第二話 過去
二人組の少年が歩いている。ノイズのようなものが全体的にかかっており、顔はうまく見えない。
彼らはきっと友人なのだろうが、片方一方的にもう片方に話しかけている。…というかもう片方が無視していると言ったほうが近そうだ。
兎に角、無視している方は友人をおいて先へ進んでいく。
少しずつ顔や風景が鮮明になっていく。どうやら彼らは制服のようなものを着ている。夕暮れが見えることからたぶん帰り道だろう。どうやら彼らは高校生らしい。
更に鮮明になって、全てのノイズが取り除かれた。…あの無視している方の少年は、俺とそっくりな顔をしている。スマホをいじりながら適当に返事を返している。それを気にせず、やはり一方的に茶髪の少年は俺にそっくりな人に話しかけている。
ちょっと待て。……スマホってなんだ?というかなんで俺は彼らが高校生ということを知ってるんだ?
頭の中がこんがらがってくる。少し落ち着き情報を整理する。
人は夢で見るのは実際に見たことのある光景のみらしい。となるとつまり俺はあの光景を一度見たことがあるということだ。
可能性としては俺が第三者としてこの光景を見ていたか、はたまたそっくりな顔の少年だったか、それ以外か……どれにせよ、俺にまだ記憶が戻っていないから何も言えないが。
きっと印象的な事があれば思いだすだろう。
俺がそう考えているうちにもどんどん彼らは進んでいく。
そして曲がり角を曲がった瞬間。そっくり顔の少年は黒いパーカーにフードを被った如何にも怪しい人間に包丁で刺されていた。脇腹辺りだろうか。
思考が追い付いていないのか、出血している自身の体を見つめながら、呆然としている。
後ろにいた茶髪の少年は凄い勢いで叫びを上げ、そして彼も背中を刺されている。
そこまで見て、ようやく思い出した。俺の名前は佐伯秋那。高校二年、四人兄弟の三人目。様々な情報を思い出す。そして最後に重要な事実。…俺は一度死んでいる。
顔が似ているとは思ったが、どうやら同一人物だったらしい。刺された後のことも思い出してきた。
確か死んだと思ったら他の兄弟も同じく死んでいて、そこで合流したあと変な真っ白の部屋に通され、神様を名乗る胡散臭い輩に転生をしてくれと頼まれ。
結局転生したのだが、また死んだのか俺は。
そういえば彼奴は大丈夫だったのだろうか。まぁ俺には関係ないことだ。
ただ死んだにしては耳元がうるさい。
「起きて…起きて…」と安物のホラーゲームでありそうな声とともに顔に痛みが走る。周りを見渡せば先程いたはずの森ではなく家の中。
…そして痛みの正体は姉、ハルの強烈な平手打ちだということに気付いたのはその十数秒後の話だった。
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