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Fly by fighter spirit

 ネタバレやめました。オスカーメインなのでこのタイトルに変更しました。

 

 そして、これは本日三話目の投稿となります。

それでは、第六話Fly by fighter spirit。始まります。



合衆国side

「ちっ、邪魔だな。」


「そんなこと言ってないで助けてくれ。突っ込んで引っ掻き回すんじゃなかったのか?」


「敵隊長機が教科書通りの綺麗な戦法で阻止してやがるんだよ。当ては付けやすいが隙がない」


 オスカーは敵隊長機を翻弄する見事な飛行をしているが、とても苛立っていた。

 鈴木の奇襲でエネルギーを失ってしまい選択肢が狭まったのも原因ではあるが、それ以上に隙の少ない機動をする敵とオスカー本人の破天荒なスタイルが合わないのだ。

 中級者以下であれば教科書通りに動くやつは、撃墜しやすいのだが堅実なベテランはそうもいかない。

 経験によって奇策にも対応出来る。

 1対1では機体性能とパイロットの腕が物を言うが、機体性能はともかくパイロットの相性で負けているオスカーは見た目以上に苦戦しているのだ。


「悪い、フランク。こいつを食ってから行く」


「おい、間に合う、のか?」


 隊長からの無線は途切れ途切れ、幾度も攻撃を受けて余裕がない。


「損害度外視なら1分半で食ってみせる」


「動けな、くなるなよ」


 返答は無かった。


深呼吸、気持ちを整える

操縦桿を引く、機首が上がる

猛烈なG

後方に敵機、自機を追って上昇して来た

堅実なハズの敵が追って来たのには少々驚いたが、好都合だ

ラダーで進路を微調整する

エンジンの出力を絞る

敵機が近付く


300m

弾がかする

まだ我慢、エネルギーを温存する


200m

ロールしながら狙いをずらす

真後ろの防弾板から金属音が響く


100m

22mmがキャノピーを削り取る

エンジンを全開に戻す


0m

機関砲が止む

敵がこちらを追い抜く


「ショット!!」


機関砲が火を噴く!


敵機の主翼から燃料が噴いた


まだだ


敵がブレイクする


今度は俺が前だ


後ろから弾が飛ぶ


避ける、避ける!


右主翼端が吹っ飛んだ


操縦桿の手応えはある


油圧は生きている


まだ戦える


ブレイク!


撃つ、撃つ!


火花が散る


敵機は発火した


油断はしない


さらに撃ち込む


胴体下部から何かが飛び散る


敵機は次第に速度を失った


「ざまぁみやがれ」


墜ちる敵機を見送り、オスカーは隊長の援護に向かった。



帝国side

 敵の戦闘機を追跡する、しばらくは回避機動をとりながら直進していたが、突然上昇した。


「なんだあいつは。クソ、でも放って置けねえ」


 突然の上昇、それはエネルギーを失いかねない危険な機動であったが、今はこいつを押さえておけないと、すぐ近くで戦っている青木の小隊にちょっかいを出される可能性がある。

 行かせるわけにはいかない。


「付き合ってやるよ」


 歯を食い縛って操縦桿を引き、新型機を追って上昇、ケツに照準を合わせて射撃する。


「おいおい、ホント頭おかしいな」


 敵機はエアブレーキを使わず機関の出力を絞って減速を早めた。

 敵機が被弾する確率が大幅に大きくなるが、質量の関係で慣性力の大きい自機はすぐに減速できない。

 このままでは追い抜いてしまう。

 対応策は単純、このまま撃ち落とす。


当たれゴルァー


 予想進路に22mmと12.7mmをばらまく。

 それらの一部は敵機に当たっているが致命打にならない。

 やがて敵機を追い抜き、後ろに着かれる。


ド畜生!


 後ろから激しい射撃を浴びせられる。

 いかに前後の装甲が厚いとはいえ、長い間射撃にさらされれば損傷する。

 敵の銃弾が翼内タンクを破壊し、燃料を噴出する。

 火は付かなかったが手痛い損害だ。

 しかし、充分に減速し敵機の後ろをとるのに適当な位置に来た。


ブレイク!


今度こそ墜ちろ


 隊長は撃つ、射撃音に合わせて敵機は舞う、その間を銃弾が迸る。

 一発の22mmが敵機の主翼端に当たった。

 敵機右主翼端の破片はまるでこの戦いを演出する紙吹雪のように散る。

 やがて隊長の出番は終わり、再び敵機がこちらを撃つ番が来た。

 ブレイク、短い沈黙。

 フィナーレを演出するのは激しい射撃音、響く着弾ショック、主翼の炎。

 完全に捉えられた壱式艦戦は射撃に耐え兼ね、プロペラが暫く惰性で回った後エンストした。

 機関の沈黙、残ったのは遠ざかる新型機のエンジン音と自機の風切り音。

 あまりにも呆気ない幕引きだった。


「あーあ、ペラが回らん。エンジンやられたか?はぁ、隊長から青木、旗機を代わってくれ。動けない」


 よく整備され、設計が優秀であるお陰か、すぐに主翼の燃料流出は止まり、消火もしたので、始動用の電動機を動かすと風切り音の中に出力軸が回る音が聞こえる。

 エンジンは無事のようだ。

 過給器が止まってしまったのでこの高度でエンジンをかけるのは難しいだろう。

 3,000まで降りたら予備配管に切り替えて再始動してみよう。

 それでダメなら脱出だ。


「はい隊長、取り敢えず無事なんですね?」


「陸軍の百式戦には劣るが操縦席は頑丈に出来てるからな。始動器は回るし異音もしないから燃料系がやられたのかね?まあ頼んだわ」


「はい、鈴木の手綱もしっかり握っておきますよ」


「副隊長から各機、隊長が離脱したので旗機を代わった。以後の指示は俺に従ってくれ」


「それと、やべーのがそっちに行った。すまない」


「どうにかしますよ」


 隊長機は滑空して高度を落としていった。



合衆国side

「フランク、オスカーだ。まだ大丈夫か?」


「隊長より、エンジンの温度は思ったより持ちそうだ。それより早くどうにかしてくれ」


「OK」


 バーチカルシザースで貯めた高度を使って降下増速、1対2の状況を崩す。

 機関全速、右翼端を失ったことで発生している右ロールを無理やり押さえつける。

 まずは一撃、手始めに隊長機に近い方の敵に機関砲を撃ち込む。

 敵は気付いていたようで問題なく回避する。

 不意打ちでもない初撃ならこんなものだろう。

 取り敢えず一旦隊長への攻撃は止んだ。


「大丈夫か?」


「お前こそ、翼端が吹っ飛んでるじゃねーか」


「こんなの油圧が生きてりゃ関係ない」


「さっき基地から連絡が入った。多すぎて数を把握しきれないほどの零式陸上攻撃機(レティー)百式戦闘機(デリック)で編成された爆撃隊が来てるらしい揚陸艦隊も発見したそうだ」


「上陸作戦か」


「多分な。もう長くなさそうだ」


「これが最後の出撃か?」


「そういうことだな」


「このところ負け続きだし、最後くらいパーっと勝つか」


 敵機は上、自機の方が速いがエネルギーは五分、銃撃で追い払ってから少しずつ接近し距離を測っている。


「上にいる方を先に落とそう。突っ込んでくる」


「盛大に暴れてくれ」


「言われなくとも」


 オスカーは一気に距離を詰めにかかった。




 この作品に物理法則は通用しません。大事なことなのでもう一度言います。

 この作品に物理法則は通用しません。

 なので、垂直に通常のシザースが出来ても不自然では無いんです。

 次回予告、接戦が続いていた戦闘は帝国の援軍の接近によって遂に終着点が見えた。

 最後の戦闘はどんな結末が待っているのか? オスカーと鈴木の戦いはどうなるのか!?

次回、第七話終局。

次回もお楽しみに。

 特に説明が入っていなかったので付け加えますと、帝国の隊長機には尾翼に白いラインが入っているので見て分かります。

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