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第五話 隕石接近中

誤字報告受けました。教えてくださった方ありがとうございます。

「え、何あれ…近づいてきてない?」


最初に声を出したのは姉貴だった。目の前に巨大な隕石のような物体が近づいてきている。俺らの家と同じかそれ以上のサイズがある。

あんな物に当たったら骨が折れるなんてレベルじゃない。しかも割とゆっくりなせいで当たったら潰されるだろう。とりあえず原因解明のため元凶と思わしき人を探す。


「多分トウヤ…だよね?何かやったの?」

「…え、いや…ゲームで岩を降らせるってのを見たので…できるかなと思って手を上に上げたら…」

「嫌だ嫌だ嫌だ、死にたくない…助けてアキナ…」


すり寄ってくる邪魔な兄貴の頬を無理やり押しやりながら、同時によくこんな状況で冷静に喋れてるなと姉と弟に感心する。普通は今の兄貴みたいになるだろうによく喋れるな。


「アレ砕いたりできない?」

「いや、やってみようと思ったんですけど……」

「じゃあなんかバリアみたいなの出せないの?」

「僕じゃ無理でした…火と水は出せましたが…それ以外はからっきしで…」

「アキナあれ壊して!」

「流石に無理ゲーだろ、一介のヒューマンにそんな事できると思うなよ」

「どうにかならないの!?」


流石に焦りが積もってきたのか姉貴と兄貴が騒ぎ出す。

俺としては全速力で岩の下から逃げるべきだと思うのだが言っても一切響かない。

俺だけでも岩の範囲外に行こうかと思ったのだが兄が邪魔で走れない。ずっと足を引っ張ってくる。……物理的にも。

そんなこんなしているうちに岩が至近距離に来てしまった。

人って死を二回も体験すれば三回目も意外と冷静になるもんなんだなと感じた。


「取り敢えず一応座るか…」

「あー…折角助かったのに死ぬんですか…」

「来世もあるでしょきっと」

「嫌だ、死にたくない!!」


他の兄弟はこんなにも達観しているというのに兄だけは駄々こねている。

いやまぁこっちが普通なのかもしれないが、それにしても大人気なさすぎる。


「痛いのは、痛いのは絶対嫌だ!!」


岩があと10cmほどに近づいてきた時、兄貴が一際大きな声で叫ぶ。

すると何故か兄貴の体が発光し始め、なんというか…神々しくなった。

先程の情けなさも何処かに行き、今は「格好いい」という言葉がよく似合う風格を醸し出している。

その状態のまま兄貴が手を叩けば何故か半透明のバリアのようなものが出現する。

岩はバリアに当たったことにより、バランスを崩しちょうど家のある方角へと傾いた。

そして凄まじい音を立てながら家に衝突する。家は跡形もなく岩の下に埋まってしまった。

しかし家が壊れたことよりも急に出現し、あのサイズの岩にも耐えたバリアのほうが気になっていた。

原因となりそうな兄貴を見れば、さっきの神々しさは何処へやら、ぽかんと上の空である。


「え、今の何なの?何かあった?」

「…兄さんが叫んだタイミングでしたよね」

「ってことは順当に考えると…」

「まぁ兄貴だろうな」

「おーいナツキ?ナツキー!…ナツキーー!!!」

「ハッ…此処は?僕は死んだの?」


「ここは誰、僕は何処」状態になっている兄貴に現状を説明し思い出させる。

すると、兄貴はようやく思い出したのか先程あったことを説明してくれる。


「なんか、痛いのは嫌だって思ったら急に体からエネルギーみたいなのが発生して…急に体温上がって気絶してた」


説明を聞く限り矢張り急に冷静さを取り戻した、とかではなく普段の情けない兄貴のままだったらしい。

情けない姿に戻ってしまったと考えれば少し残念な気もするが、助けてもらったのでこれ以上は兄貴に求めてはいけないだろう。


「あのね、情けない情けないって本人の前で言わないでくれない?」

「…口に出てたか?」

「結構はっきりした声で言ってたよ今」

「…え?アキナさっき何も言ってなかったけど?トウヤはなにか聞こえた?」

「いえ、何も聞こえませんでした」

「え?」


どうやら兄が心の声が聞こえるらしいという事実が判明したのはそれから数分後のことだった。

最後まで読んでいただきありがとうございます

もし少しでも面白い、続きが読みたい、思っていただけたら、ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。評価ポイントをいただけるととても喜びます。

これからもよろしくお願いいたします。

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