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妖精のイタズラで聞こえた仏頂面婚約者の本音が、甘くてうるさすぎます…!!【2000文字】

作者: 有梨束
掲載日:2026/03/03

『アイビー!俺のアイビー!』


本当に私の知っているエヴァン殿下なんだろうか…。



国に妖精が多いほど豊かになる。

数年に1人生まれてくる妖精の声が聞こえる者は、妖精の声に導かれながら、国のために仕事をする。


私もその1人だけれど、生まれはたまたま貴族の娘だった。

だから私が授かった仕事は、第二王子の妃になることだった。


今は、第二王子エヴァン様の婚約者という立場だ。


「…では、また次回のお茶会で」

エヴァン殿下は一瞥もなく部屋を出て行った。

ふうう、と緊張が解けていく。


「…この婚約、本当に進めるのかしら」

私の独り言を、王城の使用人たちは咎めなかった。

どちらかというと、曖昧に笑ったり、無理矢理笑みを貼り付けている。


それもそうだ、『第二王子はこの結婚を認めていない』という噂が有力になるほど、殿下は私に興味がない。

それどころか、いっつも仏頂面で私のことを睨んでくる。


『アイビー。エヴァンと結婚、イヤ?』

妖精たちがふわふわと集まってきて、私を取り囲む。

「嫌かどうかわからないぐらい、殿下のことがよくわからないわね」

私の返事に、妖精たちが何かを相談し始める。


あら、イタズラを企んでないといいけど。


『じゃあ、聞こえるようにしてあげるー!』

妖精みんながわーいと手をあげると、ピカっと光った。


『ちょっとだけだよー』

そう言ってくすくす笑いながら、妖精たちはどこかに行ってしまった。

妖精が気まぐれなのは、いつものことだ。

周りが驚いていないから、また見た目を大改造されたというわけではなさそう。


聞こえるって、何が…、と思った時、脳内に男の人の声が響いた。


『アイビーが可愛すぎる…!今日も目が合わせられなかった!』


「えっ」


この低い声、もしかしなくてもエヴァン殿下では…!?


『アイビーが話しかけてくれるのに、俺はどうして碌に返事ができないんだ!昨日だってアイビーの肖像画を見て練習したのに!ああ、あの桃色の瞳で見つめられるとダメなんだ…!すぐにでも襲いそうになるっ!』


…ちょっとまって。


『今日もあの唇を奪わなかったことを褒めたい!だが、そのせいでアイビーと何にも進展しないっ!あああ、アイビーに嫌われていたらどうしよう…』


この饒舌な人は、誰だ。


『今日もアイビーは素晴らしかった!所作、話の振り方、俺への気遣い、完璧な淑女だ!それでいて、甘いものに喜んでいるところは隠せていない!かわいいかわいいかわいいっ!』


…す、すごい見られてる。


『アイビー、早く俺だけのものになってくれ…。組み敷きたい、触れたい、早く、繋がりたい、アイビー…!』


「うわあああ!!!!」

聞くに耐えなくて、立ち上がって叫んでいた。


「妖精さん!もういい!もう大丈夫だわ!」

近くに妖精はいないかと探すが、こういう時に限っていない。

きっとどこかで私を見ながら、楽しそうに笑っていることだろう。

妖精はイタズラ好きだから。


…殿下には、結婚の意思があった。

それは、まあ、この中で唯一わかってよかったことだ。


そっか、殿下は私と結婚する気があったのか。


思いの外、ホッとしている自分にドキマギする。

あんなに恥ずかしいことを言われていたのに、私、嬉しいの…?

え、それでいいの…?

自分のことなのに、うまく整理できない。


『…部屋に忘れ物をした。戻ったら、アイビーはまだいるだろうか』


ええっ、今!?


『今日は2回もアイビーの顔が見られる、嬉しいな…』


心の準備がっ…!と頭を抱えている間に、エヴァン殿下が部屋に入ってきた。


「すまない、忘れ物をした」

「…は、はい」

やっぱりこちらを見ようとしない殿下は、忘れ物を手に取るとすぐに踵を返した。


『…今すぐアイビーと抱き合えたら、どんなに幸せだろうか』


「殿下はっ!」

殿下の心の声を掻き消すように、背中に向かって大声で呼び止めた。


「私と、結婚したいですか…!?」


殿下の口から、聞きたかった。


「…アイビー以外と結婚なんて考えられない」

『至近距離、キスしたい』


…あああっ。


『ちゅー!ちゅー!ちゅー!』

「なっ」

『ちゅーしたら祝福をあげちゃう〜!』

今になってようやく出てきた妖精たちは、きゃっきゃとはしゃいでいる。


キスしてまで、祝福なんていらないわよ〜!

…あ、だめだ、国として要るわ。


キスしたら、殿下はどんな反応するんだろう…。


「殿下、失礼します」

私は背伸びをして、殿下の唇に触れた。


エヴァン殿下の目が見開かれたが、すぐに私を抱き抱えた。


「今すぐ子作りしよう!」

「えっ」

「もう待てない!」

『子どもの名前はミゲルとエリスで決まりだ!』

「子どもは、結婚してからですってえっ!」


『国の恋人たちがすぐに結ばれちゃうおまじない、そーれっ!』


それって…!?


「あの、殿下…!婚姻状を申請しろと言う者が王城に溢れかえっているのですが…!」

「それに乗じて、俺たちも結婚だ!」

『好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ、アイビーいい匂いだ』


「妖精さん、やりすぎよ〜!」


もう、殿下の声もいいから〜!!




お読みくださりありがとうございました! 毎日投稿62日目。

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