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一巡目 六日目 その3
――君はまた寝ているのかい?
俺は妙に聞き覚えのある声で意識を取り戻す。しかし、気がつくと横に美咲はおらず、真っ黒な空間に俺一人だけだった。
『……誰だお前は』
――え? あぁ僕はファネッサ。よろしくね。二度目だけど。
『はぁ……?』
何を言っているんだ。俺がお前に会ったのは始めてなんだがな。
――今、僕は君の夢にお邪魔しています。
なんだ。これは夢か。ならいい。それなりに付き合ってやろう
――じゃあ付き合ってもらおうかな。
『で、用件はなんだ?』
――まぁ、別に無いけどね。
『おい』
なんなんだコイツは。まったく奇妙奇天烈な夢だよホント。
――そうだね。でも、君はきっと直ぐ慣れるよ。嫌でもね。いずれ君は君でなくなる。それまでの辛抱だ。こんな事を気にしてなどいられなくなるからさ。
『どういう意味だ』
――もう少しすれば会えるって事さ。
この言葉を最後に俺の意識は再び闇に包まれた。




