第19話っ!Karin in 鍛冶屋!
短めです。
マリスラビットを連れ、花凛は帰路に着く。
「モフモフ...ふふ、かわいい」
ルイという少年から預けられたその使い魔は、花凛の腕の中で気持ちよさそうに「きゅるるっ」と鳴いていた。
・ ・ ・
花凛は数時間かけて街に到着。
全ての魔法を試し撃ちしていたため、空はもう茜色に染まっている。
「微妙だったな...」
成果を思い出しながら呟いた。
まず試したのは炎魔法、〈ファイヤーボール〉。
狼男にも試し撃ちした通り、全然威力が無かった。使い道といえば目眩しぐらいだろう。
続いて水魔法の〈スプラッシュ〉。
みずでっぽうが出た。それだけ。威力は0。
お次は樹魔法。確か〈プラント〉とか言ったか。
なんかアサガオのツルみたいなのが出て、相手を拘束しようとした。しようとしただけ。当然引きちぎられた。
闇魔法の〈シャドウ〉は唯一、花凛が可能性を感じた逸品である。『自分の影ができる場所で、闇に紛れることができる』、つまり姿を一瞬消せるワケだ。花凛の戦闘スタイルと相性が良い。美優も確か上手に使っていた。
「でも、トーナメントの時に影があるかどうか」
影ができない夜や、光の届かない場所では全く無価値の魔法だ。
最後に光魔法、〈キュアー〉については、使用できるタイミングが無かった。ダメージを喰らうことなく、全てのモンスターを瞬殺してしまうからだ。
問題は毒塗や百足連撃を発動する際のMPだったが。
「マリスたんが回復してくれるしね..」
「もきゅ!」
マリスラビットは戦闘中、風船のごとく浮きながら花凛にMP回復の魔法を使ってくれていたのだ。どうやらサポート型の使い魔らしい。加えて〈蜈蚣ノ捕食〉でのHPとMPの回復で、戦闘後も万全な状態。
そうこう省みているうちに、目的地である鍛冶屋に到着した。
「さてと..この気持ち悪いヤツをどうするかなぁ」
花凛が取り出したのはレア度最高の〈嘘吐き狼男の心臓〉、武具素材だ。
このワールド内にはプレイヤーが鍛冶師として運営している所と、NPCが武具を鍛える鍛冶屋が存在する。
「ごめんくださーい」
花凛はNPCの鍛冶屋の暖簾をくぐった。
「いらっしゃい嬢ちゃん。どんなご用件で?」
出迎えたのは褐色のガタイの良い男だ。眉上に切り傷がある上にスキンヘッドが光り、イカツさが増し増し。雑に着ているツナギが様になっている。
「コレを武具にして欲しくて...」
花凛は〈嘘吐き狼男の心臓〉を自慢げに見せた。
すると途端に、男の表情が驚きに満ちていく。
「おいっ!嬢ちゃん!これはすげーぞ!すげーのがつくれる!!」
「ほんと?やったー!じゃ、これアクセサリーにしてくれる?」
選んだのは、未だ空欄のアクセサリーだったが。
「悪いが嬢ちゃん。この〈〜の心臓〉、俗に言う心臓シリーズはな、希少価値がバリ高くてバリ強い武具をつくれるが、デメリットとして武具の指定はできないんだ。ランダムってことさね」
男の意気揚々とした説明に、花凛は頷きながら納得する。
「ほー。じゃ、任せるよ」
「おーそうか!お代は500ゴールド頂くぜ!」
NPC運営の鍛冶屋は、どんな素材でも一律500ゴールドだ。
花凛は余りに余っているクエスト報酬のゴールドで支払う。
「ありがとな嬢ちゃん!じゃ、五分程度頂くぜ!」
男は白い歯を見せながらグッドサイン。見た目によらず、ナイスガイだ。
「頼んだよ!」
花凛はワクワクしながら店を出た。
夕陽が差し込み、眩しくて思わず目を細める。




