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超能力の目覚め
この物語の主人公は、特に目立った個性もなく、毎日同じことを繰り返す生活をしている普通のサラリーマンだ。少し人と違うとしたら、人類はもっと少なくて良いのではないかと考えているくらいであった。
主人公の名前は「村井覚」。覚の唯一の娯楽は人間観察であった。出勤する時の電車、会社の同僚、テレビに映る人たち、毎日いろんな人を見てその人の性格や生活を想像していた。
そんな生活をしている時に事件は起こった。ある国が自国の国民を殺害しだしたのだ。人類が増え過ぎたため国民の生活を保障できず、国内の政治に対して反感を持つ者も多くなっていた。その解決策として階級の低い者、障がいを持つ者、犯罪を犯した者は問答無用で殺害されていった。その結果ある国の人口の5分の1を減らすことに成功した。
生き残った国民の多くはその事実を口に出さなかった。自分がその犠牲のおかげで生きているからだ。