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悪意の愛に呑み込まれて  作者: 夜道に桜
第一章 文化祭編
8/91

爆睡

 

 教室にいくと、御堂はまだ机に突っ伏したまま爆睡していた。


その姿を見ていると叩き起こすのがためらわれて、あと四十分だけ寝かすことにした。


 教室には僕と御堂の二人以外はいない。


皆、”合唱”の成功を祝い打ち上げに行った。


誰もいない教室(御堂は寝ていたので、居ないものとみなす)で独り言を漏らす。



「……はぁ。本当になんで御堂は僕を誘ったのだろう」



 御堂は僕とは違い、愛想がよく、教師からもクラスメイトからも評判が良い。


まさに”集団”でいることを「楽」に思う典型的なタイプだ。


少なくとも僕の目にはそう見えた。


だけど、『集団』という群れから離れた『個』が再びそこに合流することは難しい。


たとえ一度でもだ。


 事実、集団の中心だった御堂は、午後から”自作アニメ”を発表することを周囲に伝えてはいたが、誰一人として鑑賞することよりも、打ち上げに行くことを選択した。


 御堂が『集団』で生きていくコツを知らないはずはなかった。


つまり……御堂は『集団』という群れからハグれるのをわかっていながら、僕を誘って自作アニメを制作することを選択したのだ。


そこまでする意味なんかあるんだろうか。


自作アニメが成功しようがしまいが、この後に御堂の待ち受ける学校生活は、今より確実に『個』の生活になるんだろうな……。


そう思う。


だけど、御堂の寝顔を見てそんな考えは一瞬で掻き消された。



 よだれを机に垂らし、いびきをスゥスゥとかいてはいるが、その顔はやりきった表情を浮かべている。



そんな御堂に対して僕が憂いることは、



失礼だ









☆★☆


四十分が経過した。


もう御堂を起こさなくては。



「おい、起きろ」


「……」


「起きろってば、上映時間に間に合わなくなるぞ」


「……」



 聞こえるか、聞こえないぐらいかの微かな寝息を立てるだけで、一向に起きる様子を見せない御堂。

 

 手荒な方法だとは思ったが仕方がないと思い、頬を強くつねってやった。



「ギュッ」


「グエッ! い、痛い! 何するのよ灰崎君! て、ん? 今何時?」


「13時10分だけど」


「えぇぇぇー! なんでもっと早く起こしてくれなかったの! 急いで会場に向かわないと! 間に合わなくなるよ!」


「御堂の寝相を見ていたら起こすのを、躊躇してしまったんだよ。 大丈夫だよ、まだ二十分もあるし、ゆっくり行っても間に合うよ」


「そ、そっか。 でも機械の調子とかも確認しないといけないから、出来るだけ急ぐよ!」



 そう言うや否や、御堂ははダッシュで体育館へと走り出し、僕もその後を追いかけた。





走っている最中、僕は不覚にも思ってしまった。





……無事に出し物は成功するのだろうか。



走る速度に比例するかのように、僕の心臓の鼓動の速さもまた上がってきた。










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