登場人物紹介
登場人物紹介です。あとがきにオマケあります。
☆ビリジアン王国側
(成人は15歳)
○ベル(イザベラ・カーマイン)
このお話の主人公
19~20歳
赤い髪、金色の瞳
一般女性よりも少し背が高い
前世の記憶がある、元悪役令嬢
セルリアン王国の王太子に婚約破棄された過去がある
パン屋【麦の家】の女主人
自分が悪役令嬢だと分かっているため悪い方へ考えやすい
モテると分かっていても好意に疎い
○リック(マーベリック・シャトリューズ)
このお話のヒーロー
25~26歳
金色の髪、緑色の瞳
逞しい体と幼い恋心を持つ男性
ビリジアン王国第三騎士団長
相手の事を考えすぎて告白できないでいる
○マティルダ・ウィスタリア
ベルの大叔母
50歳ぐらい
ウィスタリア前公爵夫人、セルリアン王国元王女
赤い髪、金色の瞳、ベルとよく似ている
ベルを可愛がっているため少し過保護
○イーサン・ジグナル
リックの親友で幼馴染
リックと同い年
第三騎士団副団長
深い赤髪、茶色の瞳
お調子者に見えるが色々と隠し持っている
○ロナルド・ウィスタリア
30歳ぐらい
マティルダの息子
微笑みの冷徹公爵
悪魔公爵
白銀の髪、金の瞳
身内に優しく敵には容赦ない
○ミア
17歳~18歳
麦の家の従業員
食堂の娘
茶色の髪、茶色の瞳
実家で軽んじられていた
ベルに憧れている
密かにリックとベルの恋を応援している
○ルカ
16歳~17歳
麦の家の従業員
元小物職人
こげ茶色の髪、落ち着いた黄色の瞳
弟を助けてくれたベルに感謝している
密かにリックとベルの恋を応援している
○レオ
10歳
麦の家に住む男の子
ルカの弟
体が弱かった
こげ茶色の髪、落ち着いた黄色の瞳
麦の家のアイドル
成長が遅く言動も幼くたまに危険
○エクル男爵
40ぐらい
麦の家に迷惑をかけた下男の主人
鉱山をあてて急に裕福になった
娘と妻を愛している
○アリア・エクル
13歳
エクル男爵家の一人娘
ベルに憧れている
田舎娘なご令嬢
○エナ
16歳
アリアの侍女
田舎娘な侍女
○ベラドナ
30歳前後
アリアの元家庭教師
エクル男爵の恋人
○マリア
エクル男爵妻
アリアの母
亡くなっている
○ダニエル・ビスク・オーカー
30歳ぐらい
ビスク商会会長
大商会にまで店を押し上げてくれたベルに感謝している
腹黒い
○アーロン・シャトリューズ
50代後半
リック父
シャトリューズ侯爵
婚約破棄された息子を心配している
少し脳筋
○ビクトリア・シャトリューズ
50代前半
リック母
婚約破棄された息子を心配している
元女性騎士
○カーソン・シャトリューズ
30代前半
リック兄
長兄
婚約破棄された弟を心配している
少し脳筋
○エリアス・シャトリューズ
20代後半
リック兄
次兄
伯爵家に養子に入っている
婚約破棄された弟を心配している
少し脳筋
○チャーリー・ウィスタリア
23歳
ウィスタリア公爵家次男
白銀の髪、緑の瞳
父似ののんびりとした性格
○自称エクル男爵家執事
20歳前後
ベルに気があった
本当は下男
○オビ、カイ
リックに付き添った新人騎士
麦の家のパンにハマる
○ベネット、エレン
王城の職員
ベルのパンやお菓子にハマる
○ヴァンス、オスカー、ダミアン
冒険者、商人、見習いを装い麦の家を見張った
シャトリューズ侯爵家の騎士
○サム
40代
エクル男爵家の料理人
密かに麦の家に通っている
○ウォルター
60代
ウィスタリア公爵家執事
元諜報員
○アレックス・ビリジアン
30歳ぐらい
ビリジアン王国第二王子
ベルが断罪された夜会に出席していた
隠れキャラの一人
ツンデレイケメン
○レア
ミアの姉
17歳~18歳
自分がミアよりも上でないと嫌な性格
婚約者あり
☆セルリアン王国側
(成人は18歳)
○クリスタルディ・セルリアン
ベルと同い年
イザベラの元婚約者
18歳の成人の儀でイザベラを婚約破棄した
セルリアン王国の王太子
金の髪、青い瞳
自分の中の愚かな部分を認められないでいる
○ローマン・カーマイン
ベルの一歳下
イザベラの弟
幼い頃は体が弱かった
姉の愚行を信じている
○ジュール・マホガニ
ベルと同い年
イザベラの幼馴染
宰相子息
自分の優秀さを鼻にかけている
○フレッド・カルーア
ベルと同い年
イザベラの幼馴染
魔法研究団長子息
自分こそが一番価値ある魔法使いだと思っている
○アーノルド・チュベロ
ベルと同い年
イザベラの幼馴染
騎士団長子息
自分の正義こそ全てだと思っている
○聖沢ヒカリ
ベルたちより一歳年上
聖女
突然知らない国に来て驚いたがクリスタルディと恋仲になって幸せを満喫中
口うるさいイザベラが苦手
ゲームのことは知らない
○ルーベン・カーマイン
40代後半
イザベラの父
子供たちに深い愛情はない
家を守ることが全て
○オリビア・カーマイン
40代半ば
イザベラの母
跡取りである息子は愛している
自分に似ていないイザベラの事はどうでもいい
○イルクタルディ・セルリアン
マティルダの二つ上であり甥である
セルリアン王国国王
事なかれ主義
息子がイザベラと婚約破棄したことはしょうがないと思っている
ただし他方から責められたことで息子を責めるようになる
【ウィスタリア公爵家諜報員の戦い】
「いらっしゃいませー」
麦の家に一人の男がやってきた。
茶色い髪に茶色の瞳、極々平凡で、そこらへんにいそうな平民男。
初めて(・・・)やってきた麦の家で、今月のパンを購入するため会計カウンターへと並んだ。
「これをお願いします」
そっと取り盆を置き、うつむき加減で会計を願う。
「かしこまりました」
その男の護衛対象がにっこり笑う。
その笑顔が何よりも怖いが、男は平常心を装った。
「お客様一か月ぶりですね」
「えっ?」
「前回は冒険者のお仕事で、今日は商人のお仕事ですか?両立は大変ですね。頑張ってくださいね」
ビリジアン王国では商人兼冒険者、兵士兼冒険者など仕事を掛け持ちする平民は多くいる。
なのでベルはその男を見てダブルワークなのだなとそう思っていた。
「あ、髪色も変えられたのですね、茶色もお似合いですよ。前回の紫色も素敵でしたけど、お客様には茶色のほうがお似合いかもしれないですね」
「あ、ありがとうございます……」
前世の記憶があるベルは髪色を変えることに何の嫌悪感もない。
ただそれが世間一般的に行われている行為でないことは知らないため、変装を褒めてしまった。
気づかれることは彼らにとっては失敗なのに。
「また来て下さいね。お待ちしております」
悪意なく笑顔で見送られ、引き攣った笑顔でそれに返す。
これでまた落第だ。
護衛対象に気づかれるなど諜報員として失格だからだ。
「くそー!イザベラ様にまた気づかれた!これで四回目の失敗だ。もう麦の家の護衛は回ってこないかもしれない!今日でこのパンも食べ収めだ!悔しすぎる!」
「そう肩を落とすなジョー、この前あのトニーさんがお久しぶりですねってイザベラ様に話しかけられたらしいぞ、あの七変化の男と有名なトニーさんがだぞ」
「嘘だろおい!あのトニーさんがかっ?!」
「ああ、あのトニーさんがだ……」
トニーとはウィスタリア家の執事ウォルターが自分の後継者と認めるほどの諜報員。
そんな彼が正体を暴かれたことには驚くしかない。
諜報員である自分たちだって気付かないほどの変装。
トニーはそのレベルなのだ。
「イザベラ様は、服装や髪色を変えただけではごまかされてくれない。声色を変えたやつがこの前風邪ですか?と聞かれてお大事にって飴を渡されたそうだ」
「そ、そんな……じゃあ俺なんて一生合格できないんじゃないか……」
がっくりと肩を落とす諜報員ジョー。
彼の戦いはまだしばらく続くようだ。是非頑張ってほしいものである。
ビリジアン王国の片隅に赤毛の女主人が営むパン屋【麦の家】はある。
そこには美しく聡明な女主人が住んでおり、そしてそんな彼女の目を欺くため、ウィスタリア公爵家の諜報員たちが通う場所にもなっていた。
「またお越しくださいませー」
ベルのその明るい声は、彼らにとっては死刑宣告に近いものだった。