表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
国立三葉異能力学園!!  作者: 山田の花子くん
新たな学園生活
3/24

2話

「彩ちゃーん! だいじょーぶだっだぁ~?」

「咲夜~大丈夫でっせ」

走りよって来る親友に、手を広げて包み込む。見上げて来る不安そうな瞳に、パチリとウインクして親友の問いに答えた。


ズビッと鼻を啜り、泣きながら彩を叩く親友――一宮(いちみや)咲夜(さや)。頭に付けている大きな赤いリボンを揺らし、そのオレンジの瞳からは大粒の涙を流し、咲夜の大切な半袖パーカーとスカートの所々にしみを作っている。


「ぼ、ぼうだべがどっ……!」

「うんごめん。何語?」

「もうダメかと思った。そう言いたいんだろう、咲夜は」


はぁ…と呆れた様に笑い、咲夜の頭をくしゃくしゃ撫でる男子生徒――佐久間(さくま)一輝(いっき)。咲夜の幼なじみで、黒髪を赤に染め、生まれつき鋭い眼光とその大きな体格な為、彼をよく知らない人からは怖がられることがしばしある可哀想な人間。しかし、その見た目とは裏腹に、何かとオカン力が高く料理、家事、裁縫などなど家庭科5の成績を舐めるでない。


「彩、ホント馬鹿だろ。何やってんだよ……お前…………」

「あらあらぁ? 圭くん。死にそうな顔で、必死に手を伸ばしていたと言うのに、ツンデレちゃんですかぁーい?」


安心した…と胸をなで下ろした圭を、これでもかと煽り始める彩。ニヤニヤと笑い、圭の頬をつつく。それにプラスして、咲夜もツンデレだぁー! とはしゃぎ始め、とうとう圭はムスッと頬を膨らませ、彩のつついて来る指を握った。


「い゛!? ちょ、ま、お、おいっ! 離せ、待って。ねぇ、ほんと、指、指がぁぁぁ! 私の指ぃぃぃぃ!!」


握ったと言うよりは、握り潰したの方が正しいのだろうが。

さすがにアラレもない形の指にはなっていないが、明らかに爪を立てた後がある。抉り過ぎたのか、所々に血が出ていた。

よくこれで涙を流さないでいられるなぁ、と一輝は思った。


「それより、そろそろ行かないとじゃないか?」

彩の脛を軽く蹴りながら、気にもせず圭は言う。

「それより……? 圭くん……意外と馬鹿力なんだね……」

若干引き気味で一輝の後ろに隠れる咲夜。

「あぁ、そうだな。中心部に集まろう。

俺達が着いたころには既に何十人か居たが、やはりどいつも中心にあるモニター辺りにいたぞ」

そんな咲夜をナチュラルに撫でつつ、遠目で大聖堂の中心を見る。

「なら、早く向かった方がいいねっ! 」

笑顔で圭に殴り返し、爽やかに一輝と咲夜に言う。


「彩ちゃんまで……」

「仲良いな、ほんと」

「皮肉か? お? やるか?」

「何がどうしてそうなったっ!!」


彩のひねくれ度合いに驚愕した一輝は置いといて、彩は咲夜と手を取り中心に歩いていく。


「あ、あの~後ろの2人は~~」

「勝手にくるっしょ」

「うわ」


興味無さげに言い放ったその言葉通り、一輝も圭もちゃんと二人の後を追って歩いて行った。ある一人に至っては、全速力で二人を追い、その後彩に向かって飛び蹴りをお見舞いしたらしいが。それは宛ら、今までの溜まりに溜まった憎悪が爆発した様だったと、後に後ろでのんびり歩いていた男は語る。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ