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Delete - デリート -  作者: たらこパスタ
- 3 bad years -
16/23

Pause - 3代目と4代目 -

 目が覚めると俺はゆかりがいつも寝ているベッドに横たわっていた。

 俺はゆかりや優介に俺らが今いる小説での能力と天使や勇者の話をした後、説明する為に引きこもり生活で全然使わなかった頭を急にフル回転させたため、疲れ果てて何も機能しなくなった頭は考えることをやめ、床で寝てしまっていた。

 今こうしてベッドにいるという事は優介がここまで運んでくれたのだろう。

 朝10時26分。9時間くらい寝ていたらしい。これでも夜中までずっとパソコンの前に座っている俺にとってはかなりと言っていいほど寝ている。

 丁寧に掛けられていた掛け布団をまくり上げ、今にも閉じそうな目を手の甲で擦ってリビングへ向かう。

 「ゆかり、おはよう。」

 いつもはかなり早起きなゆかりが珍しく今朝食を作っていた。まぁあれだけ重要な事を立て続けに話されたのだ。聞いているだけでも疲れるだろう。

 「あぁ。 和馬くん おはよ・・・。」

 いつもはパァっと明るく返事をしてくれるゆかりが、俯いていて元気のなさそうな声で返事を返した。

 いつもは挨拶を交わした後リビングのソファに座り、朝食がでてくるのを待つのだが今日は何かがおかしいと俺はゆかりの様子を見る事にした。

 5、6分くらい経ったがゆかりの顔は一向に上がらない。

 「ゆかり、どうした?気分でも悪いのか?」

 「ううん、 いや、その・・・ 今日いつも通りに6時くらいに起きたら、(あかね)っていう女子が来てね・・。 優介が茜に会ったとたんに2人で飛び出して行ったんだ。『セカイを探してくる』って言って・・。和馬くんは茜って人知ってる?」

 「・・・。」

 『セカイを探してくる』? もしかしてもうすでに天使としての役割が始まっているのかもしれない。

 しかし、3年という宣告を受けてまだ3日しか経っていない。優介ももう少し何か言い残しておけば手がかりくらいは分かるだろうに・・・。

 俺は茜っていう人に心当たりがあった。 俺がまだ引きこもりだった時に遡る。


ピンポーン

 「和馬ー! ちょっと今夕飯の準備で忙しいから、ちょっと出てー!」

 「あーもうくそっ 今生放送なのに・・・。」

 俺はイライラからヘッドフォンを床に叩きつけ、わざと足音を立たせ、玄関へと向かった。

 その頃中学3年生だった俺は、学校には月に1、2回くらいしかいかないほどの不良に堕ちていた。ただただ部屋へ引きこもってろくにリビングにも行かず、パソコンの前に座り、ヘッドフォンをつけて動画や音楽を大音量で聴いていた。

 そんな不良息子にも優しかった母親は部屋に3食わざわざ持ってきてくれたりもした。そんな母親の優しさにも

 「学校なんて行きたくもねぇよ! 二度とその話題で俺に話しかけんな。」

 などと怒鳴り散らし、部屋のドアを勢いよく閉めだして、母親と俺との壁を自ら作り出してしまっていた。今はもう動かぬ母には、息子として何もしてやれなかった。

 

 俺はサンダルを軽く履いて、ぶっきらぼうにドアを開けると、そこには俺より少し下くらいの女子が立っていた。

 「あの・・、瀬戸 茜っていいます・・・。木下さんって、ここですか・・・?」

 「用があるなら奥に母親いるからそっちに伝えてこい。」

 誰だろうと関係なく八つ当たりを繰り返す爆弾だった俺はそう吐き捨て、その茜と名乗る女子を無理矢理家の中に入れ、バタンとドアを閉め、再び自分の部屋へ閉じ籠った。

 俺には弟がいる。小学5年生で、成績優秀と言えるほどの子供だった。

 その弟は女子と付き合うようになったらしく、学校が終わればすぐ帰って来るような奴なのだが、付き合い始めて帰りが6時くらいになっていった。

 しかし、最近ケンカしたらしく、再び4時くらいに帰るようになっていった。今も俺と別室の奴の部屋にいる。

 俺の部屋のドアを隔てた向こうのどこかからその茜が何回も何回も俺の弟を呼ぶ声が聞こえた。何10分も泣きじゃくりながら俺の弟を呼ぶもんで、再び動画を見ていた俺もヘッドフォンをつけている状態にも関わらず茜が泣きじゃくる声が聞こえる。

 限界に達した俺は部屋を飛び出し、声が聞こえるリビングに行き、母に向かって一生懸命泣きじゃくりながら説明する茜に、

 「そんなに会いてぇなら早くこい。」

 と俺はイライラしつつも手をひっぱり、弟のドアの前に無理矢理連れ出した。

 「用を済ませたらとっとと出てけ。」

 そう言って俺は再び部屋へ戻った。俺はなんでそうひどい事を言ったのかは憶えて無い。どうせただうるさかっただけだろう。弟にも同じような事を言い、外に閉めだした事もある。

 やがて茜の泣きじゃくる声が止み、やっと動画に集中する事が出来た。

 今更、なんであんな事を言ってしまったのかと後悔の渦に巻き込まれる事もある。面識の全くない初対面の人にあんな事言っていいのか。初恋相手の兄が「出てけ」と言ったのだ。誰が仲直りができるか。今なら思える。

 結局弟にもあの優しかった母にも怒られ、家出をし、結局あの家に帰らず、ゆかりと優介と住んでいる家にたどり着いた。(のち)1ヵ月に我が家に帰る事になる。


 そんな事があり今に至る。茜と俺が関わった事はそれだけだ。

 「そっか・・。 弟の初恋相手だったんだね・・。」

 「ああ、今はもうその弟は病気で死んでしまったがな。」

 ゆかりは朝のあれよりもさらに肩を落とした。優介の身に何が起こったのだろう。もしかしたら弟と茜の関係を殺した恨みがあるのかもしれない。いや、確実にあるだろう。

 「セカイを探してくる」と言い残した優介を家で待てばいい話なのかもしれない。だけど俺はじっとしてなんかいられなかった。

 「ゆかり。 優介探してくる。お前も来るか?」

 数秒間が空いた後、ゆかりは小さく「うん」とうなずいた。

 陽が告げた3年とは 本当の3年なのだろうか。

 聞けば俺が続きを書いてしまった事で、陽の書いた小説の時間が飛ばされてしまったのだという。

 茜と弟の事もそうだ。

 「3年」と「3日」の件もそうだ。

 俺は皆にただ迷惑をかけているだけなんじゃないだろうか。

 確かに俺は{勇者}という運命を背負っている。けど、こんな{勇者}誰が助けてくれるんだ。

 まだ俺のが起こした事という証拠はないけれど、俺はただ指をくわえて待ってられなかった。


 「俺って、勇者でいいのかな?」

 ゆかりは何も言わなかった。

 「ごめん、ゆかり。俺は耐えられないや。」


 黙って外に出る準備をしていたゆかりをよそに、俺はパソコンの前に座った。

 非現実的な日常(リアリティア)のページを開く。

急に家を飛び出していった優介と茜。

俺のせいで戦う事になってしまったクソ陽。

何の罪も無く生きてきたゆかり。

 「ごめん。」


Delete←


 俺もさんざんクソ陽を恨んできたが、一番恨まなきゃいけないのは俺なのかもしれないな。皆は正しく前を向いて歩いてきたと言うのに。

 何が平和だ。何が思い出だ。


保存しますか?   はい  いいえ←


 もしも4代目の俺ができたのなら、鼻をつまんで笑ってくれ。そして消してくれ。


本当にいいですか?  はい← いいえ 


 俺はこの世界もろとも、ゆかりや茜や優介、そして俺。他にもこの小説に生きる人々を消滅させた。



 「くそ! クソ和馬! 余計な事しやがって! もうすぐ物語が終わるところだったのに!! まぁいいや。もうすでに4代目ができてるんだ。」

 「コピーしてペーストする」事なんて簡単にできる。たとえ3代目が死のうが生きようが所詮駒。「セカイ」を創る材料にしか過ぎないんだ。


    必ず プログラム上じゃない この手で 殺すからな。

 見てくれてありがとうございましたm(_ _)m

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