表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/7

2話__異形の神々

案の定というべきか、何故かと言うべきか、勇者にパーティに入らないかと尋ねられた。

いやいやいやいや!

私みたいなの戦力になりませんて!

後ろの女性陣御三方みたいに可愛くないし、胸も大きくないし。

私は普通の召喚術師(サモナー)としてこの小さな村で家業の商人を継ぎたいと端的に告げた。

しかし、勇者は感動していやがった。


「素晴らしく謙虚なお方ではないか!ますます気に入った。我がパーティには君のような純粋な乙女が必要不可欠だ!早速明日審査を行う。朝、空が明け始めた頃にここへ来てくれ」


なんでそんな強制的なのぉ!!

それに明日は親の手伝いで荷出しに行かないといけないのに…って思って親を見たら、2人して親指立てて見てるし。

てか、欲しいなら審査いらなくない?

なんでそんな上から目線で人にものを言えるかなぁ。

意識高い系?

まぁ、実力を示さないといけないのなら示さなきゃいい訳で、ここでクソザコナメクジ表明しちゃえばまた明日から何ともない毎日が待っているはず。

よーし、一応審査に遅れるとペナルティとかありそうだし、さっさと寝ることにしよう。


「フレア、お姉ちゃん明日のこともあるから、そろそろ寝るね」


「うん、フレアも寝るー」


と、言うと、私と手を繋いで家の中へ入っていく。

可愛らしい妹だ。

君は私みたいな冒険的な職業じゃなくて、商人になるんだよー。

と、心の中で念じる。

昼のこともさっきのこともで疲れていた私は布団に入るなり、気持ちの良い感覚に囚われる。

…そういえばあの勇者、やたらピンク色のオーラ出てたけど…なんだっt…

すぴー…くかー


○○○


ロレアを祝う宴も終わり、勇者を歓迎する宴じみたものが開かれ始めた。

素晴らしく豪華な食事が並べられ、皆口々に賞賛や歓喜の言葉を述べ、勇者の今までの武勇伝に聞き入っている。

勇者のお供として付いているのは皆女性で、豪勢ながらも、露出の多い装備を着ている。

そして、心做しか皆勇者の蠱惑的な声を聞き続けるにつれ、目から光が失われていくように見えた。


そろそろ宴も締めくくられる時、勇者は声を出す


「皆さん、ロレアは僕に渡してくださいますね?」


「はい」


突拍子もない、話からズレているなんてものでもない馬鹿げた質問に、普通なら疑問や嫌悪を示すはずなのだが、感情も思いも篭らぬ声で皆一様に肯定するのだった。


○○○


目覚めの鳥が鳴く。

早めにベットから飛び降りて伸びをすると、階下に降りる。

そこには笑顔で会話する両親がいた。


「おはよう、お父さん、お母さん」


「あぁ、おはようロレア。今日は勇者様の審査だね、頑張っておいで」


「そうよ、我が家系から勇者パーティに選ばれたなんてことがあったら、末代まで誇れることよ」


「そう…だね…アハハ」


「遅れないように行っておいで、うんと美味しい朝食を作っとくから」


「うん…行ってくるよ」


ログハウスから抜けると、森の入口まで進む。

そこで勇者は待っていると言っていたはず。

あ、いたいた。

なんかお供の女の人と仲良さそうに話してる。

肩に手を回して…口説くような表情で…ん!?

今暗くてわかんなかったけどキスしなかった?

まぁ、流石にそんな…ね。

とっとと済ませようと走る。

すぐそこまで近づいたところで、勇者はこっちを向いて手を振る。


「すいません、待ちました?」


「いやいや全然、僕も今来たとこ」


「そうですか、良かったぁ」


一応、勇者を待たせたなんて、親に恥ずかしいことさせるもんか。

本当なら私が先に来ているべきなんだろうけど。


「それじゃあ早速だけど、審査を行うよ。君たちは控えてて」


そう言われた女3人は勇者の後で隙なく構える。

かっこいいと思った。

けど、あの生意気な勇者は好きにはなれない。

事が済んだらあのキスの1件も問い詰めないと。


「はい、よろしくお願いします…えっと…」


「ルゼリアスだよ。好きに呼んでくれて構わない」


「あ、はい」


何すればいいか聞きたかっただけなんだけどなぁ

…やっぱりなんかこの勇者嫌い。

さっきから頭ガンガンするし、勇者の声だけが頭に響く。

ダメだ、親には悪いけどとっとと落ちて帰ろう。

何を召喚すればいいのだろう。

あまり強すぎるのはダメだし、弱過ぎても…いや弱すぎていいんだ。落ちこぼれでいいんだ!

なんか悲しくなってきたけど、まぁ気にしない。

ウサギを意識…ウサギを意識…


「えーっと、召喚(サモン)すればいいんですよね」


ウサギを意識…ウサギを意識…ウサギを意識…ウサギを意識…ウサギを意識。


「あぁ、君の全力の召喚(サモン)を見せてくれ。大丈夫、もしデーモン等が出てきて暴走したりしても、僕の敵じゃないから。なぜなら選ばれしこの聖剣…」


「え…っと、じゃあ呼びますね」


ウサギを意識…ウサギを意識…ウサギを意識…ウサギを意識…ウサギを意識…ウサギを意識。


「む?あぁ、頼む」


「願いを聴き顕現せよ。手となり足となり我が野望の一欠片となれ…召喚(サモン)!!」


ウサギを意識…ウサギを意…

途端に、爆発的なエネルギーが辺り一帯を支配する。

空は呑まれ、地は悲鳴をあげる。

ウサギどころか、遥か太古に滅びし忘れられた神々が今、再臨する。

天を衝くような特大の魔法陣から出でる異形の神。

一見するだけでその精神を瞬時に蝕まれる姿を象った邪神。

勇者は身震いし、剣の柄を握っている。

後に控えている女性陣も、矢を番え、防御魔法を唱え、短剣を両手に構えている。

しかし、それは杞憂に終わる。


ヨグ=ソトース…召喚成功。


「なんでえぇぇぇぇぇええええ!!!!!!!」

◆ヨグ=ソトース◆

戦闘力…SS

分類…神

外見…タコに口と蝙蝠の羽がついた感じ

スキル…unknown

魔法…unknown

耐性…unknown



✱✱✱



お気に召しましたら、感想、評価、ブックマーク等お待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ