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ギルドライバー“ハヅキ”  作者: 今井亜美
第八話 名探偵“ゆみみ” ~浴衣と花火とモンスター~
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五章 浅い眠りの中、葉月の見た悪夢


 いない。いない、いない。

 いないいないいないいないいない。


 いない、何処にも。


「時雨っ! どこっ!」


 返事は返ってこない。

 当たり前だ。だって時雨は、この世界にいないんだから────。


「──嘘だッ!」


 いる筈だ。時雨は、時雨はきっと私に会いに来る筈だ!


 森を探した。いない。

 砂漠を探した。いない。

 火山を探した。いない。

 海を探した。いない。

 国を探した。いない。

 城を探した。いない……。


「時雨、返事をしてよ! お願い!」

「……こんにちわ」


 叫び続ける私の背後から、懐かしい声が確かに聞こえた。

 聞き間違える訳もない。私がずっと聞きたかった、あの大好きな声なんだ。


 ようやく……ようやく会えたんだ!

 嬉しくて、嬉しくて、泣きそうになるのをこらえながら、振り返る。

 時雨は、こちらを見て微笑んでいた。


「私は『───』。貴方は、誰ですか?」


 その瞬間の絶望を、なんと表現すればよいのだろう。


 全身から力が抜け落ちて立っていられず、地面に膝をつく。

 自分にも判別不可能な呪詛の言葉が奥底から湧いて出て、口をついて外に飛び出していく。

 私の意思とは関係なく目からは大粒の涙がいくつも、いくつも零れ落ちた。

 

 時雨は困惑した表情で、いきなり泣き出した私をただただ不思議そうに眺めていた。


 なんで。なんで、こんな瞬間を……『また』私に見せるんだ。

 分かっている。これは夢だ。ただの夢。

 全て理解している。

 だからって、余りにも酷すぎると思わない? 


(ねえ、女神さん?)


 さて……このことを、私は憶えているわけにはいかない。

 一刻も早く目覚めなければ。


 そして、全てを忘れないといけない。

 でなければ、私の心は壊れてしまう。


 私の名前も、あいつの名前も、───が───であることも。

 だって私は──。


「“ユウシャ”アラカドナン」


 ────────。

 ────。

 ──。

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