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不登校が久しぶりに登校したらクラス転移に巻き込まれました。  作者: ちょすニキ


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21/102

21話 森にて──少年に流れている悪魔の血が滾る。

「⋯⋯!」


「あっ!」と従魔預かり所では一人の店員が少し離れたところからみえる人影を見て声を発した。徐々にその人影は人相が分かるまでになっていき、やがて完全に誰かを判別出来るまでに距離が縮まった。


「あっ」


 それに対して向こうから来ている少年が思い出したように挨拶代わりの手を上げる仕草を見せた。すると店員が来た来たと少年が受付まで来るのを嬉しそうに待っている。


「あれ、この間の人じゃないですか」

「ガゼルさんですよね!」

「ん?ええ、それがどうかしたんですか?」

「実は、ここ数日でガゼルさんのお名前がこの街でかなり広がっているんですよ!」


'げっ──'


店員が嬉しそうに耳打ちしている中、ガゼルは嫌そうに心の中で吐き捨てる。


理由は簡単で彼は全く目立ちたくない。だが自身でも自覚はできているが、言動の割には目立つ事をしてしまっている。それは分かってはいるが、やはり自分の思ってもない言動や行動をしたくない彼の性格上どうしてもこの間のような事になってしまう。


「そう⋯⋯なんですね」

「ええ!ですが」


店員が言葉を溜めている。続きを待つガゼルだったが、すぐに話さない様子に「どうしたんだ?」とガゼルも話している店員の言葉を待っている。


「元々ゾルドさんを含む冒険者の勢力があまりにも強く、私達商売をしている者からしたら⋯⋯本当にきつい状況でしたので、ガゼルさんには感謝してもしきれないですよ!」


嬉しそうにそう話す店員。だがガゼルは感謝の言葉を言う店員を見て特別表情が変わることはなかった。


「そうですか。それなら今後は貴方達の独壇場になるようで良かったですね」

「え?」

「え?」


はてなが頭上で浮かんでいる表情をガゼルと店員が見せている。


「と、いいますと?」

「ん?別に難しくない話だろう?今は嬉しくても、その内今度はお前達が冒険者達のように振る舞うのがみえみえだからな。あ〜。別にこれは攻撃している訳ではないから気にしないでくれ」


脱力した手で横へ振る動きを見せながらそう軽快にスラスラ話すガゼル。だが対して店員はそんな様子のガゼルに違和感を覚える。


「私達があの冒険者達のようになるって事ですか?」


明らかに"不快です"と若干の怒りが込もっている瞳でガゼルを見つめている店員。それに対してガゼルは1ミリも変わることなくまた声に出す。


「え?当たり前じゃないですか」

「何故ですか!?私達は今までどんな思いでやってきた事か!あの冒険者達やそれに追随している関係者達の極悪非道っぷりを!」


熱い思いを口に出している店員をまるで海に浸かっているんじゃないかと思う位冷静に見ているガゼル。


「だって──今貴方⋯⋯あの冒険者(●●●●●)って言ってるじゃないですか」


淡々と言葉を並べるガゼルに対して店員の顔が上がる。


「事情はなんとなく察しはつきますが、つまり貴方方も冒険者を良くない目で見ているわけですよね?そしたら貴方は良かったとしても、他の誰かが冒険者たちに対して似たような事をするのが目に見えているじゃないですか。分かります?」


「い、いや、俺達は普通の力しか持っていない。どうあがいたって冒険者に勝てる要素が──」


「あるじゃないですか⋯⋯権力と法という力が。どんな冒険者も法や権力には叶わないでしょう。何故なら家族や仲間達がいれば嫌でも守る方へと切り替えなきゃならない。まぁ別に切り捨てるようなゴミにならなければっていう話ですが。しかし現実は違う。何処から殺られるか分からない恐怖に食事やその他物資だって安くない。むしろこの顔を見かけたら⋯⋯なんて指示が出たら昼はほぼ全滅。夜に行うとしても──いずれ凄腕の人族達が狙ってきますから、どの道潰える。そこまで力関係が分かっていない大衆達は、誰が力を持っても文句を言うってわけですね。⋯⋯まぁ別に店員さんと口論しに来てないので、別にいいんですけどね。ちょっと預けた従魔と散歩に行くので──連れて来てもらえませんか?」 


流れるようなガゼルの話にイラッとしながらも店員が中へと入り、数分も掛からずにウルフを連れて来てくれる。


「ありがとうございます」

「お、お気をつけて」


'図星だったようだな'


ガゼルが真顔で店員を見下ろしてウルフに視線を移す。


「俺はセレーヌに言われたからここまで連れて来たわけだが──俺の言っている事は分かるな?」

「ウォン!」

「よし、なら散歩がてら⋯⋯ちょっと俺に付き合え。金儲けする前にある程度の金を集める為に狩りでもしようかと思っていたんだ。森にでも行って散歩しながら、100位の魔物を狩るぞ」


ガゼルがそう言いながら煙草に火をつけ、ゆっくりと歩みを始めた。それに遅れないように、そして⋯⋯ガゼルより絶対に一歩も先に行かないように合わせながら隣を歩くウルフ。


「あ、あんな事が」


 進む2つの人影はまた影となって消えていく。その2つを消えるまで眺めていた店員が思わず呆然と──そして驚愕した。

 

 通常魔物は従魔契約か、職業的に魔物を使えるか、そして最後に余程愛されているかのどちらか。


 ガゼルという男はこの三番目に当たるだろう。しかし魔物のレベルや知能によって様々だ。


 この男は今まで10年以上この従魔預かり所で働いて来た。B級テイマーや魔物との絆で連れてくるS冒険者もいた。

 もちろん凄かった。見たことないような魔物だっていたし、中にはレア過ぎて関わるのも嫌になるようなモノだってあった。


だが、決してあのような従い方をしてる事が一度でも無かった。


⋯⋯相手が神?いや、王であるかのような魔物自身が完全なる自我持った状態での屈服。もっといえば完全なる忠誠。


目を見れば分かる。あの目は人の言葉がわかっていて、かつ──従っている。あれはまるで神や王に仕える騎士そのものだった。


私が見ていた時はあんな表情や瞳をしていなかったのに。あの人を見た瞬間──突然緊張感が変わり、完全なる屈服を毎度毎度見せるかのように男の顔を見ることなく地面に伏せていた。


これが魔物?凶暴で誰であろうと食い荒らす危険で獰猛な生物?人に害をなす存在?私には分からない。


店員の瞳が揺れている。初めてみた人と魔物の関係値、思わず心が震える程だった。


「凄い。力を振るう事も、威圧を掛けることなく、ただ目線だけで決まる程の力を持った冒険者を見るのは」



---ラカゴの森


ガゼルとウルフはそこら中に生えている木々を伝って、およそ人間の出せるレベルを逸脱した速度で奥へ奥へと進んでいた。


'ひとまず詳細なスキルの検証をしたい'

というのも俺の日本技術加工は、どんなに小さい物だとしても極小レベルで魔力が出ているということだ。


これがどういう問題に繋がるかはすぐにわかるだろう。魔力感知やその他の痕跡発見繋がってしまう。探知されたら非常に面倒だ。元はといえば、ポーション作成の直前で気付いた事だ。万が一盗賊や面倒な奴らの集まる街でそんな事した場合⋯⋯どのようなことになるかは目に見えている。


"アイツはとんでもない物を持っている"


そんなことでも言われたら溜まったもんじゃない。どうせそんなオチでしかないだろう。


その為このラカゴの森まで来て、ポーション作成やその他の検証も兼ねて⋯⋯というわけだ。


「この辺でいいな」


だいぶ奥まで進んできたガゼルとウルフがゆっくりと地面に着地する。


「ちょっと座って待っててくれ」


ガゼルがそう言うとすぐに座って毛繕いを始めるウルフ。


'さて'


渚、日本技術加工とレイアース加工の両方を使って──簡単に部位欠損を直せるポーションは無いのか?


『マスター、一番の効果と速度が期待できるアイテムは⋯⋯エリクサーがございます』


'まぁファンタジーの定番か。因みにどれくらいいる?'


『はい。ひとつ辺り3000です』


'ん?少なくないか?3000なんてすぐに回収できるぞ?'


『はい。実はその加工スキルなんですが、数日前から異常な効果を発揮しておりまして、スキルレベルの上昇により───必要MPが半分になりました』


'は!?つまり本来6000が3000か⋯⋯まさしく異常だな'


『はい。女神様がやり過ぎたなどと言っておられました』


'そりゃそうだな。俺じゃなかったらとんでもない使い方をして、決して少なくない確率でインフレから世界の破滅まで待ってそうな話になるところだったな。とりあえず2本位作っといてくれ⋯⋯緊急用とその予備ってことで'


『かしこまりました』


ガゼルはポケットからスマホを取り出して溜息混じりにロックを開け、アイテムが入っている事と他に変化がないかを確認している。


「さて──」


ガゼルは軽く首をウルフの方へと向ける。


'そろそろ狩りでもするか'


魔物の売れ値は今はいい、後で知ればいい。なんせアイテムボックスがあるから。


「行くぞ、ウルフ。とりあえずお前でも倒せるレベルを仕留めていけばいい。それ以上は立ち向かう必要はない」

「ウォン!」


再びガゼルとウルフは飛び上がって木の枝の上へと移動する。


「もうこの辺は街からかなり距離が空いている。かなり魔物の量もいるはずだ」


'まぁ強そうなのがいれば、金にもなるし退屈凌ぎにもなるだろう'


「お前は向こうで狩りを。俺はこっちに行く」


ガゼルがウルフに左と指をさし、自分は右へ行くと指でみせる。するとウルフは返事をしてから即座に言われた方角へと走り出していく。


「物分りのいいやつで助かるよ」


そう吐き捨てながらガゼルも軽快な足取りで右方向へと進んで行った。



**

「uu⋯⋯」

「どうした?」


ガゼルがそう一言発している。目の前にいるのは身長3m程で、体重も圧倒的に多い。自身よりも遥かに良い体格をしている魔物。


ファンタジー小説やゲームで必ず見ると言っても過言ではない魔物の一つ──オーク。


そんなオークの半身が所々穴が空いている。そして到底魔物の表情とは思えず、その姿はまるで怯えている人間のような目で膝立ちの状態にされた状態でガゼルを見上げるオークの姿がそこにはあった。


 周りには噴き出した血の痕跡。まだ新鮮だ。ほんの少し前、ガゼルは固まっているオークの集団を発見し、当たり前のように襲った。


 そして僅かその数分後にはこうなっている。

倒れているオーク達の身体は破裂したかのように臓物が乱雑に散り、大量の死臭が辺りにいる生物を寄せ付けさせない独特の空気を発している。

 更にガゼルの尋ねる表情は嬉しそうな笑みを浮かべていて、そして上からオークを嘲りこの状況を楽しんでるといったアクセントの響きが彼の狂気を表している。


「uuuu」

「分からないなぁ〜」


小馬鹿にしたようなガゼルの歪んでいるような響きを感じる喜びの声。


「まぁ、お前達に言っても分からないだろうからあえて言おう──」


オークの瞳はガゼルの嘲笑を捉えている。


「大した事なかったよ。この上なくつまらなく、全く楽しくなかった」


首めがけてガゼルの凄まじい風圧のする蹴りが飛び、宙を伝って生首が少し離れた地面へと飛んでいく。そして飛んでいる間、その2つの目に見えていたガゼルの狂気さが込もった双眸を見たまま⋯⋯オークはこの世から退場を余儀なくされたのだった。


ガゼルが振り返る。

ゆっくりとまた歩き出し、直後──背後ではグチャ!とオークの死体が地面に落ちた音がしたのだった。


「これで何体目だ?」


スマホを確認するガゼル。画面に映っているのは41という数字と、身体の臓器の種類ごとの数。


「まぁこれくらいで良いだろう。あまり狩りすぎるとみんなのレベルが落ちてしまう」


だが、数歩進んだガゼルの二足は止まる。


'にしては──かなり普通にいたな'


おかしい。ゴブリンが40体なのと、オークが40体はワケが違う。一体どうなってる? 


ドドドドッ。


いや、俺の勘違いでなければ──魔物が集団でいる場合の可能性は三択。


ダンダンッ。


「ここが縄張りの一つ。もう一つはたまたま移動の塊に出くわした」


ダダダダッ。


「そして最後──何者かの指示によって従っている魔物とたまたま遭遇したケース」


ドォォォン!!


「⋯⋯っ?なんだ?」


音の方へ視線を向ける。


 遠くの方からこちらに向かって走ってきているのがすぐに分かり、猪突猛進の字のごとく避ける事はせず、体当たりで木をなぎ倒しながらこちらへ真っ直ぐ走ってきているのがわかる。


「ん?なんだ?何だあれ?」


目を細めながら迫ってくる何かを凝視する。

 やがてドンドン姿が鮮明になっていくと同時に、ガゼルの表情が喜びに満ちたものに変わっていく。


「なんだなんだ?同胞がやられて──怒りが頂点に達したのか?オークの上位種っぽい奴」



ドガァァン──。

嵐のような風圧と共に身長だけで6mはあり、その上人間のようにしっかりと重厚感のある金属製フル装備の防具と斧を手に持つ黒いオークがガゼルの目の前で急停止する。


「⋯⋯⋯⋯」


凄まじい風圧と急停止するオークに全く臆する事なく冷静に見上げているガゼル。


「GuUUU⋯⋯⋯⋯⋯⋯」


荒い鼻息をガゼルにぶつけながら上から見下ろしている謎の黒いオーク。


「どうした?お前は何者だ?」

「⋯⋯⋯⋯」

「無言か?だがまぁ」


ガゼルが言葉を溜める。その間にオークが数十キロはするであろう特殊な斧を片手で振り上げている。制服のブレザーは振り上げたその風圧で靡き、髪も後ろへと流れていく。


「その目つきで分かるよ──お前はただの魔物では無いってことが」


ドガァァン!!

オークはガゼル目掛けて力一杯振り下ろす。オークの巨体にしては、決して考えられない速度。例えるなら、小さい身長の男が双剣を凄まじい速度で振るようなイメージを210cm位の男がやっているような⋯⋯そんな感覚。


「G?」


捉えた。瞳が大きく見開いたところを見ると、おそらくそう思っていたであろう黒いオーク。

 

 だが、実際目の前で起こっていることは──振り下ろしたところからスレスレとも呼べるすぐ横で斧を眺めるガゼルの姿がそこにはあった。


思わずその光景に動揺を見せるオークだが、すぐに動かなければと身体を浮かせる。


「これはなんの素材なんだ?」


オークの全身の皮膚が栗立つ。一体何が起きている。目の前の人族はなんで死んでいない?何故当たり前のように避けている。


オークの目には人族に見えるナニカに姿が変わり、恐怖という言葉が全身に奔る。


「おぉ⋯⋯近くで見ると案外筋肉は柔らかいんだな」


ガゼルはオークの足をペタペタと触り、嬉しそうにオークの足の筋肉を褒め称えている。


「筋肉が柔らかいことは良い事だぞ〜?固まってるのは良くないからな」

「G⋯⋯」

「おぉ、お前──俺の言ってることが分かるのか?」


ガゼルが軽くオークに笑い掛ける。異常な程落ち着いた様子で。


バッ!とオークが一瞬で5m以上後ろへ下がった。


'なんだ?この人族は──なんなんだ?'


オークがそう呟きながらガゼルを視界に収めたまま持ち手に力を入れて斧を後ろ側へと振り上げる。


「なんだ?怖くなったか?」


ピィ〜ン。


口元からは煙が立ち込める。


「⋯⋯ふぅ」


そう一息すると、探知に何かが引っかかったのか⋯⋯顔色を変えるガゼル。


「なんだ?お前──リーダーか?」


ドシン。ドシン。


リズムよく地響き鳴らす音が聞こえ始め、オークが後ろへ振り返る。


「リーダ〜!」

「お前達」


数十どころではない。およそ150体程のオークや他の魔物達が黒いオークのすぐ後ろへと到着した。


「何をしている?来るなといったはずだぞ?」

「リーダーが無視していくからじゃないですか!」


そうオークに言うのは1匹のコボルトとその配下達。全員が片膝をつきながら次の言葉を待っている。


「ところで、あの人族は?」


コボルトの質問に対してオークが眉間にシワを寄せる。


「あの人族⋯⋯鑑定がなぜか通じない。要注意な人族だ」

「なら、私達が行きます」


そう一言発した後に一行の更に背後から様々な種類の魔物が続々と姿を見せていた。


ゴブリン、コボルト、スケルトンetc…様々な魔物が前で膝をついているコボルトと同様にその場で片膝をつく魔物達。


「いや」


オークが目の前にいる人族を横目で見ながら否定の言葉を挟む。


「あの人族は只者ではない。私が行かなければならない」

「しかし!あなた様が居なくなれば──私達の意味がっ」

「分かっている。だが」

「ハシゲン様も仰っていたではありませんか!「人族を舐めてかかるな⋯⋯上を無くすくらいだったら撤退しろ」 と!」


「むぅ」と手下の言葉に言葉を詰まらせるオーク。


「私達が行きます!人族への復讐を今──果たす時なのです!」

「そうだな」


少し間を空けてそう一言発するオーク。そのままファンタジー定番である様々な魔物たちが、整列しながら前へ出ていく。



「⋯⋯ん?」


細い煙を吐きながら目の前の光景に嗤うガゼル。


「なんだなんだ?魔物が寄ってたかって人間1匹を殺そうってか?」


まだ残っている煙草を高いところから指を離し地面にポトッと落ちる。足で火を消してから一歩前へ進む。


「良い度胸だ」


そう一言発した時、魔物達サイドは一瞬でリーダーの言っていた言葉を即座に理解した。


今まで見た人族とはまるで違う気配、重圧、緊張感⋯⋯どれをとっても別格。


コツ。


ローファーの音が静まり返ったこの森で響きわたっている。


「お前達は俺を殺そうとしているんだよな?」


コツ。


「面白い──。お前達が何故俺を殺すのか⋯⋯全く理解出来ないが」


コツ、コツ、コツ。


その場にいた全魔物達が一斉に武器を構えた。いや、構えなければならなかった。


圧倒的な威圧感の込もる魔物達ですら避けるようガゼルの狂気じみたオーラ。


『コイツが人族なのか?』

『あり得ない』

『我々と何が違うのだ──』


そう心では呟く魔物たちの目の前には──一人制服を着ている白髪の少年が嗤いながらこちらを見ている。悪魔のような笑みと嗤うその大きく開いている口元で。


「俺はずっと探しているんだよ」


嫌な汗が魔物達の頬を伝ったその瞬間。
























「ここにもいねぇのかァァァ〜?俺を殺してくれる奴はよォォ?」


ガゼルが嗤う。魔物達を見下しながら。


「⋯⋯っ」


空気に耐えれなくなったコボルトは掛け声を全員にかけた。


「いけぇぇぇぇ!!あの人族を殺るのだ!!」


魔物達の咆哮が地ならしのように響きながら一部の魔物がガゼルに向かって走り出した。


一斉に10体以上。ガゼルの頭上には沢山の魔物が。


「Let's ────」


『Graaaaaa!!!』

『Uuuuuuu!!!!』


「Crazy party time!!!!」


嗤いながらガゼルは落ちてくる魔物達に向かって吠えるように声を上げた。

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