3話__結局勇者パーティに入る。
必死に呪文を唱える横に、翼を持つ巨大なタコ。
と、態度のでかい勇者。
召喚!召喚!!
何度やってもウサギはでない。
なんかよく分からないタコみたいなのがどんどん出てくる。
ウボ=サスラって何?
アブホースって何?
ヨグ=ソトースって何?
え、これって強いの?
ヤバい感じ?私、やらかした感じ?
ちらりと視線を向けると、勇者は感心したような目でこちらを見ている。
やばい目が合った。
「ロレアって、こういうのが好きなのか?」
ちゃうわアホー!!
そう言いたいけど3体ぐらいヤバそうなのがいるせいでそうにしか見えない。
違うし、ウサギのが100億倍好きだし、こんなの好きじゃないし!!
てか、いつ私が呼び捨てにしていいなんて言ったし。
「凄い、ロレア!私でも鑑定できないような魔物を呼び出すなんて!」
勇者の隣の、白髪の姉ちゃんが突然口を開いた。
誰だよお前。
と思っていると、勇者が腰に腕を回してくる。
正直気持ち悪い。
「ロレア、もちろん合格だ。これからいろいろあると思うが、互いに頑張っていこう」
「え、まじで」
「うん、もちろん、君は僕が出会った中で1番の召喚術師だよ」
勇者の野郎が私の顔にグイッと唇を近づけてくる。
が、押し戻す。
こんなタコしか呼び出せないと思ってたけど、もしかしてこいつら超優秀だったりするの?
「えっと…その、大変有難い申し出なのですが、私には商人を次ぐという夢が…」
「そうだったのか、それはすまない」
やったぞ、コイツ諦めてくれたぞ!
これから家に戻って残念な顔つきで君じゃ僕らと釣り合わないと言われたって言ってやればまた普通の商人の娘として…
「ならば、我がパーティの帳簿を付けてもらえはしないだろうか!?商人としての夢にも近づくし、我々の得にもなる。魔王討伐の暁に商人になればいい、どうだ?これで満足じゃないか!?」
「…は、はい」
もう駄目だった。
勇者の熱狂的な宗教勧誘じみた何かに逆らえなかった。
そして勇者は満足気に頷く。
「それは良かった。我々の熱意が伝わったようで何よりだよ」
伝わってねーよハゲ。
半強制的に入れたんだろうがよ。
しかし、1度頷いてしまったからには商人として後戻りはできない。
「…よろしくお願いします…です」
なんとも言えない敗北感。
私はこれから勇者パーティでこき使われるのでしょうか…。
そんなことを考えていると、勇者が前に出てきた。
こっち来んな。
鎧と顔が眩しい。
「よし、そういう事で、自己紹介と行こうか。僕はルゼリアス=フォン=アルベルト。王族の家系で、歴代に3人も勇者がいる。聖剣エクスカリバーに選ばれた勇者で、歴代最強って言われてるよ」
あぁ、うるさい。
次。
白髪で白い鎧のヤツ。
「私はリーシャ=ユージアス。弓使いよ。傭兵団の家系で生まれ育った勇者パーティの一員で、勇者様に選ばれたの。最初のうちはあまり乗り気じゃなかったけど、一緒に過ごしていくうちに勇者様の虜になったわ。あの鮮やかな剣技…忘れられない」
勇者わっしょいは分かったから、自己紹介しようよ。
さっきの鑑定してた娘か。
Iカップぐらい?あぁ、私もこんなおっぱい欲しいな…。
とりま、リーシャはおっぱいで覚えとく。
次
緑髪の童顔女。
杖持ってるし魔法使いだろうけど。
「僕はエリン=ユニコート。魔法使い。勇者様と同じ貴族の家系だけど、財力も戦力も勇者様には遠く及ばないよ。魔法使いなんて言ってるけど、回復魔法とか防御魔法とかしか得意じゃないから勇者様の火炎魔法とかは本当にすごいと思うよ!」
てめぇもか勇者わっしょい勢は。
てかボクっ娘って実在したのか。
次
青い髪の
「アタイはセレン=アーズナー。短剣使いさ。盗人のアタイを勇者様は拾ってくださったのさ。あの時の穏やかで慈愛溢れる勇者様の微笑みは瞼の裏に焼き付いてるさ。」
…もう、分かったわ。
さて、満足したっぽいし、とっとと帰ろう。
そう言って踵を返すと勇者に肩を掴まれた。
「待て待て、ロレア、君の紹介が終わってないぞ」
「…ロレア=ヘクタール。召喚術師。これでいい?」
「あ、あぁ」
ずっと添えられている邪魔な手を払い除けて家に戻った。
家族は飛び跳ねて喜んでいたが、どうにも私は笑顔になれなかった。
どうしてか、その家族の笑顔が偽物な気がしたのだ。
○○○
その日の晩。
ロレアを除く勇者パーティは最も高い宿屋の中、一糸まとわぬ姿で行為をしていた。
あまりにも醜悪なその笑顔は初対面ならば誰も勇者とは気づかないだろう。
そこにロレアがいないのは、勇者が呼ばなかったのではなく、ロレアは荷作りで忙しいと言い訳をしたのだ。
「全くあの小娘、精神魔法の耐性高すぎ」
勇者はロレアの愚痴を行為中にこぼす。
勇者は呆れるほどの精力で立て続けに3人と事を済ますと、座り話を始める。
「勇者様、あの召喚術師、本当に連れていくおつもりで?」
「あぁ、勿論だ、仲間は多い方が楽しいだろ?」
「…そうね、分かったわ」
「勇者様って、魔王をサクッとやっちゃった後は、王様に国を貰ってルゼリアスハーレム帝国を築くのでしょう?」
「あぁ、ゆくゆくはそのつもりさ」
「ふふふ、私もその中に入れてもらえるの?」
「もちろんそのつもりさ、それと、あの生意気な召喚術師も、ね」
「勇者様って強欲ー」
「ははは、支配下のお前達が何を言う」
「えぇ、もう私たちは勇者様のモノ。好きに使って頂いて構いませんわ」
「勿論そのつもりさ」
夜中、そんな汚らしい会話に気づいたものは数人いる。
だが、彼らもまた支配されていたのだ。
この村に残った精神を蝕まれていない者はたった3人だけ。
ロレア、妹のフレア、幼馴染の男友達デルタだった。
「デルタお兄ちゃん、本当に行くの?」
「あぁ、当然だ、ロレアを1人で置いてはいけない」
「なんで?ゆうしゃさまに守ってもらえるんでしょ?」
「……そうだな、でも、俺もロレアを守りたいんだ」
「わかった!フレア、デルタお兄ちゃんの恋路を応援する!」
「ありが…違うし!幼馴染だからってだけだし!」
「つんでれー」
「どこで教わったんだそんなこと」
◆ウボ=サスラ◆
危険度…S
分類…使徒
外見…頭が複数あるフルフル
スキル…unknown
魔法…unknown
耐性…unknown
◆アブホース◆
危険度…S
分類…旧支配者
外見…マーマンのやべーやつ
スキル…unknown
魔法…unknown
耐性…unknown
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