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オレハ、スマホヲテニイレタ  作者: 舘 伝斗
1章 冒険よりケモミミをモフりたい!-ウィンブルス王国-
5/39

1-4 オレハ、レキシヲツクッタ。(ただし黒い方。)

今月2話目!

うん、頑張ってる、俺。



現在文字数、10,500文字


目標文字数、54,000文字ー残り、43,500文字

  国王にガロティス帝国へのお使いを頼まれた次の日。

  俺はこの世の桃源郷へと来ていた。


「あのー、ヴィエラさん、そのー、魔女兎って、えーと、何なんですか?」


  俺は寝起きとは思えないほどの集中力をもって寝起きの(・・・・)ヴィエラさんに話しかける。


 そう、寝起きだ。


  寝起きとは何か、それは女性が最も無防備に、最もエロティックに輝く瞬間だ!

  実際今の俺の目の前には天国と言っても過言ではない、いや、天国という言葉ですら霞んでしまうほどの光景が広がっていた。



「うぅーん、ん?魔女兎か?」


  ヴィエラさんは寝起きであるにも関わらず寝癖一つなく纏まった髪を軽く手櫛で整えベッドの縁へと移動する。

  ヴィエラさんが移動する度に揺れる薄い布一枚だけで保護されている爆乳と健康的なムッチリとした太ももが眩しい。

  加えて体重が掛かる毎にギシッギシッと軋むベッドも中々良い仕事をしている。


「ふふっ、朝っぱらから元気な奴だな。流石にまだユウトには刺激が強すぎたかな?」


  目が血走るレベルで凝視しているとヴィエラさんは俺のある場所に目をやり苦笑する。


「べぐuなへもgrらけdjむっ!」


 バタンッ


  その視線が意味することを理解した紳士な俺は可及的速やかに部屋を出ていく。

  女性の寝起きをまじまじと見るのは失礼だからね。


  さて、処理処理。






  小屋から少し離れた比較的綺麗な廃墟で賢者になった俺が小屋に戻るとすでにクソ猿とピンク羊はバナナに似た果物と綿飴のようなものを食べていた。


「ようやく帰ってきたのかユウト。ん?」


  俺が小屋に帰って来たことに気づいたヴィエラさんは何かに気がついたように視線を下げる。


「なんだ、自分でしたのか。目を見て言えるならしてやらんこともなかったのに。」


「べげらjgすぺっ、ゴボゴボッ!」


  ヴィエラさんの言葉に思わず逃げ出そうとした俺の顔にクラトが襲い掛かる。


「照れるな照れるな。それより朝御飯食べないのか?それに魔女兎の件も聞きたいんだろう?ほら、クラト。解放してあげな。」


  ヴィエラさんの言葉にクラトは即座に俺を解放する。


「ごほっごほっ。クラト、お前は俺の従魔の筈だろ。なんで簡単にヴィエラさんに手懐けられて主を死に追いやってるんだよ。」


  俺は当然のごとくヴィエラさんの膝の上へと乗っかる裏切り者(クラト)に愚痴を溢しつつ用意された朝食へとありつく。


  そう、ヴィエラさんお手製の愛情の籠りまくった朝食だ。

  見たことのある赤いご飯(・・・・)に、そのご飯に突き刺さるこの世界に無いはずの日の丸の旗(・・・・・)


「・・・この国にもお子さまランチってあるんですねー。」


  そう、まさにお子さまランチだ。


  まだ女の体を知らない奴はお子さまだって?

  うるせぇ!

  毛だってしっかり生えとるわ!

  それに予行練習なら何百回としとるわ!


「いいや、これは未来の(・・・)ユウトに教わった料理だ。」


  俺の言葉にヴィエラさんはとんでもないことを口走る。


「・・・「まさかヴィエラさんって、不思議ちゃん?」っ!?」


  俺の言葉とヴィエラさんの言葉が被る。


「「もしかして以心伝心ですかっ!?」」


  いや、これは被ったんじゃなくて被せられたのか。


「その台詞はすでに(・・・)聞いた(・・・)。これで未来の事を知っているということを理解してもらえたかな?これは自分の身の回りの事に関してのみ、未来を知ることができる私の祝福(呪い)だ。」


  祝福、昨日ヴィエラさんがちらっと言っていた、この世界の魔法とは異なる神から与えられた力。

  本人は呪いって言ってたけど。


  そういえば昨日窓から脱出したときも来ることが分かっていたかのように待ち構えられてたな。

  あれは既に知っていたからか。


「その祝福があるから魔女兎ってことですか。確かに未来を知ることができるなんて反則ですね。正直羨ましいですよ!」


  俺の言葉にヴィエラさんは少し悲しそうな顔になる。


「本当にそう思うか?自分の身の回りに関することの未来。つまり私はすでに自分が、いつ、どこで死ぬのか知ってるんだぞ?それが本当に祝福だと思うか?」


  その言葉に俺はハッとする。


  俺はバカか。

  自分の身の回りに関することの未来が見えるということは当然、自分の死(・・・・)も見えて然るべきなのに。

  何が羨ましいですよ!だ。

  数秒前の自分を殴り飛ばしてやりたい。


「いや、ユウトがそこまで気にすることはない。このこと()私は既に知っていたんだ。知っていてこんな顔をしてしまった私のミスだ。すまない。」


  そういうとヴィエラさんは頭を下げた。


「なんで、なんでヴィエラさんが謝るんですかっ!変なことを言ったのは俺なのに。悲しそうな顔をした私が悪い?そんな訳無いじゃないですか!」


  ヴィエラさんは頭を下げたままだが、少しウサミミが持ち上がる。


「自分の死を知っている?なら俺がそんな未来から守ります。何がなんでもその身を守ってみせます!神に与えられた力?そんなもの、神に作られた(・・・・・・)俺が吹き飛ばしてやりますよ!」


「神に作られた・・・?」


  ヴィエラさんはいきなり驚いたかのように顔をあげる。


「ユウト、神に作られたって、どういうことだ?」


  突然の食い付きに俺は少し格好付けすぎて空回りしたのかと恥ずかしくなる。


「いや、神に作られたというのはですね・・・」




 ティトト、ティトト、ティトト、ティン

 ティトト、ティトト、ティトト、ティン




  不意になり響く着信音。


  勿論相手はクソ神からだ。

  昨日は無視した癖に今更何だっていうんだ。



 プツッ



「それで、神に作られ、」




 ピロピロピロピローンッ

 ピロピロピロピローンッ

 ピロピロピロピローンッ




「あぁー、もう。ヴィエラさん、少し待っててください。」


  俺はそういうと部屋から出ていく。



 ピッ



「・・・何なんだよ?昨日は無視したくせに。しかも着信音をご丁寧に緊急避難警報の音にしやがって。」


「いやー、昨日の件はすまんかったのう。何分儂も神じゃから常に暇というわけではなくてのう。」


  まぁそりゃそうか。

  神だっていつでも電話に出られるわけ無いよな。


「で?何のようだ?俺は今から大事な話があるんだけど。」


「そう、まさに儂が電話を掛けたのはその事じゃ。端的にいうとお主がこれからしようとしていることはマナスの神へ喧嘩を売っているのと同義なのじゃ。」


「ん?マナスの神はあんただろ?マナスの住民にあんたの事をバラすと喧嘩を売ってることになるのか?」


「いや、そうではない。・・・これは伝える気はなかったのだがの。実は神が管理できる世界は一つなのじゃ。」


  クソ神め、ついにボケたか。

  確かこいつが管理してた世界は地球、マナス、竜海、リンドル、ベルダンドの5つの筈だ。


「・・・それだとおかしくないか?あんたは確か5つ管理してたよな?ボケたのか?」


「誰もボケとらんわっ!あれは管理していたわけではないのじゃ。儂の本当の持ち世界は地球なのじゃ。他のマナス、リンドル、竜海、ベルダンドは別の神の持ち世界なのじゃ。」


「で?なんでその世界をあんたが管理してたんだ?」


「実を言うとマナス、リンドル、竜海、ベルダンドを管理していた神は決託して神界を支配しようとしておったので儂が封印したのじゃ。

 そして管理者の居なくなった世界が崩壊しないよう、支配力に余裕のある儂がこの4つの世界を託された。

 お主も見たじゃろう?

 世界の片隅にある黒い悪意を。

 あれは封印された神の破片が自らの封印を解こうとしておるのじゃ。」


  儂が、ってクソ神ってもしかして滅茶苦茶強いのか?


「ふーん、あんたって結構すごい神様だったんだな。その神の欠片が残っているからこの世界であんたの事を口走るとそいつが俺をあんたの手先だと思って殺しに来ると?」


「その通りじゃ。」


「それヤバくね?そんな危険を黙って俺に録な力を寄越さずにマナスに送ったの?馬鹿なの?神の封印解くよ?」


「待て待て待て待て。

 録に説明をせんかったことは謝る。

 じゃがお主にこんな話をしてもどのみちマナスを選んだじゃろ?

 襲ってくるか分からない神の破片とリアルケモミミ。

 お主の中ではどちらが優位なんじゃろうな?」


  俺の脅しにクソ神は面白いように慌てる。

  あ、こいつ多分そこまで強くないんじゃね?って思えるから不思議だ。


  クソ神に言われて脳内で両者を天秤にかける。・・・・・駄目だ。圧倒的にケモミミに傾くぞ。


「ぐっ、そう言われると結局マナスを選んだ気がする。」


「そうじゃろう。よって儂はその件に関しては悪くないのじゃ!それにじゃ、マナスのような平和な世界で異常な程強力な力を持っていたとするとそれこそ神の破片に狙われるぞ?こいつは何か特別だ、と気付かれての。そうなりたかったのか?」


  こう聞くとどう考えてもクソ神の親切に身に覚えがありすぎる。


「くっ、残念なことにあんたが良い神様に思えてきた。」


「そこで残念がるんじゃないわ!儂は神界でも一二を争うほどの善神なんじゃぞっ!・・・それで話を戻すが、その世界にいる間は儂の事は間違っても口にするんじゃないぞ。力を付けた後ならどうとでもなるが、今のままじゃ間違いなく、しゅんころじゃ。」


  しゅんころ。

  北斗な業を修めたあいつの十八番か。

  まさに気分は、あべしっだぜ。


「力を付ければ神の破片に勝てるのか?」


「・・・勝てるとも。

 マナスに送るときに肉体を作り替えたじゃろ。

 あれは魔力に適応するためでもあるが、真の目的は神の破片に対抗できる器を作ることじゃ。

 既にその器は成った。

 後はお主の努力、工夫次第で儂にも及ぶ力を手に入れられる!


 ハズじゃ。」


「最後の方が心配だな。でも、そうか。俺もリアルチート主人公になれるのか。」


  これは夢が広がるな。

  チートが可能ということはハーレムも・・・ぐふふっ。


「そうそう、お主、全くスマホの機能を確認しておらんじゃろ。折角強くなるための近道があるというのに利用しないとは、相当なマゾなのか?」


  ポクポクポク・・・チーン


「・・・べ、べべ、別に忘れてた訳じゃねぇし!

 これは、あれだ、あれ。


 くっ、俺の力はこんなものじゃないだろ!こんなところで死ねるかっ!

 っ!?

 なんだ!?力が、溢れてくる。

 これが俺の、新しい力?


 ってパワーアップする予定だっただけだし。

 忘れてねぇからな!


 はぁぁぁー!

 トランザm・・・」


「分かったから落ち着かんかっ!」


「・・・・・あんたの神言ってスマホ越しでも効果あるのな。」


「はぁ、はぁ、そうじゃろ。儂の力を、はぁ、舐めてもらっては困る。ふぅ。」


「おい、息切れ隠せてねぇぞ。」


  寄る年波には勝てねぇってか?


「おっと、はぁ、時間じゃ。くれぐれも儂の事を話すんじゃないぞー!ふぅ。」



 プツッ、プープープー



「逃げやがった。でもそうか。俺の力はクラト一匹従えるだけじゃなかっんだな。」


「おーい、ユウト?大丈夫か?」


  俺が未来への期待を抱いていると扉の外からヴィエラさんの呼び声が聞こえる。


「機能の確認は旅路でいいか。はーい、大丈夫です。いきなりすいません。」


「で、神に作られたっていうのは結局どういうことなんだ?」


  ヴィエラさんは、如何にも興味ありますといった風にウサミミをピコピコさせながら訪ねる。


「この世界の生物は全て神に作られたって事ですよ。生命の源、DNAは神の設計図ってね。それより今日出発するんでしょう?そろそろ準備しないと。」


  ダーウィンだっけ?

  学がねぇからわかんねぇや。

  まぁ異世界だから適当に言っても正しく聞こえるか。


  俺はそれだけ言うと朝食の残りへと手を伸ばす。


「うん?よくわからんな。まぁ、ユウトも男だし隠し事の一つや二つはあるか。」


「ははは、ナンノコトデショウ?」


「いやなに、廃墟を使用するのは名案だが綺麗なところは監視の目があるぞ?ということさ。」


「ぶふぉっ!がkdぺらめygたiおqaね?」






  俺はこの世界に来てはじめて黒歴史を作ってしまったようだ。

  この教訓は忘れないぜ。



  絶対に!









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