- リアリティア - 2
「ここは・・・ 病院?」
気づくと俺の家の部屋とかけ離れた、真っ白で清楚な部屋のベッドで寝ていた。
「そう。心配したんだからな!?急に倒れたって先生に聞いて・・・。」
ゆかりが俺の顔を覗き込んでそう言った。そうだ、なぜ俺はあの時こけたというだけで体が動かなくなったのだろうか。俺は病気を持っているわけでもないのだが。
「先生はどこだ?」
「外のベンチに座ってるよ。平気なら行こう?体にも全く問題ないみたいだし、なにもかも正常なんだってさ。」
正常・・・?いや、明らかに正常ではない。なにせ体が動かなくなるのが正常なわけがない。
「いや、今はやめとく。気分悪いし。」
「そっか、わかった。」
そう言うとゆかりはゆっくりとドアを開け、外へ出て行った。
再び現状を確認する為あちこちに視線を送って見た。俺の右手にはシャーペン、左手にはいつも見るノートが存在した。
ここはどこの病院なのだろう。毛布をめくり、立ちあがった。と思ったら、下半身に異様な涼しさを感じた。
「俺裸じゃん。」
下半身だけではない。全裸だ。よくこの格好でゆかりの目の前で平然で居れたものだ。
とりあえず病室に設置されてあるタンスを開けるが、都合良く下着なんて存在するはずがない。
それにしても脱がせたのは誰だ。ゆかりは・・・多分ないだろう。痴女要素ゼロだし。
やる事がない。外にでもでれば確実に病院を知るどころか警察行きだ。小説の続きでも書いて時間を潰そう。
5時間ほどたっただろう後にまたゆかりがやってきた。優介を連れて。
「ほーら?優介も心配してるでしょうが。ねぇ?」
「あ、いや、そ・・あの・・うん。」
「無理矢理言わせてるよな。」
俺が見る限りではゆかりと優介はあまり面識なかったはずだ。いつの間に仲良くなったのやら。
「義兄ちゃん大丈夫?」
「うーん、わからんけど、多分あまり動かさない方がいいと思う。体動かなくなったらあれだし。」
「そっか。」
あれから体が動かなくなる事はまだないけど、これからも起きないという保証はない。無理に外に出るよりも俺は大人しくする事にする。
「ごめんな。俺の不注意で心配かけて。」
「いいよ。義兄ちゃんらしいよ。」
そういって笑ってくれた。その笑顔はいつも見る優介の笑顔より優しく儚い笑顔だった。いつか無くしてしまいそうで・・・。
そんな事を小説に書いてしまっていた。
和馬が優介を裏切って殺しかけてしまう。まだそこからの展開は固まっていないのでなんとも言えないが、いつか無くしてしまいそうで急に怖くなってきた。
「ああああああああああああああ!!くそおおおおおおおお!!!!!」
ゆかりや優介の前?どうでもいい。後悔の渦にのまれた俺はノートに張り付けられている数々のページを音を立ててビリビリと破り裂いてしまった。
「くそぉぉぉぉおおおお!!くそっ!くそっ!くそっ!」
「義兄ちゃん?どうしたの?」
こんな物語嫌だ。小説の中だから?・・・違う。俺が優介を殺しているのと同じだ。なんて馬鹿な事を描いていたんだ。
想いを込めたはずの数々のページを俺は破り裂き終わると、今まで書いてきた小説を1つ1つグシャグシャと潰し、病室の隅にある何も入って無い清楚なゴミ箱へと次々と投げいれた。
もう中は紙くずで溢れかえっていたがそんな事は関係ない。また、新しくやり直せばいいんだ。
「くそくそくそくそくそくそくそおおおおお!!!!!」
バチン!!
乾いた音と共に頬に激痛が走った。裸の俺はゆかりにビンタをくらい、そのまま体が動かなくなってしまった。意識が遠のく・・・。
「何してるの!今まで俺達と一緒に頑張って書いた奴じゃない!なんでそn・・・・・・・・・・・・・・・・
おい。何でせっかくお前の書いた小説を破り捨ててんだ。
それは・・・ 俺の義弟と小説の中の義弟が重なったからだ・・・。小説に書いた事が実際に起きる訳じゃないんだけど、・・・嫌になったんだ。
あのなぁ。お前今まで何回捨ててきた?もう我慢できねぇんだけど。
なぜ知ってる?お前は誰なんだ?俺はゆかりといるか1人の時しか小説は書いてないぞ。
そんな事お前に教えてどうする?お前は俺に殺されたんだ。お前は聞いて何をする?何もできないだろう?
何故俺を殺したんだ?お前は誰なんだ?ここはどこなんだ?俺はこのあとどうなるんだ?別に聞いて何をしようとする訳じゃない。ただ聞きたいだけだ。
そうか。じゃあ教えてやろうか。俺は・・・
・・・つまり 俺の体はお前に乗っ取られると?
そういう事だ。まぁ、悪い事はしねぇから。ほら、お前は主人公だ。
永遠に死なない体で新しいセカイを創り続ける事ができるんだ。
ほら・・・ 今までの俺はお前に。今までのお前は俺だ。じゃあな。
見てくれてありがとうございましたm(_ _)m




