その目で哀れむな
「俺は成仏できない幽霊ってやつだよ。
ずっと、自分が死んだこの森のあたりをさまよっている。
普通の人間は俺のことなんて見えない。
けれど、たまにいるんだ。
お前みたいな霊感の強い人間が。
そういったやつは、俺の姿をみるとかならず哀れんでくる。
やめろ。
そんな目で見てくるな。
俺が死ぬ前に、見ているだけで助けてくれなかった連中と同じ目を向けるな。
大勢にボコられて、瀕死の怪我を負ってもお前らは俺を助けてくれなかったよな。
だから呪い殺したくなるんだ。
関係ない人間は呪わないようにしてるけど、そんな目を向けられると、思わずそのことを忘れちまう。
ほら、だからその目をやめろって言ってるだろ。
口を閉じたとたん、体のあちこちがきしんだ音をたてた。
かわいそうな幽霊を見ていたその人間は、困惑した顔で言った。
「そんなことをいわれても、哀れんでしまいますよ。あなた、死んだときの姿のままですし」
ボロボロすぎるその体を見て、そう思わないわけがないと。