表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

影達の勧誘

『ごめんください』


金髪の女は引き戸をノックし丁寧に呼びかける


『留守かなぁ』


反応がなかったようで肩をすくめながら彼女はそう言った

まだ(よい)の口、就寝するには少々早いようにも思える


すると静かに引き戸が引かれ、影からヌッと黒髪の女が顔を出した

失と金髪の女は帽子をとり胸の前に持ってくると深くお辞儀をした


『夜分遅くにすみません、影姫さんのことでお話があってきました』


黒髪の女は目を見開いて二人を見た後、屋敷の中へ手で招きいれた


『一体何処でその名前を聞いたのです…?』


『我々はシャドウズという組織でして政府と少しパイプがあるんです』


廊下を歩きながら金髪の女と屋敷の女は会話をしていたが、客間に着くと屋敷の女はそそくさと部屋を後にした


シャドウズ、正式には【真実の影達】

政府の直属の部隊で、名前の通り影での仕事が多い。国家機密絡みの仕事が多いため彼らの存在を知るものはほんの一握りである


(メルは強引すぎる)

失はメモにそう書くと金髪の女に見せた


『まどろっこしいのは好まないんだよ』


笑いながらメルと呼ばれた金髪の女は障子の外を眺める


(影姫の勧誘、及び本の徴収…任務は忘れてないよね?)


『もちろん、まぁ大人しく引き渡すとは到底思えんが…』


メルは頬を人差し指でかきながら笑顔でそう答えた


”本”

人は母体から産み落とされる時に本を一冊抱いた状態で生まれてくるのが常識とされる

赤子はその抱いた本を医者に取り上げられた時に喪失感からか産声として泣き声をあげる


その本には題名(タイトル)が記してあり、その題名(タイトル)が赤子の名となる

そして回収された本は政府の書庫に全員分保管される

亡くなった人の本は中に書かれた文字を撒き散らしチリとなる


本に書かれた文字は持ち主の中身を示す

身長体重、記憶や知能などありとあらゆるもの全てだ

そしてその文字は”失われる”


人間達は血を流すことがない

傷を負うと血が流れるのではなく、本の中の文字が流れ出るのだ

そして流れ出た文字はもう戻らない

即ち(すなわち)、”失われる”


しかし、医者に頼らずに出産をし

本を回収させない輩もいる

そして今回のターゲットがそのケースに当たる

影姫と呼ばれた少女は外界との接触の一切を断たれ政府の手を逃れようとしていた

一体どんな理由があったのかは未だ不明


『困ったものだよ…普通に考えれば犯罪者なんだけど、政府は何を考えているんだか…』


しばらくすると先ほどの女が戻ってきた



『シャドウズのお二人様!!…どうか娘の命だけは助けていただけないでしょうか…』


『い、いえ…そういう命令できたわけではないんです…』


あまりに唐突に鬼気迫る顔で命乞いをされ、メルは慌てて反論する


『私達の任務は影姫さんの勧誘、そしてなぜこのようなことをしたのか理由を聞きに参ったのです』


米国美人のような容姿からは想像もできないような達者な日本語で落ち着いてはっきりと伝えた


『申し訳ないのですが、私の口からは何も言えないのです…』


一瞬の間が空いた後に屋敷の女はこう続けた




『実際にあの子と会ってお話をしていただけませんか…?』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ