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第3話っ!変態ムカデさん!


「...イテテ...あれ?生きてる?」


落とし穴は大分深く掘られており、花凛のステータスじゃ即死は免れない状況だったのだが、HPバーは8割ほど残っていた。


周りではスパイダー達が青白いエフェクトと共に消え去っている。


〈レベルが6になりました。5ポイント獲得。〉


どうやら花凛が倒した判定になっているらしく、スパイダー何十匹分かの経験値を手に入れた花凛は一気にレベルアップした。


〈スキル:落下耐性I を獲得〉


機械質な音声が続けてスキルの獲得を報告する。


始めてのスキルがこれかぁー。

と、少し残念がるのも束の間。


「でも私、なんで助かった..の.....うわっ!何これ!プニプニしてる!」


花凛はようやく自分のいる場所に目を向ける。

そして驚愕。


実は、花凛がいる場所は()()()()()が脱皮した皮の上であった。

何重にも折り重ねられていて正確な体長こそ分からないが、規格外の大きさであることは言うまでもない。


花凛が落ちた場所は運良くこの皮の上で、お陰様、即死は免れたのだった。


だが、自分を助けてくれたものがムカデの皮だとはまず思わないだろう。


当然気付かず、


「深すぎて登れないしなぁ...。中を歩いて出口を探そっと!」


と、危機感無しに足を止めようともしない。


「さっき、なんかクエスト?みたいなの出てたけど..なんだったんだろう?」


反射的に受注することにしたのだが、今更になって疑問に思う花凛。

実のところ、落ちている最中は怖くてほとんど目を瞑っていたので、クエストの内容はちゃんと把握していなかったのだ。



「〜♪〜♪」


何が楽しいのか、鼻歌混じりに奥へ。


進むに連れてどんどん暗くなってきたのを気にせず更に進むと、急に明るく、広い場所に出た。オレンジに照らされた空洞は、なんだか神秘的だ。


そして。

真ん中にうずくまる赤紫色の巨大な生物。



「っ...!」


立ち止まる花凛。


「おい..そこの小娘...。我を殺せ...」


低い声で語りかけるその生物は大きなムカデといった様相を呈していた。モンスターの上の表示によると伝説ノ蜈蚣(むかで)というモンスターらしい。

どこから声を出しているのか、やたらイケボで花凛に語りかけている。

いや、イケボかどうかはどうでもよくて。


この伝説ノ蜈蚣は、死を目前にした状態で横たわっていたのだ。それもその筈、上に表示されているHPバーはもう視認できない程に少ない。


そんな息絶え絶えの状況にも関わらず、伝説のムカデらしくその荘厳な立ち振る舞いを....


「最後くらい我は可愛い娘に殺されたいのだっ!」


荘厳さのカケラも無かった。


「....ヤダなぁ。気持ち悪いし、触りたくない」


こんなヤツが隠しクエストとはまだ気づいてない花凛は、昨今の女子高生らしい反応をした。


「まあそう言わずに。ほんの一振りでいいから。先っちょだけ」


巨体をくねらせ、食い下がる伝説ノ蜈蚣。

それにしてもこの変態ムカデ、キャラ崩壊が激し過ぎる。高性能AIが搭載されているため、会話が可能だ。


「ヤなんだって。有り得ないよ!」


花凛は首を横に振って、伝説ノ蜈蚣の横を通り過ぎようとする。

ムカデがいる広間の奥にはまだ、暗い道が続いているらしい。



「我、超レアアイテム、ドロップしちゃうよ?」


「まじ?」



意外と現金な花凛であった。


「じゃ、いくよー」


花凛は善は急げとでも言いたげな行動の早さで拳を繰り出す。

どうやら先程スパイダーにダメージが入らなかったのは、スパイダーの防御が固かったから、と花凛は思っているらしいのだ。



花凛渾身のパンチはクリーンヒットしたが、勿論HPバーは動かず。



殴られそうになり「ちょ、まて心の準備が」とかほざいて焦っていた伝説ノ蜈蚣も、


「...あれ?我、死んでなくない?」


と、困惑していた。


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