67話 Living Legend"s"
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「※※※様!」
「黙れ、今いいところなんだ」
⋯⋯黄金の宮殿。
地面、天井、壁、何処を見ても黄金で、色んな意味で疲れてしまいそうになるこの宮殿で、一人の王座に座る男は興奮していた。
男の視線の先は⋯⋯デカイスクリーンに映し出されているライブ配信。
「何歳になっても楽しませてくれる⋯⋯!神門創一!」
腕掛けに置いてある腕に男が拳を握ると、岩石を握り潰したように王座についている腕掛けがバキッ!と破壊され、男は狂ったようにそのライブ配信に釘付けだった。
「おい!いいぞ!なんで使わない!?アイツ、覚えてないのか?」
なんでだ⋯⋯。
俺のスキルや※※※のスキルとかあっただろう。
さっきの※※※※の話だと、記憶がないとかなんとか言ってたな。
「にしても」
パラダ※※の奴、創一が居なくなってから早""1000""年。
狂ったようにやつの背中を追い掛けやがって。
もう彼女だろあの行為は。
そうして黄金の王座に座る男は立ち上がる。
男の姿は2m後半くらいはあるだろう。
髪は勿論黄金でセミロングほどの長髪。
瞳も、付けているアクセサリーも黄金。
しかし男が来ている服は黒いマントのようなものを羽織り、そのスラリとした体格は女性が見惚れてしまうほどだ。
顔は切れ長の細めの瞳に、絶世の美男子と称される名に相応しいモノだ。
立ち上がった男はマントを靡かせ、王座を後にし、興奮が冷めぬ様子で黄金色のナニかを放出してその場から瞬間移動したように消え去った。
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「変わらないわね。創一」
妖艶な口調でライブ配信画面を覗く一人の女性が映る。彼女の髪は夜空に輝く紫のように奥深く、神秘的な色合いがある。
瞳は少しキツイ印象を持つが、それを振り払うくらいの美人である。
⋯⋯美人とは少し安いか。
彼女を一言で表すならば、夢のような美である。
アメジストの美しい瞳。
艷やかな髪質を揺らす。
しかし彼女は天使ではない。
天使が光であるなら、彼女は闇である。
闇に包まれていようとも闇の中で輝く美の化身である。
そんな全てを凌駕し得る女性はたった一人の男を眺める。
「創一、貴方が居なくなってちょうど1000年。もう暇で暇で仕方ないわ?」
ライブ配信を見る彼女の瞳は優しく、キツイ印象を抱くはずが⋯⋯恋する乙女のように僅かに上擦った声で呟いていた。
「※※※※※様」
「すぐに行く」
すると彼女は優雅に立ち上がる。
闇の中から、彼女の背中から漆黒の翼が勢い良く広がる。その光景は時間が止まったように美しく、闇夜に映える深い黒さを持っていた。
あれば光を吸い込まれそうなその翼は、彼女の全身の力を込めて広げられ、空気が避ける音を立てて闇夜に裂け目を切り開く。
彼女の足は地面から浮き上がり、強力な力で空高く舞い上がる。
星々がその翼の下で輝き、月明かりがその影を投げかけた。彼女は夜空の帳に身を包み、自由だというように妖艶な笑みを浮かべながら、星座を超え、銀河を超え、彼女は闇夜に消えて行った。
それから数百人もライブ配信に熱中する姿が映る。
⋯⋯ある者は全身甲冑姿の武人。
⋯⋯ある者は大賢者のような老人。
本当に眺める者は様々な姿であった。
***
[転移前スキルが活性化します]
この表示が出た時、渚は心底焦っていた。
レベルアップの状況だけでも大変だったのに、"転移前スキル"にあった量を想像しただけで苦労が目に見えているからだ。
正確には転移前スキルではない。
"生前"スキルである。
これはこの男だけでに用意されたカテゴリであり、通常の鑑定では絶対に見る事のできない欄である。
⋯⋯例えそれが看破のスキルや龍の眼であろうとも。
[先に生前称号が活性化されます]
男の拳に、魔力ではないナニカが乗った。
男はソレが何かは分からなかったが、そのまま前へ、前へ、進んでいく。
[春の女王の加護],[夏の歌姫の加護],[秋の竜王の加護],[冬の女皇帝の加護],[第五の太陽の加護][聖剣の加護][魔法の加護][森の加護][星々の加護][神秘の加護][守護者の加護][疾風の加護][冷徹の加護][氷の加護][火炎の加護][雷の加護][精霊の加護][太陽の加護][月の加護][神話の加護][時空の加護][永遠の加護][神聖の加護][風の加護][地の加護][鉄の加護][水の加護][死者の加護][戦士の加護][知者の加護][魔術の加護][夢幻の加護][歴史の加護][祖先の加護][幻想の加護][月光の加護][魔獣の加護][対魔法の加護][神秘術の加護][冥界の加護][風神の加護][大地の加護][幻影の加護][六波宇宙船の加護][滝の加護][絶望の加護][幽霊の加護][雷鳥の加護][海神の加護][闘志の加護][暗黒の加護][魔道の加護][秘密の加護][聖杯の加護][黄金の加護][狡猾の加護][蒼天の加護][冥夜の加護][風使いの加護][仙人の加護][彗星の加護][守護の加護][黎明の加護][氷狼の加護][闘士の加護][霊獣の加護][冥界の加護][幸運の加護][夜明けの加護][神託の加護][魔力の加護][星座の加護][闘士の加護][時の加護][星屑の加護][永劫の加護][魔竜の加護][奇跡の加護][秘術の加護][魔血の加護][永遠の加護][遺産の加護][楽園の加護][鉄壁の加護][幽玄の加護][灼熱の加護][闇の加護][英雄の加護][幻の加護][聖なる加護][冷酷の加護][風雲の加護][無限の龍神の加護][天使の加護]………。
[一部称号を開示]
[以上──合計"六万千二"個の生前称号を反映します]
肉眼の限界を超えた男の嵐を纏う拳が空間を切り裂いて、先頭にいた冒険者の一人の画面に直撃した。
その時、いつもならば⋯⋯冒険者が吹き飛び、その先にいる他の冒険者を巻き込んでいくはずだった。
いつも男は無意識に加減している。
何故ならステータス社会になる以前、自身の力は人間を超えている事を自覚しており、ずっと力をセーブする動きを見せていたからだ。
⋯⋯その理由はまだ明かすことはないが。
蹴りも、拳も、突進でも⋯⋯男が使う技はただの格闘技でも人間ならばもしかしたら一撃で消し去ってしまう力さえ有している。
だが──。
ステータスを切った男に大量の生前スキルが反映された。
男の拳には様々な謎の力がこもり、男のセーブ量以上の力が冒険者に直撃した。 直撃した一人の冒険者の皮膚は波打つ事すらなく、動く事もなかった。
だが、代わりにその場に強烈な破裂音が響いた。
パァンッッッ──!⋯⋯と。
「⋯⋯⋯⋯へ?」
直撃した周りにいた別の男たちが素っ頓狂な声を上げた。 こんな場所で破裂音が聞こえる理由が無いからだ。
一人の男は自身に付着したモノを見つめた。
あるのは誰かの血飛沫。
それと──臓器。
「うわぁァァァァァ!!!!」
腰が抜けてその場に尻餅をつき、手に持っていた得体の知れない⋯⋯いや、臓器を思わず前に投げてしまった。
「⋯⋯⋯⋯」
臓器が数回の回転を経て男の前に転がる。
男の纏う紅いオーラの中に入ると、一瞬で紅い蒸気を上げて焼け焦げる音と共に灰一つ残らず空気のと共に消えていく。
数秒の間静まる。
男から舞い上がる紅いオーラが地面を焼き付ける音飲みがこの静寂を支配した。
しばらくすると、男は掠れた低い声を発した。
「あぁ、肉片が残ったか」
男は転がっている一人の肉片を触ろうと試みたが、すぐ焼け焦げてしまう。
腰を落としかけたが、男が発している途中で消えてしまい、無言で立ち直した。
その現実を前に、息を呑むあらゆる表情をみせている冒険者たちは、何度目かわからない恐怖と絶望が広がる。
数秒の沈黙。
次の瞬間──突如として絶叫が上がった。
自分もああなるかもしれない。
『嫌だ⋯⋯嫌だぁ!!!』
一瞬で焼け焦げてしまうかもしれない。
『誰か助けて!!!』
⋯⋯この場は完全に混沌と化す。
一人の女性冒険者は両手を顔に押し当てて、立ち上がれずに叫びながら後ずさりしている。
そのすぐ近くにいた一人の若い冒険者はギュッと目を閉じて、どこかへと必死に恐怖に打ち勝とうとするも足がすくんでいる。
またある者はふくらはぎに力が入らず、その場に崩れ落ちてしまう。
『⋯⋯アァ』
彼の目は広がりきったままで、身体が痙攣しており、完全に男への恐怖で身体が支配されていた。
男が目の前にやってくる。
⋯⋯すると若者の頭を鷲掴み。
パァンッ。
必死に腰が抜けながらも後ずさりしていた女性魔法使いの絶叫が更に加速する。
捕まった若者の首が破裂し、胴体がぱたんと地面に倒れ、男が触れた瞬間──焼け焦げ、男は興味が無さそうにそのままこちらへとゆっくり迫ってくるからだ。
瞳には枯れるほど涙が浮かび、杖を投げ、腰に携帯しているポーションを投げ、食料を投げる。
ガンッ──。
⋯⋯無視。
男の瞳には慈悲などなく、女性の頭を地面に叩きつける。
ガンッ──。
更に一回。
女性は泣き叫ぶ。
人生で最初で最後の大絶叫。
汚い鳴き声がこの場に響き渡り、混沌とした中⋯⋯男は止めない。
髪をキツく掴み、男は容赦無く地面に額を打ち付けて破裂させた。
老人も関係ない。
年齢、性別は関係ない。
「まっ、待てっ!!」
グレイが必死に叫ぶものの、その声をは虚しく空中で消える。誰一人として耳を傾ける者いなかった。
冒険者たちは男の畏怖すべき力を目の当たりにして、指示など意味をなさなくなっていた。
彼らは単に恐れていた。
⋯⋯その強大な男の力に。
⋯⋯異様な存在感に。
一目散に逃走する冒険者たち。
もう彼らはただ逃げ出すことしか頭になかった。
そして、その背後から男がゆっくりと歩み寄る。男の目は冷徹でありながら猛獣のような獰猛さを湛えていた。
我先に逃げる冒険者たちへと手を伸ばし、一挙にその力を誇示するように解放する。
瞬く間に彼らは跡形もなく消え去り、その生命が一人も生き残ることも無い程早く、強烈な破裂音で満たした。
離れていたところから見ていたグレイから見れば、まるでそれは波のように彼らが血飛沫を上げて消え去っていく。
**
グレイはその光景に呆然としていた。完全に困惑した顔で立ち尽くし、どうすればいいのか全くわからない状態へと陥る。
彼は周囲に待機している幹部に指示を出す。
しかし彼ら幹部また、その非現実的なまでの状況に動揺し、彼らは立ち尽くしながら口を噤んでいた。
「行けっ!!」
グレイは強引に説得して幹部たちを動かした。
彼らはS級に近い近接職業。
グレイは一抹の願いを込めてあの迫る化物に向けて解き放つ。
「くっ⋯⋯」
幹部の一人が近付くと、思わず戸惑う。
そこには人は一人しかおらず、周りはまさに言葉通り血の海。
歩いてくるのは泣き叫びながら今リアルタイムで焼かれている女と男の2人。
男は二人の髪を掴んでグレイの方へと歩いていたのだ。
「ばっ⋯⋯けもの」
思わず見ていた一人の幹部が漏らしてしまった。
幹部たちの職業は武闘家やモンク、格闘士、格闘騎士だった。彼らは似たような職業だが、それぞれが違う能力を有している。
「いっ、行くぞっ!!!」
一人の幹部の掛け声で、一斉に数人がかりで進む。
拳を握る男は目の前のとんでもない覇気を放つ男に恐れを抱く。
'近くで見るととんでもない。一体どんな人生を歩めばこんな状態になるんだ'
「ハァァッ!!」
胸を張り悲痛な叫び声を上げる。
それが合図となって、一斉に幹部たちが男へと前へに進み出した。
男は冷静に迫る冒険者たちを見て掴んでいた二人をそれぞれの方向へと放り投げる。
男の表情は猛獣のような残忍な笑みを浮かべ、目の前の幹部たちを品定めしているかのよう。
「スーロン武術・太陽落とし!!」
同時に二人が空中で交差し、叫びながら男へと奥義を放つ。力強く、冷徹に、技が空を切り裂き、男に向かって進んでいく。
[生前スキルが一時的に活性化します]
[『金剛之体』『火眼』『金眼』『黄金天晴・錬成』が活性化します]
男は動じずに立っていた。正拳突きの体勢のように両拳を腰に置き、迫ってくる奥義をノーガードで受け止める。
⋯⋯とてつもない衝撃。
奥義が男の顔と腰に直撃した。
彼らは「もしかしたら」と、安堵の表情を見せ、次の瞬間、男の獰猛な笑みに固まった。
左の拳を握り、男は言葉を放つ。
「これがA級冒険者の実力か」
⋯⋯男は嗤う。
「いいな。日本にいる時よりも──何百倍もイイ!」
[火眼が道を詠みます]
[金眼が先を詠みます]
[『冷徹』『パラダイン式肉体術』『龍言』が活性化します]
その言葉と共に、男は荒々しい猛獣のような勢いで一人の幹部に向けて拳を全身で捻ってから振り下ろした。
それはもう⋯⋯嵐ではなく──龍の一撃そのモノ。直撃した幹部はそのまま地面に叩きつけられた。
男は更に歪んだ笑みを見せると、もう一言言葉を放つ。
「やはりいい職業だったのか、蹴りの基礎はあったようだ。良い飛び蹴りだった」
もう一人は本能的に理解していた。
ここで何をしても死ぬことも、逃げても捕まることも。
⋯⋯ならばこうするしかない。
「くそっ!!」
もう一人の幹部は恐怖を残しながらも決死の覚悟で再び男に向かって蹴りを放つ。しかし、それもまた男は避けることなく自らの顔面で受け止めた。
「うっ⋯⋯そだろ!」
男は幹部の一人に向かって再び残忍な笑みを浮かべた。そしてそのまま⋯⋯男は片手をスーツのポケットに突っ込み、もう片方の手を手刀の形に変えた。
すぐに一人は下がる。
しかし次の瞬間、男は猛烈な速度で前に飛び出し、綺麗な半円を描く手刀を放つ。
その威力は凄まじく、周囲の音さえ聞こえなくなるほどの圧力が空間を支配した。
時間が止まったような静寂の中で、幹部の一人はギュッと目を閉じて死を覚悟する。
異常な威力を持った手刀が直撃した。
土埃が消え去った後、男はまだ幹部が生きていることに驚き、思わず嗤った。
そこには、グレイを含めた全幹部残りの6人が全力で防御を張って一人の幹部の前に立ち塞がったからだ。
⋯⋯グレイ。
彼の職業は魔闘士。
魔闘士はかなりのレア職業で、ほとんどその職業に出会うことは生涯で2回ないと言われている。
魔闘士は魔力を使って身体を"際限なく強化する"事ができる職業。従って、彼は魔力を使って自分よりも強い者達を全てブチ壊すことのできる成り上がりにはピッタリの職業だ。
だがしかし、それが彼の全てではない。
実はもう一つ⋯⋯拳聖がある。
これが彼を最強に近い力を発揮させた一因である。
文字通り魔力がまだ発達していないときは拳聖を使って敵をなぎ倒して魔力強化する方法を得て、魔力が上がってくれば、魔闘士の力で強化した力で悉くをブチ倒してきた。
'今のガードでほぼ全ての魔力が切れちまった'
なんなんだよ!?このガキは!!
グレイはもう耐え切れず半狂乱になりながら男に向かって攻撃を仕掛けた。
「化物かよクソッタレがっ!!!」
グレイは激情に駆られて燃えるように顔を歪ませ、凄まじい叫び声を発しながら壁を抉るほどの力を持つフックを連続で交互に繰り出した。
「うっ!」
グレイの顔が焦りで歪む。
'コイツ⋯⋯全部避けやがる!'
男はグレイが放つ連続のフックに似た技を軽々と全て回避する。
グレイが使っている技は単なる技ではない。
拳聖や、その他の高位格闘系職業が使用するスキル──『スーロン武術』だ。
スーロン武術は武神と崇められるスーロン神が残したと言われる20からなる技の型を使用する拳法であり、闘法。
⋯⋯そんじょそこいらにあるモノとは訳が違う。
それに加えて、拳聖のステータス、魔闘士としての強化も加わるとてつもない威力と速度を誇る。
それを軽々と避ける事がどれだけイカれているかを理解するのは容易な事だろう。
「クソッ!!」
次は恐らく⋯⋯華麗な動きの中で繰り出されるローキックのような軌道。
しかし、男はその蹴りを受け止めた。両手にポケットを突っ込んだまま、片足を挙げて脛でその蹴りを受け止めたのだ。
受け止めた直後、遅れたように技の衝撃派が周囲の建物を揺らす。
「おいおいマジかよ!!」
「⋯⋯⋯⋯」
グレイはその後も更に攻撃を仕掛けた。
彼の動きはまさに天性のモノ。
動きは猛獣のように早く、そして狙撃手がトリガーを引いた弾丸のように正確。
だが、男はそれをいとも簡単に受け止め、どんな攻撃でも必ず受け止めていた。
「くっ⋯⋯!」
「⋯⋯⋯⋯」
グレイが攻撃しているはずなのに男の防御が硬すぎて遥か後方まで飛ばされ、膝をつく。
長いこと口を開かなかった男は、やっとの事言葉を発した。
「お前がリーダーだな?」
「あぁ、だからなん──」
男は問答無用でグレイの頭を掴み、地面に容赦無く叩きつけた。 まるで砂かと勘違いするくらいに地面に埋まり、また持ち上げては地面に叩きつけた。
「ぐぅ⋯⋯ッ、なんなんだよ!」
「四代クラン、ウォリアービースト、解体終了だ」
男は本能なのか、男の左目は黄金の瞳で、右目は幻想的なまでに銀河に赤を足したような美しい瞳をしている。
[金眼が対象者の意識を強制的に奪います]
「なっ⋯⋯ん」
グレイの視界が突如霧がかかったように霞み、直後すぐにその場で意識を失った。
[金剛之体は天覇之体に進化しました]
[金眼が進化を始めます⋯⋯しかし、不明確な力がそれを止めます]
[一時的な活性化が止まり、全て非活性化します]
男の眼は元のダークブラウンの瞳に戻り、男はまるで意識を取り戻すように数回の瞬きをした。
「⋯⋯あれ」
周りを見るガゼル。
なるほど、修羅を発動してしまったか。
イカンなぁ⋯⋯。まぁ、しかしこれだけの機会がなければ試せなかっただろうから有り難い。
何かとてつもない勘違いをみせるガゼルだが、掴んでいたグレイに目を向けた。
コイツが四代クランの長か。
使いどころが多くて助かる。
ガゼルはそのままグレイの髪をひっぱったまま、後方にいるゾルドの方へと踵を返していった。




