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ギルドライバー“ハヅキ”  作者: 今井亜美
第十話 本気の戦い
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二章 理解できない


「葉月、ここ! このビルみたい」


 時雨に連れられて、青と白で彩られた爽やかな外観のビルに入る。

 中は別に特別な物でもなく普通のお洒落なビジネスビル(入った事無いからよく知らないけど)って感じだった。

 

 エントランスの中央に大きな地球儀があって、そこに『SAIJYO』グループのロゴが刻まれてる。

 正面には大きな観葉植物と白いカウンターがあって、その中に受付のスーツを着たお姉さんが立っていた。

 

「いらっしゃいませ。本日はどの様なご用件でしょうか?」


 私達が入ると受付のお姉さんがにこやかに話しかけて来る。


「だ、ダブリューピー……? え、えっと……志保さん! 志保さんがっ!」

「落ち着いて葉月。白銀志保より、ここで『WPF』とお伝えしろと言われて来ました」


 受付の人は、少し考える様な素振りを見せた。

 そして、


「……カードはお持ちでしょうか?」


 と言う。


「か、カード……?」


 私達は面食らってしまって間抜けな声を上げてしまう。

 志保さんからは、カードの話なんて何も聞いてない。


「申し訳ありませんがセキュリティの都合上、カードの無い方はお通しする事が出来ません」

「そ、そんな……! 志保さんがピンチなんです! 私達、行かなきゃいけないんです!」

「待って、葉月……カード、ですよね? …………これじゃ駄目ですか?」


 時雨が提示したのは、黒いラインが走っている白いカード。

 真ん中に小さくアサシンの文字が刻まれている。

 そう……時雨の『ジョブ・パスポート』だ。


 受付の人は流石に驚いた様で、目を丸くした。

 そりゃそうだよね。こんな意味不明なカードを見せられても訳が分からないだろう。


「しょ、少々お待ちください……今確認を……」

「すぐに通しなさい。許可します」


 突然、横から一人の女性が割り込んできた。

 黒いタイトスーツを着たクールな雰囲気の女性で赤い眼鏡をかけている。

 眼鏡の女性は私達を一瞥すると、一言、「来なさい」とだけ告げて先に行ってしまった。

 

「ちょ、ちょっと待って下さい! 貴方は?」

「道中、説明します。時間が無いのよ、理解しなさい」

 

 なんか、冷たい人だな、と思った。

 でもとりあえず今の私達に出来そうなのはこの人の後についていくだけみたいだった。




「山中<ヤマナカ>まもりです」 


 銀色のエレベーターの前で、女性がようやく自己紹介をする。

 

「あ、え、えっと私は杠────」

「杠葉月、及び黒森時雨ね。志保から話は聞いている」 


「志保さんから……あ! そ、その志保さんが、今────!」

「敵と交戦中……でしょう。MOBドライバーとは常に通信状態にある。先程、変身要請を受諾しています……屋上に向かいます、乗りなさい」


 エレベーターが到着して、私達が乗り込む。

 すぐに山中さんが屋上のボタンを押した。

 

「交戦中って……そ、それなら早く援軍を────!」

「必要ありません」


 ピシャリ、とエレベーターのドアが閉まるのに合わせて、山中さんは言い放つ。


「志保は貴方達と違って子供じゃない。立派なエージェントです。死ぬ覚悟くらい出来ています」

「し、死ぬ……?」


「死ぬでしょうね。MOBドライバーの戦力で奴ら『魔王軍幹部』に勝てる確率はゼロ。万に一つもないでしょう。彼女の役目は時間稼ぎです。京都はこのまま放棄します。今重要なのは分散した戦力を集中させる……つまり、貴方達を東京に送る事」


 な、なにそれ……?

 おかしいな、私だけかな?

 魔王軍って……何? 魔王はいないんじゃないの?

 それに、志保さんは時間稼ぎ? 死ぬ? 京都は……放棄?


 分からない。分からないよ。この人が何を言っているのか全然理解出来ないんだ。


「……戻してください。貴方達が行かないなら私と葉月が援軍に行きます!」


 時雨が、一階に向かおうと、エレベーターのボタンを押す。だが、全く反応しない。

 

「無駄です。ここのエレベーターは指紋認証式。登録が無ければ動かせません」


 エレベーターのドアが開く。

 秋風が、頬を撫でた。


「降りなさい」

「いやです!」


 私と時雨は同時に答える。

 それを聞いて山中さんは、特に感慨も無く「そうですか」と言うと、上着から、銃を取り出して私達に向けた。


「勘違いしない様に。貴方達に選択肢はありません。私と共に東京まで来なさい。変身して逃げようなんて考えないでね。余計な行動を取れば即射殺します」


 あの銃……本物、だよね? 多分……。


 なんか、映画のワンシーンみたいだね。

 まさか自分の人生で銃を突きつけられるなんて事があるなんて、思ってもみなかったな。

 

 銃を前にして、私と時雨にはどうする事も出来なかった。

 山中さんと共にエレベーターを降りる。

 目の前には、巨大なヘリコプター……ヘリコプター? って言うのかな。


 プロペラが四本くらいついてて、なんかもう飛行機? 戦闘機? なんじゃないかって思うんだけど、正直違いなんて知らないし志保さんがヘリって言ってたから多分ヘリコプターだと思う……物体がヘリポートのど真ん中に鎮座していた。


 私達はそこに押し込められるように乗車させられる。

 丁度後部座席に当たる位置に、私、時雨、山中さんの順に乗っていて、前に運転手さんがいる。

  

「エネルギーの充填は?」

「85%完了しています」


「予備バッテリーも稼働して。無事に到着さえすれば、使い物にならなくなってもいい」

「了解」


 山中さんと運転手さんの、そのやり取りが終わった後だった。

 

 ドオオオンッ! と物凄い爆発音が市街に響いた。

 続いてゴゴゴゴっという地鳴りがして、熱い風が頬に叩きつけられる。


「な、何今の?」 

「始まった……か」


 始まった……って志保さんの戦い、だよね?

 でもあんな爆発、モンスターと戦ってる時だってしなかった。

 そ、それに今の爆発の規模……街全体がヤバいんじゃ……?

 

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