


「覚悟」


 小さく呟き、引き金を引いた。

 スコープの中の敵機は着弾直前に足場の上で障壁を展開する。

 着弾、バリアが消える。取った。引き金を引く。

 砲弾が敵機の頭上を通り過ぎた。


「何!? いや、なるほど」


 なんということはない。足場を消しただけだ。

 もしかしたら残った腕で障壁を押して下降したのかもしれない。


 そもそも、足場に二本の脚で立った状態で散弾を受けられた。

 これでは元より次弾も避けられていたか。


「ならば次」


 先ほどと同じく長い砲弾を取り出す。

 空中にいる不安定なときに散弾を当て、徹甲弾で狙えばどうか。

 いや、次弾をサイズは小さくとも爆槍弾にすれば確実か。


 スコープの中で敵機が消える。


「何!?」


 スコープから目を離しレーダーを見た。

 敵機反応は変わらない。

 スコープの視界モードを切り替え覗く。

 魔力反応の残滓を見つけた。


「やられた!」


 幻影だ。

 幻影の魔法で自分を覆い、いなくなったように見せかけたのだ。

 スコープ内には既にいない。

 レーダー位置は二次元座標しか表示しない。

 となると、


「上か!」


 モニタの視界に魔力を表示する。

 魔力の薄い板が等間隔で何枚も上に重なっていた。そ

 の上、魔力のもやがある。

 もや内から黒い神機が飛び出した。

 神機は足場となる障壁を作り、空中を走り出す。


「角度が急なら狙えぬと思ったか!」


 薬室内の砲弾の組成を変更し、多数の矢を束ねた杭の散弾にした。

 機体を大きく傾け、方向を上に向ける。

 直上には撃てないが、まだ狙える位置だ。


「これで、沈め!」


 バルドは引き金を引いた。

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