表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ギルドライバー“ハヅキ”  作者: 今井亜美
第十話 本気の戦い
84/162

八章 私の友達


「志保…………起きて……」

「先輩……?」


 誰かに。

 名前を呼ばれた様な気がして。

 私はゆっくりと目を開けた。


 そこにいたのは、想像していた人物ではなかった。

 彼女は私が目を開けた事に気が付くと、嬉しそうに笑った。


「良かった! 目が覚めたんだね、志保さん!」


 どうやら私は彼女の膝を枕に、眠っていた様だ。

 回復魔法、とやらの力なのだろうか?

 あれほど深く傷ついたにも関わらず、私の身体は細かい傷が残っているだけ。

 少し怖かったが、腕や足を動かしてみると、何の痛みも感じなかった。

  

 傷を治してくれてありがとう、と私が告げると、彼女は俯いて押し黙ってしまった。


「……どうしたんだ?」


 私が聞くと、


「ごめんね」


 彼女は、ぽつり、と呟くと、目線を逸らす。


「私……殺せなかった。志保さんが、あんなに傷ついて……人だって沢山死んじゃって……やらなきゃなのに。私、殺せなかった……! 怖かったんだ。自分が、自分じゃなくなっていく様な気がして……怖かったの……!」


 ぽたり、と熱い雫が、私の頬にぶつかっては弾けた。

 雫は雨の様に彼女の瞳からとめどなく流れては、落ちた。


 私は彼女の頬にそっと手を添えて、その涙を拭う。


「それでいいんだ……お前は、それでいいんだよ。だから、もうそんな事で謝るな……」

「志保……さん……」


「私の為に怒ってくれた。それだけで、私は嬉しかったよ。正体を隠し続けてきた私に、こんなに優しくしてくれて……“友達”と、呼んでくれた。お前のその優しさに……私は救われたんだぞ────……葉月?」


「! 志保さん、今……何て……?」

「ほ、ほら! 私も、目が覚めたし? そ、そろそろ行くぞ、杠!」


 私は赤く色づいた顔を隠す様に急いで横に向け、勢いよく身体を起こし、その場に背を向けて前へと歩き出す。

 後ろで、彼女の…………私の友達(はづき)の、笑い声が聞こえた。


「えー待って待って! もう一回! もう一回呼んでよ志保さーん!」




 第十話 おしまい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ