絶望と遊び
私は、中学校時代から虐めを受けていた。
もちろん集団からだ。
バケツの水をかけられたり、上履きをごみ箱に捨てられたり。
とにかくひどいものだった。
中学卒業の日。
私は少し解放された気がした。
今思うと何故虐められていたのか分かっていない。
多分、理由はなかったと思う。 理不尽というやつだ。
高校入学の日。
私は自分の目を疑った。
教室を見回していると、あいつらがいた。
そう、中学時代に私を虐めていたやつらだ。
あいつらは、私の方を見ながらニヤニヤしていた。
きっと私に合わせてここに入学してきたのだろう。
私の高校生活はもう終わった。 私はそう思った。
それから、一年間あいつらから虐められた。 また理不尽だろう。
今回のは中学の時よりももっと酷いものだった。
下駄箱に土を詰められ、靴をボロボロにされ、教科書や筆箱、私が母に買ってもらった大事なヘアピンが、ごみ箱に捨てられていたり、学校の隅にある小さな池に沈められていたりと前よりエスカレートしている。
パシられたりもした。 暴力もされた。
私の体のあちこちには痣ができていた。
財布の中もなくなっている。
先生に相談しても何も解決しないし、親に言うのも少し無理があった。
というか誰かに相談すればやつらは注意をされたりして、もっとエスカレートすると分かっていた。
私は死にたいと思った。
毎日、毎日。
相談する気はないけれど、親は私の傷ついた体を見ても心配すらしてくれない。
理不尽という理由で虐められる毎日。
私の体も心も限界だった。
不登校になろうと考えたこともあったが、親は一日中家にいるので無理だ。
この世界に私の居場所はない。
どこにも。
もう死んでしまったほうが楽じゃないのだろうか・・・?
愛想のない親。
見て見ぬふりの友達や先生。
糞だ。
どいつもこいつも。
私は死にたいという気持ちを持ったままその一年間を耐え抜いた。
耐え抜けた理由は何だろうか。
分からない。
高校二年に進学して奴らとは別クラスになったが
私の心の傷は消えなった。
クラスが変わって、親友もできた。
一年前のことをすべて話した。
親友はちゃんと聞いてくれた。
親友は話が終わった後、こう言った。
「死ぬ前に何か面白いことをしたら?」
私にはその「面白いこと」というのがよくわからなかった。
その日から親友と共にいろんなところに遊びに行った。
ゲーセンやボーリング、カラオケに祭り。
とても有意義な時間だったと思う。
私は遊んでいる間心から笑えていたと思う。
しかし、死にたいという完全に固定された思いは変わらなかった。
ある日私は最後の遊びをすることにした。
「嘘告白」を。
相手は同じクラスの元という男。
結果はどうであれ嘲笑う予定だった。
数日後、私は行動に出た。
OKされた。
嬉しくもなかった。
何せ嘘なのだから。
私は元とデートをしたり勉強会をした。
彼の前では笑顔を見せていたが、心の中では彼を笑っていた。
そして、何か月か過ぎた頃。
私は覚悟を決めた。
「自殺」する覚悟を。
それ以降は元とは関わらず、親友とこの数か月のことを話し、笑いあっていた。
私は、最後にいい遊びができたと思った。