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国立三葉異能力学園!!  作者: 山田の花子くん
新たな学園生活
6/24

5話

「……そろそろ、良いですか? 」



数分生徒を眺めていた平川が、ようやく口を開いた。

藤の様に高圧的な態度では無く、生徒に語りかける様な、物腰柔らかい、聞いてるこっちがリラックスする様な声で。


生徒と近い立場でいたい。平川が教師になってからずっと思っていることだ。だから、教師と言う立場を示しつつも、決して彼らを支配するような態度は取らないと心に決めていた。


周りが自分の声で気づき、騒ぎが静まるのを確認するとまた口を開く。



「静かになってくれて、僕は嬉しいです。ありがとう。

それでは、詳しくこの、“殺し合い”のルールについて説明してきたいと思います。僕も一度しか言いません。集中して聞くように」


殺し合いにルールなんてあるんだぁ……と、結構顔が好みな平川を見つめながら咲夜は思った。そもそも、“殺し”と言うものをした事がないし、よく分からない。よく分からないけどやらなきゃいけない。


「凄いなぁ……ここ。私良くスカウトされたよ……ほんと」


小学生の終わり、いきなり声をかけられて泣いたあの日を思い出す。異能力科のみ、完全スカウト制のこの学園で、あの日は自分がスカウトされていた。

過去を思い出し、しみじみとしながら平川の話しに耳を傾けた。



「まず、ルールその1――――」


生徒を見渡しながら説明を始める。

要約するとこうだ。



①時間制限が存在する 制限時間は30分間


②異能力を使うこと


③死んだ者は自動的に現実世界へと戻る



「ルールは以上です」

そう言って口を閉じた。何故か台から降りることはせずに、またさっきと同じように生徒を見る。淡々と、1人1人観察している。


「少ね……」

「すっごく分かる!! 」


圭の言葉に咲夜が即座に反応した。うんうんと何度も首を振っている。そろそろ頭のリボンが取れそうだ。

それを見た一輝が、無言で彼女のリボンと髪型を綺麗に直し、俺もだ。と言う意味を込めて頷く。


確かに、ルールと言うにはどこか少ない気がする。敢えて言わずに「なにか」を見ているのかも知れないし、単にないのかも知れない。どちらかは分からないが。


「さて、ルール説明はこれで終わりです。質問は受け付けません。自分達で考えてください。“殺し合い”開始は9時から。それまでは各々が好きな様に過ごしてくたさい」


そう言ってようやくく台から降りた。

この建物は、コロッセオの様な形をしているが、平川と藤はその観客席に座り眺めている。


「9時って、そろそろか……」腕時計を確認した一輝が言う。

「そうだね。“殺す”って怖いし、何か分からないけど…頑張らなくちゃ!」

「殺すねぇ……咲夜、実際には死なないんだしそう気負うなよ」

「うんうん、圭の言う通りだね!

別に、死なないんだから。好きにしちゃえばいいんじゃない? 」


ニコリとわらう彩。その姿を冷めた目で見る圭。


「好きに……? よく分かんない」

「咲夜はそれでいい」


首を傾げる彼女に微笑んだ一輝。



時は一刻一刻と迫っている。

そろそろだ。時間は。

いつの間にか時計の針は、9と12を指そうとしている。



1つアナウンスが流れた。――これは、藤の声。


「これより、“殺し合い”を始める。

皆、頑張って人を殺すように……なぁ? 」


そして、けたたましいサイレンが鳴る。



「始まったか……」

「そうだね、圭くん」



現在時刻 9時


“殺し合い”開始



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