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ギルドライバー“ハヅキ”  作者: 今井亜美
第九話 黒いパスポート
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二章 女子高生、わくわくが抑えられない


「説明して貰えますか……!?」


 午後になってようやく電話が繋がった。

 私は苛立ちを隠し切れずに、電話口の向こうにいる人物に語気を強め、尋ねる。


「先日の西白百合海岸でのモンスター大量発生……あれは間違いなく“奴ら”の仕業ですよね? しかし、頂いていた情報によれば『暫くは起こらない』という事だったはず」

『貴方の怒りも、もっともね……志保』


「納得のいく説明を頂けますね?」

『勿論、こちらも“彼女”に確認はとった。でも、“彼女”の話によれば本来の予定にはない突発的な行動だったみたいね』


「その話……本当に信じていいんでしょうか?」

『今の所はね。それよりも……以前から打診があった件だけれども』


「! 許可が、下りたんですか?」

『ええ。決戦を前にして……やっと上層部も理解してくれたわ。もう隠していられる段階ではないってね。二日後、そちらにヘリを回す。京都支部で落ち合いましょう。杠葉月、及び黒森時雨を上手く連れ出して来なさい』


「……了解」


 電話を切り、深く息を吐く。

 視界の端に三日分の荷物が詰められた、旅行用のカバンが目に入った。


(京都……かあ)


 昔、私も修学旅行で行ったなあ……とふと、懐かしくなる。

 あの時は何処を見て回ったんだっけ……。

 友達も碌にいなかったから、自由時間に一人で、寺社仏閣巡りしたなあ……。


 落ち合うのは二日後、と言っていた。

 それなら一日目はまだ楽しめる時間があるかもしれない。

 勿論、気を抜きすぎる訳にもいかないが。


 しかし、杠葉月達のグループに入れたのは僥倖ぎょうこうだった。

 行動を共にするかたわら、友好関係を深められるかもしれない。


(あわよくば……と、とも、“友達”に……)


 い、いやいや! 何を考えているんだ私は!

 公私混同だろう、それは。

 そもそも彼女達と私とでは年が離れすぎているし……。

 よくない、実に良くない考えだぞ、白銀志保。

 戒めなければならない、自分を。


 ここ最近、彼女達に近づきすぎてはいないか。

 私など、ただの監視役にすぎないのだ。

 それ以上の特別な感情など、持ってはいけないだろう。

 浮かれるな、自惚れるな。これは遊びではないのだ。

 万が一我々の行動が理解されずに敵になる様な事があれば、私はこの『世界』の為にも彼女達と戦わなければいけないのだから。


(……でも)


 それでも、彼女達となら。

 ここ数か月一緒に過ごして、そう思ってきている自分がいる。

 

(ああ、よくない)


 褒められたものじゃないな、これは。

 それは大いに理解している。

 だが明日の旅行を少し楽しみに思ってしまう自分を、抑える事は出来そうになかった。


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