- Back Space -
「うあああああ!! はぁ・・・ はぁ・・・ はぁ・・・」
気が付くとベッドの上だった。今までのは夢であれば助かるのだが・・・
俺が2段ベッドから降りようとすると、下にゆかりと優介が顔を膝に埋めて泣いていた。
「ねぇ、私達って・・・ 死んじゃうのかな・・・?」
まさか・・・
「どう・・したの?」
「夢みたんだ・・・ 3年後に改造されて殺し合いさせられるんだって・・・。」
心臓がドクンと波うった。夢ではなく、精神だけ現実世界に連れてこられた現実だったと仮定すれば辻褄が合ってしまう。平和に過ごせる時間が後3年しかない・・・。
「か・・・勝てばいいんですよね・・・? 僕・・・ か、勝てば・・・元通りなんですよ・・・ね・・・。」
いや、わからない。何の為に殺し合いをするかも聞かずに始めてたまるか。
俺はパソコンの前に座り、陽宛てにメールを送る。
件名:何の為だ
本文:お前は何故殺し合いをやるんだ。なぜ人が死ぬとわかっててやめないんだ。俺はやる理由が知りたい。それだけでいいから教えてくれ。
ピロリン 返事だ。
件名:はぁ?
本文:うるせぇ 二度と送るな クソ野郎
くそ! くそくそくそくそくそ・・・ くそぉぉぉおおおおお!!
目から溢れる雫が止まらない。頬伝いに落ちる雫がキーボードを濡らしていく。
「くそくそくそくそくそくそくそくそくそくそおおおおおおお!!!!」
俺は目にとまった「Back Space」を連打した。ただただ目の前に現れたあまりにもでかすぎる現実から「逃げたい」のではなく「戻れ」と願ったのであった。俺たちは、ただ嘆き悲しむ事しかできないのかと思うと・・・いや、待てよ。そうだ。俺たちは小説の中の和馬なのだ。小説の中のゆかりなのだ。小説の中の優介なのだ。
「俺らだけなら・・・ 消えてもいなくなってもいいよね・・・。」
また、お会いしましたね。
そうですか。殺し合いをやめたいと。
残念ですが、それはできません。
陽、和馬、優介の3人の戦いと思ってるようですが実は違います。
陽が言った通り、皆さんは3代目なのです。
2代目の3人。初代の3人。現実世界の3人。計12人の殺し合いです。
止めたいと思っても、2代目、初代、現実のあなた達に伝える手立てはありません。
それでも止めたいのであれば・・・
「うわぁあ!」
くそっ、またあの夢か。4日間見なかったが、また見えるようになってしまった。もうこの話は忘れてしまいたい。どこぞの戦争博物館にあるビデオなんか見ても怖くなんかなかったが、自分達がやらなければならないとなると足が震えて止まらなかった。
深夜4時半頃。この夢を見てしまうといつも途中で起きてしまい寝不足になる。シャツと体が張り付くほど汗をかき、寝なきゃいけないのだが気持ち悪くて今の状態ではとても寝れなかった。仕方ないのでお風呂に入る事にした。
浴槽に入ったごみが浮いている冷水を流し、湯を入れゆっくり浸かりたいものだが、そんな悠長にしていたら立ったまま寝てしまうだろう。俺は仕方なくシャワーで済ませる事にした。
バシャバシャと床に水が跳ねる音が風呂内に反響して鳴り響く。この反響された音がどこか切なさを感じさせる。こんな事も3年後には出来なく・・・いや、今考えるのはよそう。こんな状況でさらにブルーになっては頭が床にめり込むだろう。俺は頭と体を足早に洗い、ゆっくり湯にあたらず風呂から飛び出した。
見てくれてありがとうございましたm(_ _)m