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不登校が久しぶりに登校したらクラス転移に巻き込まれました。  作者: ちょすニキ


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18/102

18話 日本の技術は偉大でした

さて、魔力に余裕はあるみたいだし⋯⋯早速煙草作りをしなければ。と、その前に──とりあえず魔力が力尽きる可能性も考慮する必要がある。煙草を仮に作ったとして、今の金の残金的にも⋯⋯必要なのは当分の資金だな。まぁ一般的には小金持ちレベルだとは思うんだが、全く俺の中では足りん。


というのも、さっき宿に到着する少しの時間の間に、アレク達に現地の奴らの給料から平均辺りの収入状況等々を入手した。

 

 どうやらアレク達によると、大体1ヶ月で平民は金貨1枚行かないくらいだそうだ。日本の感覚で考えれば、これはアルバイトのようなものと考えるべきか?いや、就職だとまた違うと思うから要確認だな。

 

 続いて俺も含める冒険者だ。

冒険者はかなり歩合に左右される職業で、大体毎日依頼をこなして素材の質向上に努めて頑張っていれば──金貨3枚くらいらしい。

 ちなみにここでいう冒険者達のランクで目安になるのはDランクくらいが主だという。そこから上はキリがないとの事だ。魔物のレベルと素材の希少さ、そして依頼達成難易度がグッと上がるからだそうだ。


'まぁ普通に考えればわかることだな'


ていうのを踏まえると、この世界の流れ的に学問は後回しになりそうだし、男手はほぼ才のある者は冒険者か、それとも騎士とかか?な○う小説的に言って⋯⋯そんな感じだと思う。


だとすると幸先が不安極まりない。まぁ確かに冒険者でもやっていれば問題はないだろうが、今日の事もある。派閥争いや一々ランクがどうたらこうたら文句を垂れ流されながら生きるのだけは勘弁被りたい。


'てなわけで──'


アレクから得た大まかの情報から簡潔に情報をまとめて一言で言うと⋯⋯こんなの少ししたら無くなるレベルの地獄さの持金だ。全く金がない。1000万?セレーヌを買ってるし、ここの宿代も馬鹿にならない。


向こうで俺を雇うには時給が億だぞ?ふざけんな。さっさとこんな極貧生活からオサラバだ。


⋯⋯とりあえず現状あり得ん。さっさと金を集めるとするか。



'まずは【日本技術加工発動!】'


ガゼルがそう呟くと目の前のスマホがピロンと通知音がなり、画面を確認しようとしたところで⋯⋯渚から話し掛けられる。


『お待ち下さいマスター。そちらの機能も私とリンクすれば話だけで出せるようになりますがリンクしますか?』


'何っ!?今すぐ繋いでくれ!'


『かしこまりました』


'もしかしてだが、渚のサポートがあれば──予測個数とかの詳細情報が全て分かったりするか?'


『勿論ですマスター』


'なるほど。それじゃあまず具体的な使い方から説明を頼む'


『かしこまりました』


その渚の言葉の後すぐに数分の説明を受けたガゼルは、いよいよ初のスキルを発動しようとしていた。


'よーし'

とりあえずこのスキルに必要な事は、魔力とイメージ。これは急降下した時と全く一緒だろう。こっから作れるのか──否か。


'頼む!渚!'


『⋯⋯⋯⋯スキル発動を確認、成功しました』


「おお!煙草が生産できたのか?」


成功の言葉を聞いたと同時に、早く早くとすぐにスマホをつけて確認するガゼル。


「⋯⋯⋯⋯は?」


両目が点になり、ゆっくり瞬きをしながら何回か目を擦るガゼル。


「はは、またまた〜」


そう冗談を言いながら画面に映るテキストを引き攣りながら見ている。


────────────────────

【日本技術加工】

・煙草(銘柄Cigaronne,Royal⋯⋯⋯⋯)


完了。加工可能数──十万個

────────────────────

「⋯⋯は?」


驚きの数字スマホに表示される。


'嘘だろ⋯⋯?10万?'


バランス崩壊だ。こんなのチートとかのレベルじゃねぇよ。


「とりあえず煙草10箱アイテムボックスに頼む。それから専用ガスも」


『かしこまりました』


「それから──」


 ここで選択をミスるわけにはいかない。金を回収する為には、選ぶ物がクソ重要だ。まぁだとすると従業員を雇いつつ、安定したお金を手に入れないといけないか。

 

 ここで考えつく答えとしては、冒険者で言うと、魔法使いがいないと焚き火も一苦労か?その流れで行くと非常食とかそんなところか?クソ迷うな。


煙草に火を点けるガゼル。ゆっくりと吐きながら細い煙が外へと抜けていく。


'まぁ、現状だとマッチ辺りが評判も良く、薄利多売が可能なアイテムではある。ただ懸念点が一つある。こちらの技術力が分からない事だ。俺達地球人は傷を治すには手術や抗生剤といったモノや⋯⋯まぁとにかく色々な事を使って行うが、ここではポーションや魔法といったもので全て解決してしまう。


つまり、自分が思っていた以上にそういう部分から発達していた場合──意味がなくなる⋯⋯ってわけでもねぇか?平民が使えるって時点で有利か。


「⋯⋯ふぅ」


実際あっちの時はマッチが死ぬほど役立ちすぎた。まぁあれだったらコスパ良く行けるのではないか?百均でも売ってる位だからな。とりあえず資金はマッチで作るとするか。


'後は実演販売できる場所を探さないとな?'


「渚、次はマッチだ。どのくらい作れそうだ?」


『⋯⋯確認します、、、、、完了5万個程量産出来ます』


「マジで?」


五万?価格によっちゃぁ、かなりの売上を期待できるんじゃねぇか?しかも──。


『マスター、これはあくまでもマスターの半分ほどの魔力で作り出した物ですので──本来はそのもう半分ほどの数を加工できます』


'なるほどな'

ぶっ壊れスキル様々だ。


「セレーヌがどれくらい時間を掛けるか分からん。なるべく早く終わらせるか」


それからすぐに生産したマッチと検証物はアイテムボックスにしまって一服を始める。


「⋯⋯ふぅ」


'とりあえずある程度の事は把握できた'

正直かなりの得だ。この短時間でここまで把握できたんだからな。


とまぁ本題だが、検証で分かったのは次の4つだ。


・基本イメージ力で出せるか決まる。

・出すモノを加工する為の魔力がしっかりあればなんでも出せる。

・あまりに大きい物は広さがないと顕現させることは出来ない。

・当たり前だがファンタジー要素が含まれている。必要な物資は魔力やらの素材からできているということだ。個数は関係ない。


⋯⋯一応今のところは以上だ。

やっぱりチートなんて生易しいな。ぶっちゃけこれだけでもどうにでもなると思う。まぁ、精々末永くこのスキルを有効活用させてもらうよ。



**

そして夕方頃にセレーヌが帰宅した。両手にはかなりの量が入っているであろう篭といっぱいの服を持って部屋に入ってきたセレーヌ。


それをガゼルがすぐに重たい方を変わりに持って近くの場所へと置いてあげている。


「おかえり、セレーヌ」

「ただいま戻りました。あの、どう⋯⋯⋯⋯ですか?」


人生で初めて買い物を体験したセレーヌ。そのせいか⋯⋯ぎこちない表情をガゼルに見せながら小さくクルクルと回り、恥じらいを見せながらボソボソッと尋ねてくるセレーヌ。


'ん?あぁ⋯⋯'

 変に凝ってない白いブラウスの上に軽い護身用の防具。下は動きやすい普通のズボン。チラッと覗いたところ、着回しの奴は受付のようなOLっぽい服装を購入したようだ。


⋯⋯じゃなくて。


「中々良いセンスだな。そういえば買い物もほぼ初めてだったんじゃないか?よくよく考えれば初めてとは気付かずに行かせてしまったよ。悪いな。予備の服とかは買えたか?」

「いえっ!お店の人に色々教えていただいてなんとかなりました!ご主人様!こんなに気遣っていただいて本当にありがとうございます!久しぶり(●●●●)にこんなに良いお洋服を着ることが出来ました!感謝してもしきれません!」


興奮しているセレーヌがいつになく丁寧で早口だ。それ程喜びが全面に出せるようになったということだろう。


「そうか。一応これからも買い物の機会は腐るほど行けるようにはなるだろうが、俺も生産的なことをやっていくのにあたってかなり質の良いものを作れるようになるから──もしかしたら行かなくても良くなるかもしれない」

「ご主人様⋯⋯洋服までお作りになれるんですか?」


目を丸くしながらそう返すセレーヌと当たり前のように返事をするガゼル。


「まぁ正確にはスキルだがな」

「凄いですね」

「っ⋯⋯て、もうそろそろ祝勝会の時間か?」

「あっ!そうですね!」


それから降りると、下にはアレク達3人とおばちゃんが待っていた。


'あぁ⋯⋯貸し切りにしたんだったな'


そのままセレーヌとテーブルに座ってガゼルは煙草に火を点ける。


「師匠!お疲れ様です!」

「おつかれさん~」


横にいる二人も元気よく挨拶を交わすガゼル。


「あらあら。エラく羽振りがいいと思ったらこっちのお客さんかい?」

「おばちゃん、悪いね⋯⋯コイツらにとっては、今日は大事な日だからさ」

「いいってことよ〜あんだけ払ってもらっちゃったら〜」


手でちょっとガゼルの肩を軽く叩きながらそう嬉しそうな声色さで陽気に喋るおばちゃん。


「そうですか。それは良かったですよ」

「ガゼル君でいいのよね?見たことないようなは服装だけど、一体どこから来たのよ〜?」

「結構遠いところですね〜、それもかなり田舎の方ですし」

「そうなのかい?凄い生地と精巧性よねコレ」

「ええ、両親が凄く上手で」

「あらそう?私もぜひ作って欲しいわね⋯⋯店での服があまりなかったものだからついね」


苦笑いを浮かべてそう話すおばちゃんに、ガゼルも合わせて相槌を打つ。


「今度似合いそうな服を用意しますよ」

「ホントかい?頼むよ〜?」

「ええ、任せてください」


そうガゼルが返すと、おばちゃんは厨房へと戻っていった。


「さて──今日の夜はたっぷり食え!飲め!楽しむぞ!乾杯!」

「「「「「カンパーイ!」」」」」


皆で蒼き星のデビュー戦で勝利した事祝って一晩中楽しんだ。クソほどどんちゃん騒ぎをしながら食べて、飲んで、語って。全員が人生で一番楽しそうな表情をしながら。


そうして時間過ぎ、数時間後。


**

「オイオイみんな潰れてるじゃねぇかよ」


そう言いながらこの状況に笑ってしまうガゼル。


「ごしゅじぃしゃまー」

「ししょー」


全員が机に顔を乗せ、完全に潰れている。


'はぁ⋯⋯'

まぁ良いか。とりあえず全員を担いで部屋に戻してやるか。


ガゼルが一人一人を担ぎ上げて部屋へと連れて行く。


「ほら、もう少しだ」

「うわぁ〜い魔法だぁ〜」

「リーナ、あんな冷静な女性がこんなふわふわになるとはな」


'大人っぽい印象だったが、撤回だな'


扉を開けてベッドの上へと綺麗に寝かせて防具を軽くだけ取っているガゼル。


「ゆっくりな」


そう言い残して下へと戻る。その流れでアレックスとドーグを同じ様に二人の部屋まで担ぎ上げて連れて行った。そしてそのままセレーヌも担いで自室に戻り、寝かしてからガゼルは外に出て一人⋯⋯煙草を吸っていた。


「⋯⋯ふぅ」


'食後の一服は至高だな'


 排気ガスや光があまり無いこの異世界の夜空は絵ではないか──そう思うほどに美しく繊細な星空が一服しているガゼルの両目に映っていた。


カウントはしてないが、少なくとも一週間と少しか。にしても濃い10日だな。異世界に飛ばされて、知らない奴隷を買って、死にそうな弱小冒険者パーティーを拾って育てて。こうして食事をしている。


そんなガゼルの両目は何処か嬉しさが見えていた。


「随分ゆっくりと過ごせているな、向こうと比べて」


頭の中でベートーヴェンの悲愴が流れ始めるガゼル。


「⋯⋯ふぅ、そろそろクラシックが恋しいな」


 さて、明日から市場の確認とギルドに行かないとな。冒険者ギルドがあるんだから絶対に商業ギルドもあるだろうしな⋯⋯まずは露天販売からやるか。金が集まり次第、直ぐに店舗を展開し始めるか。


ガゼルがそんな事を考えていると、ついこの間言われたバルカスの言葉を思い出していた。


─必ず貴方は買いに来てくれます。またのご利用お待ちしております。


 これは買った直後、すれ違った時に小声で囁かれた事だ。多分金の匂いがしたからかは知らんが、多分最適解はあいつの言う通りかもしれんな。人を雇うには金がいる。しかし人件費が掛かっては勿体無いところではある。


 そうやって困っていた訳だが、この世界だと奴隷がある。ある意味永久的にお金がかからない、人件費は⋯⋯だがな。まぁ俺は普通に過ごさせるつもりだが──俺とセレーヌでは必ず限界は訪れる。


夜空を見上げながらガゼルは頷くしかなかった。


やはり、奴隷を買うのがこの世界では最適だろうな。


俺は大人が大嫌いだ。だからかも知れん──普通の大人より奴隷の方に選択肢が行くのには。


「ん」


手元の灰が落ち、一服が終わる。


'戻るか'


そのまま部屋に戻って何もすることなく即ベッドで横になり、次の日へと進むガゼルだった。



**

そして次の朝。ガゼルが目を覚ますと神妙な表情で待ち構えているセレーヌ。


「ご主人様おはようございます」

「ん〜あーおはようセレーヌ」

「昨晩は大変申し訳ありませんでしたァァァァ!」


思わず日本人かと錯覚する程のスライディング土下座。ガゼルは苦笑いでその姿をベッドから見下ろしていた。


'まぁ奴隷の立場だと飲む事も許されないし、酔ってやらかしたのもいけないのだろうが、俺んところではそんなのどうでもいい'


「気にすんなストレス発散出来だだろう?」

「ご主人様ぁ!」


セレーヌがパァッと明るく笑い、ガゼルに勢い良く抱きついた。だが、微妙な表情をしているガゼル。


'なんとなく予想はしていたが、やはりセレーヌさん⋯⋯デカい'


ナニがとは言わないが流石にデカい。

リアルHはあると思う。それでこの可愛さ⋯⋯大変男としてはきついものがある。まぁ13歳だ、気にしてはいけない。


そう、気にしない、しない。


「あっ、ああ〜!そうだ。セレーヌ」

「はい!ご主人様?」

「今日は新しい仲間を手に入れに行くぞ」

「え?ご主人様⋯⋯新しく買うんですか?」

「あぁ、これから商売に手を付けたくてな。俺とセレーヌだけではかなり手一杯になるだろう」


脱いだブレザーを羽織りながら呟くガゼルに、セレーヌが嬉しそうな表情で見つめている。


「⋯⋯ん?どうした?」

「ご主人様は戦うだけでなく、商売も得意なんですね!凄いです!」

「まぁそこそこだよ。完璧ではない。誰かに習った訳でもないしな」


そうニヤけながら扉を開けて下に降り、奴隷商を目指して二人は歩みはじめた。

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