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ギルドライバー“ハヅキ”  作者: 今井亜美
第十話 本気の戦い
81/162

五章 重なる力


☆☆☆ ☆☆☆




「酷い…………」


 ちょっと前までは、あんなに人も沢山いて。

 綺麗だった京都の街並みは、地上に降り立った時には既に影も形も無かった。

 そこに広がってるのは燃えた地面。火を上げるビル。漂う煙に散った瓦礫……。

 

 まるで爆心地となったかの様な荒れ具合。

 

(ううん。まるで、じゃない。実際に爆発があって、そしてみんな吹き飛んだんだ……)


 私は……。

 私は、ただ怖かった。

 こんな恐ろしい事を、本当に一人の人間が引き起こしたの?


 信じられないし、信じたくなかった。

 

(それでも……!)


 今から、そいつと戦わなくてはいけないんだ。


 …………そいつは、この廃墟のど真ん中で、大きな瓦礫を椅子に座っていた。

 

「来たか…………!」


 私の顔を見ると、ニヤリ、と笑った。

 背筋が凍り付くような、悪に満ちた笑いだった。


「し、志保さんは、どこ!?」

「ああ、そういう約束だったっけ……ほら、くれてやるよ」


 ゴミを投げ捨てる。動きに似ていた。

 

 それぐらい無造作に、川上沙耶は地面に落ちているそれを掴んで、こちらに放り投げた。

 咄嗟に、それを両手で受け止める。


 ぺちゃ。


 同時に、顔に何か温かい液体が付着した。

 私は、それを腕に抱えて……言葉が、出てこなかった。


「わりぃわりぃ! ちょっと遊びすぎちまってよ。もう死んじまうわ、多分」

「志……保……さん……?」


 私は……人間を抱いていた。

 その事に一瞬気付かない程に、志保さんの姿は変わり果てていた。


 両手両足は切断され、切断面は焼かれたのか黒く焦げている。

 身体の至る所に夥しい数の火傷と痣が刻まれていた。

 顔中は血だらけで、歯は全て抜かれ、目も抜き取られたのか暗く落ち窪んでいる。


 辛うじて生きてはいる。MOBドライバー……外部から供給されている魔力が、ギリギリの所で志保さんの命をここに繋ぎ止めている。


(でも、このままじゃ本当に……)


 早く治さないと、本当に死んでしまう。 

 傷を癒せるのは菫さんだ……でも菫さんはここにはいない。

 

(私に……私に力があれば……!)


「菫さん……お願い……力を……力を貸してっ……!」


 天に祈った。魂に祈った。

 分からないけど、この想いはきっと届くって、そう、信じていた。


『いいですよ、先輩。使ってください、私の力……!』


 声が聞こえたんだ。

 そして私の目の前から、眩い光が発せられる。

 光は、一枚のカードの形をしていた。


「ありがとう、菫さん……」

『デュアルスキャン! “ソウリョ”! フォーム・チェンジ! “セイクリッド”!』


「へえ……それが噂の“デュアルスキャン”って奴か。おもしれえ……!」


 笑う敵を無視して、志保さんに手を当てる。

 私の手から溢れる魔力の光子が、志保さんの身体を癒していく。

 とりあえずは、応急処置。

 手足と目の傷を塞いで、歯を治して……細かい傷は、ごめん。

 後で必ず治すから、今は耐えて欲しい。


「ゆ……ゆずり……は……?」

「ごめんね、志保さん。私が、あの時逃げ出しちゃったから……でも、もう大丈夫だから」 

 

「どう……して……?」

「え?」


「どうして……助けに、来たんだ……? 私の……役目は……お前達を逃がす……事、で……!」

「そんなの、決まってるよ」


 だって志保さんは『友達』だから。

 私にとって志保さんは、時雨以外に出来た初めての同級生の友達なんだよ。


「ともだち……?」

 

 そんな大切な『友達』が傷つけられて……黙って見てられる程、私、賢くない。

 

「だから、志保さんはここで待ってて……」


 志保さんを寝かせて、私はあいつと……川上沙耶と向き合った。

 川上沙耶の身体は、燃え盛る灼熱の炎に包まれている。

 吹き荒れる熱風が、私の髪を逆立てた。


「挨拶は終わったか? そろそろおっぱじめようぜ」

「その前に、一つ聞かせて。何で、あんな事をしたの?」


「……あんな事?」

「志保さんを人質にするのは、分かるよ。でもあんな風に、目をくりぬいたり歯を抜き取ったりする必要は、どこにもない」


 川上沙耶は私の質問に、少し考える素振りを見せた。

 そして、特に感情の籠っていないトーンで返事をする。


「知らね。楽しいからじゃね? 強い敵と戦うのも面白いけどさあ、弱い奴いたぶるのもやっぱ楽しいじゃん? 自分の強さがよく分かるっつうか」

 

「…………そっか」


 聞いてよかった、って、今、心底思ったよ。

 

「おい、もういいだろ? とっととやろうぜ!」

「悪いけど……もう駄目だよ」


「あん?」

「もう遅いからね……もう……泣いて謝っても……絶対、許さない」


 人間が、相手とか。

 殺すとか、殺されるとか。

 そんな事頭から抜け落ちる位に、感情が高ぶってる。


 私の心に呼応するかのように、胸のパスが熱く、熱く、輝きだす。 

 

(大丈夫、分かってるよ)


 私は、胸から二枚のパスを抜き取る。

 今、私の手の中には、時雨から託されたパスも合わせて合計で、三枚のジョブ・パスポートがある。


 私はこの三枚……つまり、“ユウシャ”・“アサシン”・“ソウリョ”の三枚を、『同時に』ワークベンダーにスキャンした。


『スキャン完了! “ユウシャ”! “アサシン”! “ソウリョ”! トリプルスキャン! フォーム・チェンジ! “ディメンション”!』


 力を重ねれば重ねる程に。

 私の姿は、更に一段階、その先へと進化する。


 その衣装は、宇宙そらを映しとった様な黒いパーカー。緑と青の星が描かれている。

 その名も“ディメンション・フォーム”。

 文字通り、これまでの私とは別次元の魔力を有している。  


「最初に言っておくけど……私、手加減する気ないから」


力尽きました。

毎日投稿はここでやめます。

元通りマイペースにいきます。

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