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俺だ・・・。陽だ・・・。
おいおい、そんな目で睨む事はねぇだろう?
お前らはそうなる運命なんだ。小説の中の登場人物だって事。忘れんな。
ああ、ところで、優介とかいう奴の能力は知ってるか?
あいつは{天使}という運命を背負ってる。その天使が{悪魔}に堕ちた時の能力だ。簡単に言えば、「どんなものでも圧縮させられる」だな。
お前も{勇者}という運命を背負ってる。この流れでいくと{魔王}に堕ちるだろう?つまりお前も{魔王}の能力を手にするんだ。
お前の体は今日から、聖剣になるんだ。触れるもの皆傷つける体になってしまうんだ。
面白いだろう? そんなお前が何も知らないゆかりが触れたら・・・くくくくく・・・。 たまんないね。
まぁ、せいぜい頑張れ。じゃあな。
「陽!? なんて事するの? 何で和馬ばかりそうするの!?何で私を殺したりするの!?」
「お前本気で俺の彼女になったと思ってんのか。所詮お前は駒だ。3代目茜の製造に成功したんだ、初代はもう用済みだろう?」
「・・・。」
私は、何が起きたかわからなかった。
昨日まで陽と一緒に笑いあえたはずだ。
一緒にバラエティ番組なんか見て笑い飛ばしたはずだ。
一緒にご飯もおいしく食べられたはずだ。
なのになんで、私の目の前にいる陽は、私のいつも使ってる包丁を2丁両手に持ち、台所の床は皿の破片で埋め尽くされている。これも陽がやったのだろう。
こんなの陽じゃない・・・。こんな状況まで最後の最後まで包丁を手にし襲いかかって来る陽にすがるしかなかった。もうどうしようにもできなかった。
陽の頬に手をあて、「ありがとう。」と呟いた。胸に突き刺さった銀色に輝く刃物はだんだん赤色に染められ、私は意識を失った。
「所詮お前は駒だ・・・。」
何度も胸に鳴り響く声。なぜだ、私は死んだはずだ。陽に突き殺されたはずだ。どうして息ができるんだろう・・・。
気づけば私はノートパソコンの前に座っていた。こんな物語いやだ・・。私を何度も何度も殺す。友達まで何度も突き殺す。そんな風景が目の前のディスプレイに映し出されていた。
私は1人じゃないのか。私は所詮、陽が書いた小説に存在する瀬戸 茜。私より優れた茜が出来たのならば捨てるに決まってる。私だって創っては捨て、創っては捨てを繰り返した。けど・・・
捨てられたくない。私は私がいい。
一番右下に表示された今もなお生き続けている「3代目 瀬戸 茜」にカーソルを合わせ、深呼吸を2回して、ゆっくりとキーボードに手を伸ばす。
「陽、ごめんね。陽は私を殺したけど、それでも陽しか頼れない。私を捨てるなんてやだ。」
3代目 瀬戸 茜をコピー。 既に死んでいる私、初代 瀬戸 茜にペーストして保存。
「さようなら。 私はまだ、生きていたいよ。」
ペーストされた瀬戸 茜を残す全ての人間を。
私の友達を残す全ての3代目を。
1つのボタンで。
押した瞬間私の体は、足からどんどん文字となって消滅していく。
「私はやっとあの小説に行ける・・。皆と一緒に居れるんだね・・。」
私は天に昇るような感覚を覚えながら、消滅した。
「優介くん。会いに行くからね。」
見てくれてありがとうございましたm(_ _)m




