- Shift - 1
「起きて! 起きてってばぁ!? んもー。」
ゆかりが床でぐーすかと寝ている優介をゆすり起こそうとするが、全く反応がない。
朝7時50分。今までの俺なら確実に夢の中であろう時間だ。ゆかりは生活環境が良いのかは知らないが、結構朝早起きをして、俺が起きる頃にはすでに朝食の準備をしている。
今、朝食がすでにできあがり、3人で食べようとするが、優介がぐーすかと寝ているので起こしている所だ。
「もー! 優介じゃなくて、これからぐーすけって呼んじゃうよっ!?」
反応なし。やれやれというジェスチャーをゆかりと優介に向けながら、冷蔵庫からキンキンに冷えた麦茶を取り出し、コップに注ぐ。麦茶はやはり冷えた方がおいしい。何杯でもいける。朝食前に口さびしいので、ちょっと飲もうかと口に含んだその瞬間。
「優介!?胸のおっきな変態スケベお姉さんが遊びに来てるよ!?」
「どこ!? どこどこどこ? あ!! あっ・・・・。」
「うぷっ!?」
俺の口の中に含まれた水分は水鉄砲のように噴射され宙を舞い、器官に入り激しくむせる。
「ゆ・・ゆかり。ごほっ・・・ ちょっと、そんな卑猥な言葉どこでで覚えたの・・・。そしてなんで優介は反応するんだ。さっきまでビクともしなかったくせに。」
「い・・・いやっ 男・・・だろ?」
「いや、ま・・まぁ。あ! ああああ!!」
気づけば折角ゆかりが用意してくれた朝食が俺の麦茶でびしょびしょになっていた。これは大変だ。
「え? 一体どうしたん・・きゃああ! 折角作った塩焼きがぁ・・。」
ゆかりは相当悲しそうにそう吐き捨て、台所に持っていった。
「すまん。ちょっとゆかりが・・・ いや、ごめん。俺が急いで作るからちょっと・・・」
「いい。 食べれない事はないんだし?」
そういうと俺の麦茶がかかったサバの塩焼き(?)をぱくぱくと食べ始めた。はたして美味しいのかどうかは・・・ いや、想像したくもない。そういえば小さい頃に、美味しい白米と美味しい黒い炭酸飲料を混ぜれば絶対美味しいと混ぜて食べてた事もあったっけ。まぁもちろん美味しいわけがないのだが。
まぁゆかりの事だ。我慢して食べてくれているのだろう。俺がやったくせに何上から目線になってんだ。俺の馬鹿。
「ありがとう。片づけはやるから・・・。」
「はーあーい。もう。そんなに気にしなくてもいいのよ?」
いや・・・ 隣の優介がめっちゃこっち睨んでるのだが。しかし優介も優介で変態スケベなお姉さんで起きるのか。なんだかなあ。起こしたい時には便利なのかもしれないが、男であり、元引きこもりでデリケートである俺にとってそんな卑猥な言葉は口にできない。
「和馬。俺朝食どうしよう・・・ めっちゃ腹減った・・」
そう言われて衝動的に冷蔵庫を開くが、中身は昼飯の分もなさそうなくらい空っぽだった。
「ゆかりー? 冷蔵庫空っぽだけど、買い物でも行くのか?」
「うんー。朝食食べたら行くつもりだったけど。こうなったら今から行っちゃう?」
ほう。これは朗報だ。今日の昼飯を俺が選べるというわけだ。何食べようかな。まぁ、店についてから考えよう。
「優介、財布ちゃんと持ったか?」
「うん、ばっちり!」
そんな会話をやっているうちにふと記憶が蘇る。そうだ。ゆかりと優介はあの場所で・・・。流れは違うが、会話は全く同じじゃないか。
そうだ。経験はしていないが、この後何が起こるか。手に取るようにわかる。それだけは今後の為には避けなくてはならない。
「ゆかり。今日は家じゃなくて、ファミレスでも行って食べないか?」
「うーん? 良いけど、なんで?」
「いや・・・、ちょっと嫌な予感がする。お願いだ。ファミレスで食べたい。」
こうして、ゴミ箱へ捨てられたBad End storyを回避しながら正規展開を辿る3年間が始まった。
見てくれてありがとうございましたm(_ _)m




