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第17話っ!私、なんかやっちゃいました?

ブクマ200件超え!ありがとうございます!


カリン Lv.32


STR 1(+25)

VIT 0

AGI 128(+1377)

DEX 0

INT 0


(未振り分けのポイントが1あります)


装備

【武器(右手)】蜈蚣ノ短剣

【武器(左手)】無し

【頭】韋駄天のバンダナ

【体】韋駄天のジャケット

【脚】韋駄天のレギンス

【靴】韋駄天のスニーカー

【アクセサリ】無し



スキル

〈韋駄天〉〈落下耐性I〉〈HP自動回復ⅠⅠⅠⅠ〉〈MP自動回復ⅠⅠⅠ〉〈剛力ⅠⅠ〉〈加速ⅠⅠ〉〈望遠ⅠⅠ〉〈聞き耳ⅠⅠ〉〈魔力操作ⅠⅠ〉〈蜈蚣ノ毒塗〉〈蜈蚣ノ捕食〉〈百足連撃〉


複合スキル

〈猛毒ノ雨〉


魔法

炎 : 〈ファイヤーボール〉

水 : 〈スプラッシュ〉

樹 : 〈プラント〉

闇 : 〈シャドウ〉

光 : 〈キュアー〉



「複合スキルってなんだ....?」


歪なステータスを確認しながら、異様に膨らんだ腹をさする花凛。〈複合スキル〉の欄を人さし指でタッチしてみる。


〈複合スキル:複数のスキルの同時発動によって獲得可能。効果は構成要素に依存するが、詠唱を簡易化できる〉


パッと表示が出て、ふむふむと読む。


「よーするに、『蜈蚣ノ毒塗、百足連撃を同時発動!』とか言う必要がないってことか!」


詠唱の簡易化。

〈猛毒ノ雨〉、と唱えれば先程の地獄を作ることができるという訳だ。ちなみにこの機能、花凛がこのゲームを始める少し前に実装された。


「まあまあ便利だ!...と、さっきゲットしたポイントもAGIに振り分けてっと」


装備、スキルのプラス分も含め1500を超えた花凛のAGI。


花凛はまだ知らないが、既にNEW LIFE ONLINEでは最速だ。


「ムカデさんの言う通り、〈韋駄天〉、やばいなぁ」


『2分全速力で走る度に、AGIが1アップする。又、上限は無し』


強力過ぎる効果を思い出しながら、着実に上昇している自身のAGIを指でなぞった。


「っと!こうしちゃ居られない!次は魔法だ!!」


頭の中を切り替え、トーナメント勝利に向けての思考にシフト。

立ち上がり、再び全力で走り出す。


「トーナメントまでに、出来るだけAGI上げなきゃだから全速力で!」


モンスターを探しながら、特に行くアテも無いので頂上から山を下りまた別の山を登り、を繰り返す。

少しだが、段々と最高速度が上がってくるのを実感しながら走っていると。


どれほど駆けただろう。


何故だか一度もモンスターに遭遇することなく、断崖に到達した。

高度は定かではない。ゲーム内故気のせいだろうが、酸素が薄くなっている気がしなくもない。高地の独特な清涼感に包まれたスポットだ。


「うわぁ...何も見えないや。てか、怖っ」


崖下を見下ろすと自然と足が震える。

高い所から見渡す景色は美しいと相場は決まっているはずだが、高過ぎると雲がかかって何も見えない。まあ幻想的ではあるが。

どうやら此処が、山フィールドの最端らしい。

どうしようか、と花凛が考えあぐねていると。


「こんな辺境にどうしたんだ、嬢ちゃん」


後ろからしゃがれた声をかけられた。振り返ると猫背気味で如何にも初老といった風貌の男が、花凛がいる崖方向に歩いてきた。トレンチコートを靡かせ、洒落っ気付いている。


だが。


「ひぇぇっ!ば、ばけもの...」


顔が狼だった。

鋭い牙に葉巻を咥え、どういった趣向なのかハット帽を深く被っている。


花凛は戦慄しながらも、なんとか戦闘態勢を整えようとする。


「安心しな嬢ちゃん。危害を加えるつもりはねえ」


しかしその狼男は迎撃する素振りも見せず、両手を挙げる。


「俺はモンスターだが、敵意はねえ。名前はな、」


「ファイヤーボーールっ!!」


いつの間にか購入したての〈キュートロッド〉を装備した花凛が、話を遮るように赤い玉をぶっ放す。せっかく久々に見つけたモンスターだ。逃さない以外、手は無い。


「いやおい話を聞け...てか弱っ!ホッカイロの方がまだ熱いぞ!」


モロに直撃したが痛みも熱さも感じることなく、困惑していた。ダメージは全く入っておらず、帽子が少しズレたくらい。


「私の魔法、弱すぎ...?」


結構ワクワクして打ったファイヤーボールだったが、INT(魔法攻撃力)は0だ。


気を取り直すように、彼は話を続ける。


「まあいいさ、とにかく話を聞いてくれや。ここいらで全くモンスターを見なかっただろ?それはな、山にとある"怪物"が現れて生態系を崩しちまっ」


「"怪物"はお前のナリだろ!〈蜈蚣ノ毒塗〉!」


瞬間的にトップスピードに乗った花凛は懐へと飛び込む。

狼男も凄まじい反応速度で仰け反って回避を試みるが、それすらを見越した花凛は背後に回り込んだ。


杖から持ち替えた黒の短剣で、切り裂く。


「グガァァァっ!き、きさまぁ!な、なぜ分かったのだ...」


膝をつき、ついさっきまでの柔和な表情とはうって変わって鋭い目で花凛を睨む。悪意に満ちた、醜い顔。


「えっ、あっ、ほんとに怪物本人だったんだ..なんかごめん」


狼男のHPバーが、ガクッと減少。

イベントが迫っている事から少し焦りを感じていた花凛は、戦闘を経験したいという気持ちが先走り過ぎていたらしい。

話を聞かず、文字の通り瞬殺をしてしまった。


〈隠しクエスト:『怪物から山の生態系を守れ!』をクリアしました〉


「なんかクエストクリアしてるし!」


きっとこの狼男が生態系を壊した張本人だと突き止めるために、多くの手数を踏まなければならないのだろう。


システムメッセージを聞き、狼にかぶり付く。

罪悪感に苛まれながら食う狼肉は味がしなかった。


〈レベルが35になりました。3ポイント獲得〉

〈クエストクリアにより、星10素材:『嘘付き狼男の心臓』を獲得〉


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