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ギルドライバー“ハヅキ”  作者: 今井亜美
第九話 黒いパスポート
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三章 女子高生、お願いされたら断れない


 何で修学旅行の定番っていえば京都なんだろーね?

 まあ古いお寺とか神社? とかそういうのを沢山見て勉強しようね! って理由なんだろーけどさ。


 でも高校生にもなって京都っていうのもちょっと寂しいと思わない?

 家族旅行とかで既に京都に行ったことある! って人も多いだろうし。

 

 ここはやっぱりドーンとハワイ辺りに行きたかったよね!

 海外って私、行った事ないんだよ。

 だからちょっとだけ残念って感じ。


 まあ我が母校みたいに田舎の公立高校では海外なんて予算オーバーなんだろーけどさ……。


 そんな風に最初は、隣に座ってる時雨に愚痴りながら新幹線に揺られて。

 でも心の中ではワクワクしながら。

 東京を出発して二時間半。

 

 やってきました京都!


 駅に降り立ってからもうビシビシ感じるね! 

 なんてゆーかこう『オーラ』みたいなモノをさ!


 吹き抜ける風でさえ、何か特別なモノに感じるよね。

 やっぱりこのワクワク感こそ、旅行の醍醐味だなって思う。


 駅からは暫く、バスでの移動になるみたい。

 よく修学旅行の時に乗らされるアレだね。

 えっさほいさと荷物を運んで、バスに乗り込む。


 残念ながら今度は隣の座席は時雨じゃない。

 とはいえ、全く知らない人って訳でもない。


「暫く隣だな、杠。窓側がいいか? それとも通路側?」


 そう、お隣は白銀さんだ。

 まだ話せる人でよかったよ。

 これでよく分かんないクラスのギャルさんだったら、夜まで地獄を味わう所だったからね。


「私はどっちでもいいよ」

「そうか! じゃあすまないが窓側を貰おう。実は結構車酔いをする方でな……」


「へー……何か意外な弱点発見?」

「弱点って言う程のものじゃないと思うが……少し気分が悪くなる程度の軽度なものだし」


「でも白銀さん、いっつもピシっとしてて完璧人間って感じだし」

「…………そんな事、ないさ。完璧な人間なんて、この世界にはいないだろう?」


 確かに……って思ったけど、色々と完璧な美少女を私、知ってるんだよねー……。

 あいつに比べれば白銀さんもまだまだ可愛いものって事かな。




 さて。

 それから暫く白銀さんと二人、バスに揺られた。

 私は持ってきたポテチの袋をバリバリと開けて口に放り込む。


 やっぱりポテチはコンソメ味が至高の逸品だね!

 のりしお味も捨てがたいけど旅行中に食べて歯にのりがつくと悲惨な事になるからね。

 

「白銀さんも食べる?」

「……いいのか?」

「もちろん!」


 別に遠慮なんてしなくていいのにな。

 こういう所、律儀だよね。白銀さんって。


「じゃあ……一枚貰おうかな」

「一枚と言わずにじゃんじゃん食べていいよ! 私一人で全部食べたらお昼が食べれなくなっちゃうし」

「ははは……じゃあ頂くとしよう」


 白銀さんは少し照れながら、「ありがとう」とお礼を言ってポテチを一枚掴んで口に運ぶ。

 パリッと乾いた、いい音がした。



 

☆☆☆ ☆☆☆




「ねーねーゆみみ! 何だと思う!?」

「……一応聞いておきますね、何がですか?」


「決まってるじゃん! お土産だよ! 先輩達のお土産!」


 はあ……と私は深く溜息を吐く。

 

「そんなの知りませんよ……そもそも私達に買ってきて下さるかも分からないし」

「京都でしょ……やっぱり八つ橋かな? それとも無難にお饅頭とか? いや食べ物とも限らないよね……キーホルダー……アクセサリー……うーん……は!? ま、まさかまさかの……木刀とか!?」


「そんなの今時買う人いませんよ……」

「えー分かんないじゃんそんなの! ゆみみにはロマンって奴がないね!」


「何がロマンですか、何が……」


 大体、本当に木刀を手渡されたらどうするつもりなんですかね。

 部屋に飾ったりするんでしょうか、この人。

 友達の家に行って木刀が飾ってあったら友好関係を解消しようか本気で悩みますね、私だったら。

 ダサすぎてセンスの欠片も感じませんしね。


 それにそんな下らない事言ってる場合じゃないでしょう今は。


「先輩達がいないって事は、私達だけでモンスターと戦わなきゃいけないって事ですよ。それが分かってるんですか?」

「大丈夫だよー多分! 私とゆみみと凛音……三人もいれば十分でしょ」


「その凛音さんがいないじゃないですか!」


 そう。朝のHRで告げられたが、凛音さんは今日、風邪を引いてお休みしている。

 学校を休むくらいだから戦う事なんてとても無理だろう。 


「あ、じゃあ放課後にお見舞いに行こうよ! それで私の魔法で風邪を治しちゃおう!」

「いい考えですね……けど、凛音さんの家、知ってるんですか?」


「…………やっぱりお見舞いはやめとこっか! いきなり押しかけたら失礼だしね!」

「知らないんですね……」




☆☆☆ ☆☆☆




「うーん……これは……でも……」

「何を悩んでるの、葉月?」


「お土産何にしようかなって……や、やっぱり木刀かなあ!?」

「絶対にやめた方がいいと思うよ」


 木刀を握る私を冷めた目でこちらを見る時雨。

 なんでい、なんでい! 木刀の何が悪いんでい! ロマンの無い女だよ、全く!


「やっぱり八つ橋がいいんじゃないか?」


 白銀さんが八つ橋コーナーを指さす。

 時雨も「そうだね」と頷いた。


「一つは買っていきたいかな。生の八つ橋でも十日以上日持ちしたりするものもあるし」

「焼き八つ橋というのもありだな。チョコレート八つ橋とか……変わり種も色々あるんだな」

「色々な種類の八つ橋を買っていくのもいいかも……」


 二人はああでもない、こうでもないと言いながら、楽しそうにお土産を物色していく。

 ううう……確かに八つ橋もいいけどさあ。

 木刀……一本位欲しかったなあ……。


 部屋に飾るんだあ……!

 きっと箔がつくよね、木刀の一本もあるとさ!

 絶対カッコいいよ!

 

 うう、やっぱり欲しい……。

 時雨が見てない間にコッソリ買っちゃおうかな……。


「葉月、お願いだからやめて」

「うー……『お願い』はズルいよお……」


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