第23話っ!おおぐい??
「はいよー!カリンさんと...お、こりゃ珍しい!マリスラビットだ!」
受付に座っている女性は少し驚いたような表情を見せる。軽めに脱色されたポニーテールがゆらゆら揺れていた。
「預かってるんです!フレンドから!」
「もきゅ!」
花凛に応えるようにマリスラビットが鳴いた。お姉さんに参加費1000ゴールド、丁度払う。彼女は「さんきゅぅ〜」と言いながら金貨を10枚受け取った。
「ほぉ〜。すごい友達がいるんだねぇ...。じゃ、あっちだよ!」
ざっくりと開いた胸元を強調するように腕を組み、感心した様子だった。
「おけです!行こー、マリスたん!」
元気良く返事をし、小走りで向かった。既に人だかりができている。
「...マリス、か...。こりゃ意外なダークホースだ」
花凛の背中を見送ったお姉さんは、聞こえない程度に呟いた。
・ ・ ・
彼女が指し示した方には、ラーメン屋みたいなカウンター席が20つほど。その殆どに屈強な男が座り、隣では主に負けないくらい屈強な使い魔が舌舐めずりをしていた。鳥、ウシ、魚類みたいな風貌まで様々である。
汗とか加齢臭とか色々な香りが混ざって些か臭う。鼻をつまみながら、花凛は一番端にちょこんと座った。
すると、花凛の左に座っていた銀色に輝く鎧の男が振り返る。彼自慢の黒ロン毛がふわり。
「おいおいここは女の来る場所じゃねぇぞ...そんなに可愛い使い魔も」
やや大袈裟に肩を竦めてみせた。彼の後ろでは、バッファローが「ふしゅるるるっ...」と息を荒くしている。
「ふふん。私を並みの女だと思わないことだね!ロン毛さん!」
「んお?ロン毛さん...?」
困惑してる男を他所に、大きな胸を張る花凛。体育会系の部活に入っていた花凛は、食事への自信を持っている。沢山食べる事は、強いカラダを作る秘訣なのだ。
「言ってろ言ってろぉ。泣いても知らねーぞ」
彼は話を打ち切った。開始時間が迫っている
しばらくして奥から声が聞こえてきた。多分店主だろう。
「今回の獲物はステーキだっ!ルールは簡単!使い魔と協力して出されたモンを完食せえ!一番最初に食い終わったヤツが優勝だぜ!」
カウンターの奥からまたまたおっさんが出てくる。てか、参加者も店員も後ろで観戦してる連中も中年ばっかりだ。
「よしっ....!」
「もきゅ!」
花凛は頰を叩き、気合を入れる。
『捕食』で死ぬ程食べた、バッファローさん。ポイズンスネイクさん。彼らの命に感謝。
このゲームを始めてから、食べてばっかりの花凛であった。
(大食いは、私の専売特許も同然だっ!)
自分を鼓舞し、士気を高め。
「だから、勝つ!!」
店主の怒号と共に、戦いの火蓋が切って落とされる。
「よぉい!はじめ!!」
・ ・ ・
「うぅっ..ぇっ..。もう、ギブぅ...」
五分と経って。
途中までは威勢のよかった隣のロン毛冒険者は、机に突っ伏した。使い魔のバッファローも限界らしく、地に寝転んでいる。
彼のどんぶりに平積みされたレアステーキは、ほぼ残されていた。
一方、花凛は。
「うんめぇー!!」
既に半分以上食べ進めていたのである。
マリスラビットに頼らず1人で、だ。
「う、嘘だ....ろ?」
ロン毛の彼は瞳孔を開いて戦慄し、気を失った。
キリが良かったので短めです。




