幕間 ニーネの空の下で
「不味いことになった、な」
ニーネ宮殿のバルコニーから空を見上げ、青年は呟いた。
空には神前戦儀の様子が映し出されている。
神の計らいだろう。
最初の戦儀からずっと、神前戦儀の模様は空に映し出されていた。
全ての国、王、そして民が平等に戦儀の様子を知ることができるのだ。
例え、それが異国の空であろうと。
「これではニーネ王の機嫌を損ねてしまうか?」
青年は金髪を長く伸ばし、三つ編みして肩に流している。
彼は自身の髪を見る度に、自身を再確認していた。
自分が、王子であることを。
彼はセレン。
ゼクセリア王の子だ。
異国の地で、彼は昨日に会談を終えたばかり。
色よい返事を貰えはしたが、この結果である。
彼は自国の代表が負けると思って早々に諦めていた。
「心配する必要は無い」
セレンの背後から、声。
彼は振り向き、声の主に返答する。
「ニーネ王」
「確かに、我が国は奇跡を欲している」
ニーネ王は歩みを進め、セレンの隣に立ち空を見上げた。
ちょうど、ニーネとゼクセリアの神機がそれぞれ光の渦に包まれて消えていく所だ。
2機は控え室となる館に転送される。
そしてじきに次の2機が現れ、また戦儀が始まるだろう。
「無論、ゼクセリアの病も、奇跡が必要だ。
他国も同様」
一拍おいて、
「どういうことだ?」
「ご慧眼、見事です」
「茶化すな。
言われて気付く程度の無能よ」
「そこまで卑下なさらずとも」
二人は会話を続ける。
会談は既に昨夜に終わった。
セレンの目的は伝わっている。
だから、これはただの世間話。
転機は今ここに。
ここまでおつきあいいただきありがとうございます。
引き続きお楽しみください。




