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刹那の破片  作者: 緑青・薄浅黄
第二章 : ベニラン

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『 サイラスのその後 』

* セツナ視点

* おまけ程度の同日更新です。

* サイラスのその後 *

* セツナ視点 *



「師匠、全部この箱の中に入れてもいいの?」


「うん、いいよ」


「どうして魔法で送るの?」


「色々と便利だから」


「ふーん」


よし、これで全ての準備が整った。

国王様には、迷惑をかけてしまうけど。


有事の時は、国王様の一言で魔法が解けるようにもしてある。

その事は、サイラスには黙っていて欲しいという事も手紙に書いた。


後は……忘れている事はないだろうか?


王妃様に読んで貰う手紙の通り

箱から荷物を取りだせるように、魔法もかけた……。

これで大丈夫なはずだ。


後は、楽しい事が好きな王妃様なら協力してくれるだろう。

僕は、魔法で鳥をつくり荷物を送るための魔道具を王妃様の元へと飛ばす。


後日僕の計画は、うまくいったようだけど……。


僕が女性の耳を塞げと、手紙に書いていたのに

将軍が、王様に私の耳を塞ぐように言わなかったとか

話を半分聞いたあとで、王様が楽しそうに笑って耳を塞ごうかと言ったとか。


王妃様の、愚痴と事後報告がひしめき合った手紙が届いたのだった。


僕は手紙の途中から、サイラスに読ませてくださいと書いたのに

王妃様は、将軍に渡したようだ。後日理由を聞くと、その文章は全く目に入らなかった

と書かれてあった。王様が手紙を奪おうとしたから、奪われないように必死だったと。

王様の声で、あの手紙を読まれたくなかったのよ!! と王妃様が手紙に

力強く書いている。将軍はどうでもいいらしい。


女性が読むのも、聞くのも耐え難い内容だと思ったから

耳を塞いで、サイラスに読ませてくださいと書いたのに……。


サイラスはあの後、国王様に静かにお説教されたらしく

暫く放心状態で使いもにならなかったとか、エリーさんやソフィアさんに

白い目で見られていたとか……。


将軍から精神を鍛えなおしてやるといわれて

人が居なくなってから、ボロボロになるまで鍛えられているらしい。


後は、ここ最近のサイラスの声は、ガラガラだとか。

ドーナツが美味しかったから、今度ギルドに依頼してもいいかとか

そんな事が書かれてあった。


僕とアルトの贈り物は、みんなに喜んでもらえたようで

ジョルジュさんが、桃色のタルマを抱えていた様子は

僕達にも見せたかったと、楽しそうに手紙に書かれている。


僕は心の中で、ジョルジュさんにそっと謝った。


ジョルジュさんやソフィアさん、ノリスさんとエリーさんからも

お礼の手紙を貰っていて、国王様からの手紙も届いた。


国王様からの手紙は、サイラスが悪いのだから

謝罪の必要ないと、アルトが傷つくような事がなくてよかったと

書かれていた。最後に、月に1度は生存報告をして欲しいと

言う言葉で締めくくられていたのだった。


「師匠、サイラスさんに本の事を謝ったら

 俺が渡した本の事は忘れてくれって返事が来て

 本当に、申し訳なかった、て書かれてあるんだけど

 サイラスさんは、どうして謝ってるんだろう?」


「……」


アルトがサイラスからの手紙を、首を傾げながら読んでいる。


「師匠、どう思う?」


「まぁ、アルトが読めない本を渡して悪かったって

 言ってるんじゃないのかな」


「そうかー。俺、師匠から本を貰ったから

 気にしてないんだけどな」


「なら、もう気にしてないってお返事してあげればいいよ」


「そうする」


相変わらず、素直なアルトに少し不安になるけれど

ちゃっかりしているところもあるから、杞憂かなとも思ったのだった。





読んで頂きありがとうございました。

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2024年3月5日にドラゴンノベルス様より
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